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十三夜の隙間
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メッセージの通知があるだけで、途端に綻んでしまう顔。それは、
愛猫 萌々子
が髪を下ろしているときの、素直な気持ち。
学校では風紀委員として、周囲の模範となるべく気を引き締めることも多い。いくら公平に取り締まり、この気持ちが不純でないとはいえ、交際をしているなど大っぴらには言えなかった。
それでも、そう努めることができるからと平気なわけじゃない。もっとお喋りだってしたいし、会いたいと思うのに、門限のある桜花寮ではそれも無制限には叶わない。
夜風に備えて上着を羽織り、窓を開ける。今は、彼も見上げているだろう月夜を眺めて思い馳せるしかないのだ。
(急げ、いそげっ!)
夜道を駆ける
万条 幸次
は、一目散に桜花寮を目指し――そのまま敷地を走り抜けようとして、一旦思いとどまる。
食堂が男女共用になったりして、以前より規則は緩やかになっていると聞くけれど。それでも、
門限を過ぎた時間
に、
女子寮
へ、同年代の
異性
が侵入……正当で緊急な要件があってのことであれば罪には問われないだろうが、どう考えたって『彼女に会いたかったからです!』なんて言おうものなら、大問題になることは間違いない。
それでも、会いたいと思ってしまった。月を見上げて、声が聞けたらとスマートフォンの通話ボタンを押そうとして。でもすぐに、その指はメッセージを打っていた。
――窓から外を見てて。
その後はどうしよう、なんて考える前に身体は走り出していた。たぶん、理由なんてないんだ。
十三夜と呼ぶこの月も、あの時と同じく綺麗だと思えたけれど……そう思わせてくれた君がいないのが寂しいなぁ、とか。後からいくらでも理由をつけることはできても、どれもしっくりこなくて。
(今はただ)
君に、早く会いたい。
どうしようもないくらい、そんなことしか浮かばなくて、幸次は路地に身を潜めるとろっこんを発動させた。月明かりが眩しくても躊躇いや恐怖がなかったのは、あの十五夜に萌々子が恐怖を振り払って――いや、この気持ちは持っていていいものだと教えてくれたおかげだ。
猫の姿で寮へ駆け出すと、萌々子が窓辺に立っているのが見えた。
(あの部屋へ行くには……そこのパイプから、あそこまで伝って……)
ふむふむとルートを確認しさえすれば、あとは出っ張りなどを駆使して飛んで登って、猫の身体能力を活かすのみ。
(びっくりするかな、喜んでくれるかな)
そんな思いでいっぱいだった幸次は、難なく目的地について――切なげに月を見上げる萌々子が綺麗だと思って、声をかけ損ねた。
「……先輩も、見ていますか?」
窓の外を見てと言ったっきり、メッセージはなくて。月はほんの少し欠けていて。
寂しそうに顔を歪ませる萌々子に、幸次は思わず声をかける。
「にゃあ……」
そうして気付くのだ、まだ自分が猫の姿をしていたということに。
肩を抱き寄せることも、名前も呼ぶことも叶わず、寄り添っているしかできないけれど。この姿であれば、誰も不利益を被ることがないのだろうかと思い巡らす。
「まあ、こんな所まで登ってきたんですか?」
いくら猫が器用に高いところを登るとは言え、寮の窓辺で対面することなんて――そうまじまじと見つめたとき、萌々子は猫が首輪をしていることに気付いた。
間違えるはずがない、これは幸次の誕生日プレゼントに贈ったものだ。
「……先輩?」
きょとんとした顔で小首を傾げて見せるから、あくまで今は『猫が窓辺に遊びに来た』ということにして、傍にいてくれるのかもしれない。
ここは女子寮だ、そのほうが互いに良いこともわかっている。
「今は、部屋に私1人なんですよ。ぴりりちゃんは委員長の仕事で出ていて」
同室の
笛吹 ぴりり
は留守だから、ここに咎める人は誰もいない。だから――だから、少しだけ。
(わがまま、かもしれません)
そっと抱きしめそうになる手を押しとどめて、月を見上げる。満月までちょっぴり足りないその隙間が、萌々子には余計もの悲しく見えた。
