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寝子島高校
しずくがこぼれおちるとき<白>
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――22:37、崩壊した滴のアトリエの外
「約束の2時間だけど、これは……」
川添 かおる
先生は困り果てていた。
滴がアトリエとして使っていたコンクリートの四角い建造物はもはや完全に崩壊し、瓦礫と化している。
しかも、壊れる寸前、建物に入った人数の倍の数の人々がアトリエの中から逃げ出してきたのだ。
川添先生は気づかなかったが、気づけば、イツトリと透破の姿は消えていた。
付喪神的存在の彼らは、うつつ世での顕現には少なからず制限がある。
警察はいずれ来るだろう。
しかし、どう説明したらいい?
「はぁ……でもやっぱり警察、呼ばなきゃだよなあ。滴ちゃんの体だって、助け出さなきゃ……」
逃げ出してきた人々の奇妙な雰囲気を感じ取って、あれ、と、川添先生は身長250センチもある
鏨 紫
を見あげる。
「ええーと……そちらの大きなお方、その角は一体……」
「僕が思うに、だ」
紫は腕組みをして、川添先生を見下ろす気もなく見下ろした。
「警察とやらは役立たずだと思うね。この件はただの人間の手には負えないだろ」
「ゼロもそう思うのですー」
ゼロ・シーアールシー
は、白のワンピースの裾をふわふわさせて紫の周りを一回り。
「あやかしさん、何とかできませんですー?」
「ん、まあ、瓦礫くらいならなんとかできるかね。どうせ中に死体はないだろうし。怪談話を装って、何もなかったことにしちまうのが一番な気もするね」
漫 歩
がそれに頷く。
「なにせ相手は、霊界に伝わる伝承、負の感情が凝り固まり力を持った存在――『カラオモイ』、『化け夜露』、『深泥王』などと呼ばれてきたモノ……
きなこ
くんが言うところの
『どろでろろ』
だ」
寝子島でグラフティやアトリエを調べていた人々と、霊界に取り込まれて積み家で滴の過去を見てきた人々は、ここで情報交換した。
ひとの身ということで外で待たされていた川添先生も、もう、話の外にはいられなかった。
もれいびや霊界のことを説明してもらった川添先生は言った。
「滴ちゃんのことは理解したよ。心配だけれど、君たちに任せるしかないみたいだ。それと――」
毅然と顔をあげる。
「僕にはそういう不思議な力はないけれど、理解者になることはできると思う。協力できることがあれば言ってほしい。その時は力になるからね~」
こうして滴は『失踪』した。
親御さんにはそのように伝えられたという。
説明に行ったのは川添先生と教頭だったそうだが、母親は口でこそ心配していると言いつつ、態度は心配している風ではなく、むしろ厄介払いできたと言わんばかりに清々とした様子だったそうだ。警察に届けるか尋ねたときも、大ごとにしたくないとか、自殺だったら恥ずかしいなどと言って、それとなく断ってきたという。
都市伝説になりかけていたグラフティの話は時が経つにつれ煙のように消えた。
グラフティの傍で消えたという人々が、次々に戻ってきたからだ。
彼らはほとんど何も覚えていなかったそうである。
宮祀 智瑜
は幾人かと協力してグラフティを消して回った。
テオとミラも一緒だ。
魔法陣としての役目は、滴の復活を持って終えているのかもしれないが、万が一にも青い闇がまた寝子島の住人を襲わないとも限らない。念のためだ。
「あのグラフティ……『過去』を意味する猫の絵は、滴さんの飼い猫だったのでしょうね」
智瑜はそう考察する。
「『過去』を意味する女性はどう見ても黒白自身だったしな」と
桜井 ラッセル
。
「消せなかった黒い寝子島――『未来』は、闇に呑まれる寝子島の暗示、でしょうか」
浅葱 あやめ
には、そう感じられて仕方なかった。
「あの絵を消せていたら……」
「浅葱さん、そう悔やまんといてください」と
倉前 七瀬
があやめを慰める。「未来の絵は消しにくい画材でした。描き手の強い意志があったと思います。青い闇の怖さは僕も充分味わいました。二人も呑まれるほど危険な相手だったんです、情報を持ち帰ってくれただけで感謝です」
白猫のミラは皆に頭を下げ、お礼を言った。
「少なくとも、テオ様は助け出せましたし、時の特異点は消えました。ありがとうございます」
テオはふんと鼻を鳴らす。
「未来について最悪の選択肢は潰せたかもしれねぇ。……が、何か起こりそうな匂いは消えてねぇぜ」
崩壊したアトリエのことは世間には伏せられた。
滴がその場所を借りていたことは親にも秘密だったようだし、実のところ、貸主を探したものの何故か見つからなかったのだ。だから、この事件に関わった者たちの判断で、アトリエだった瓦礫は片づけられた。この仕事には、30トン程までの重量物なら持ち上げて運ぶことができると豪語する<怪力乱神>の紫や、分解したものを念力で動かせる修、物を軽くすることができる夏朝などが協力した。