「寂しかった、です」
今は猫の姿でも傍に居てくれるから、平気だと笑わなくては。だけどやっぱり、会いたいのは猫ではなくて。苦笑する萌々子が次に見たのは、手すりに腰掛けている幸次の姿だった。
尻尾でバランスをとって、周りの気配に気を配るように猫の耳をヒョコヒョコ動かしてはいるけれど、限りなく最低限にろっこんを発動した姿は、ほとんど人と変わらない。
目が合って、なんだか気まずさと恥ずかしさで目を逸らして。もう一度ちらりと様子を窺って目が合うと、2人で吹き出すように笑ってしまった。
「俺も! 本当は猫のままがいいんだろうけど……俺も、会いたかったから」
やっぱり我慢なんてするものじゃない。
ぱちぱちと目を瞬かせている彼女をこのまま腕に閉じ込めたいけれど、窓の手すりに腰掛けた状態だと腰をかがめるにも限度があるし、バランスを取るのも難しい。
頭を撫でる? 手を握る? もう、そんなことくらいでは伝えきれないんだ。
「あの、目を瞑ってもらっていい?」
その言葉が何の合図かわからないほど、萌々子も鈍感ではない。初めて、ではないようで、勢い任せではない今回は初めてと言ってもいいくらいの、ドキドキする言葉。
いつもならば、ぐいぐいと迫るのは萌々子のほうが得意とするところだけど。今夜はどうしてか、幸次のペースに飲まれてしまう。
(……いいえ)
そっと目を閉じるのは、言われるがままなのではなくて。雰囲気に流されたでも、寂しくて求めたわけでもなくて――待っていたんだ。
言葉より明確でないのに、指先よりも確かな熱を交わせるのを、ずっとずっと焦がれていた。何かを誓うほどの重さでも、日常の挨拶をするほどの軽さでもない、想いの伝え方を探していた。
触れあったのは、きっと数秒。幸せだという言葉すら浮かばないほどにふわふわした、長い長い夢のようでいて唇が離れる間際に見送った顔の近さが、現実だと知らしめる。
互いに何を言えばいいのかわからず、そうして出方を見守っては相手の口ごもる唇が僅かに動くだけで心臓が高鳴って、2人無言で月を眺めた。
「えっと……笛吹さんが帰ってくるだろうし、もう行くね」
特別厳重な警備体制がされている寮ではないとはいえ、それに甘えてずるずると長居するわけにもいかない。
女子寮に住まう風紀委員の彼女が、夜分に異性を招き入れたなど醜聞がたっては一大事だ。
そんな幸次の気遣いはわかっているし、彼とて危険を侵して来てくれたのだ。引き留めたくても、それは堪えなくてはならない。
だけど、それでも。
ぐっと言葉は我慢する代わりに、口ほど物を言う瞳で見つめてしまうことは止められない。
それを見た幸次は尻尾をピンッと伸ばし、大きく深呼吸をする羽目になるのだけれど――萌々子はきっと、自分がどれだけ魅惑的な顔をしているのか、知らない。
このままでは、何か色々なものと戦わないといけない気がする。持久戦になっては不利になるのは己だと確信した幸次は、何度目かの深呼吸のあと覚悟を決めて萌々子を見やる。
「おやすみ……も、萌々子っ……」
萌々子がぽかんとしている間に飛び降りて、幸次は再び猫の姿をとる。あとはもう、一目散に家の方へと猫ダッシュをするしかない。
2人は鼓動と頬の赤みが落ち着くまで、今日は眠れそうにもなかった。
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担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
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NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月27日
参加申し込みの期限
2022年11月03日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年11月03日 11時00分
参加キャラクター一覧
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