滴は思った通り見つからなかった。死体としても、生きた肉体としても。
「あのとき、黒白の体はたしかに死んでいた」
魔法陣の中にあった滴の体を抱えて跳んだサキリは、仲間たちにそう証言した。
「彼女は敵だ。次に会ったときは、おそらく」
「哀しい話だね」
鴻上 彰尋
は空を見上げる。
彰尋は過去を見た。母の哀しい生い立ちを追体験し、哀しむ娘の心を追体験した。
誰が悪かったのだろう。
どこから正せばこんなことにならずに済んだのだろう。
考えても詮無きことと理性では分かっていても、考えずにはいられない。
滝原 レオン
は視線を下げたまま、空になったアトリエ跡に残る瓦礫を蹴った。
「あいつ、街を巻き込んだ大がかりな魔法陣を創って、仕舞いには自らの命まで賭けて、この世界を呪ったんだよな……。良くないことだけど、……それはもうそうなんだけどさ。世界よ闇に包まれろ、と思った気持ち、俺は分かる気がするよ」
十日ほど経った日の午後、空地になったアトリエ跡にはあのときの関係者が集まっていた。
あの日はもう遅かったし、混乱もしていたしで、あれ以上話せなかった。
結局、修が呼んでくれたタクシーで(おごりである)皆それぞれ帰宅したのだ。
この日、招集をかけたのは想花だった。
彼女は、霊界で託されたスケッチブックを持ってきていた。
「見てほしいんだ」
想花は皆の前でスケッチブックを一枚ずつ捲っていく。
丸くなる黒い仔猫が。
あくびをする黒い仔猫が。
伸びをする黒い仔猫が。
愛らしい瞳で、愛らしい毛並みで、描かれている。
「これは霊界で、滴さんに託されたものだ。絵から感じられるのは愛だ。愛しか、ないんだ」
想花は訴える。
「みんなが、滴さんを敵だと思っているのは分かっている。実際、今回の事件の犯人は滴さんだった。けど、滴さんは僕に言ったんだ」
『私から……寝子島を、守ってね』
想花は霊界で滴に告げられた最後の言葉を皆に伝える。
「滴さんを……本当の滴さんを、助けたいんだ……」
泣き崩れる想花の肩に、慰めるように手を置いたのは
宮祀 智瑜
だった。
「私も、私たちと敵対した滴ちゃんは、本当の滴ちゃんとは違う気がします」
「俺もそう思う」
万条 幸次
も智瑜と反対側から、想花の肩に手を置く。
「猫好きの勘だけどさ、黒白さんは自分の意思でこんなことをしたわけじゃないような気がする。あの青い闇――どろでろろってのに影響されているんじゃない?」
「ええ。私の<想い見る>を使っても、滴ちゃんが寝子島の破滅を心から願っているとは思えませんでした。滴ちゃんの真の願いは、きっと、ただ――」
――昔死んでしまった猫さんにもう一度会うこと
。
<了>
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あとがき
担当マスター:
笈地 行
ファンレターはマスターページから!
ご参加ありがとうございます。笈地です。
お待たせいたしました。
しずくがこぼれおちるとき<白>をお届けできる運びとなりました。
こちらのシナリオで闇に呑まれた方は、
墨谷マスターが担当された<黒>にも出演しております。
また、<黒>にご参加のみなさんも、<白>後半で若干登場しております。
今回、執筆中も墨谷マスターと調整を重ねつつストーリーを紡いでいきました。
らっかみ!初の試み?
特に後半は、笈地が白の11ページ目を書き、
それを受けて墨谷マスターが黒の11ページ目を……というように
交互にリレーするような形での執筆となり
自分たちが予想した以上にお互いにリンクする形になりました。
難易度は高かったですが、その分やりがいもあり、
打合せに付き合ってくださった墨谷マスターにはとても感謝しています!
滴さんはこれからどうなるのでしょう。
そして、寝子島は?
サードシーズン後半に向かってターニングポイントです。
お立会いいただきありがとうございました!
それではまた別のシナリオでお会いしましょう。笈地でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
ホラー
バトル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年10月23日
参加申し込みの期限
2022年10月30日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年10月30日 11時00分
参加キャラクター一覧
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