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No Rain, No Rainbow
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雨は気まぐれだ。
さっきまでは小雨だったのに、突然雨足が増してきてしまえば景色を楽しむどころではない。
「もっと酷くなったら、滝の中から見た景色になりそうですね」
さすがにそうなったら、傘が耐えられないかもしれないし、珪に雨を好きになってもらうどころではなくなってしまうので、今日の所は雨雲にも遠慮してほしいのだけど。
苦笑する綾花がどんな雨でも楽しんでみせるから、珪はふと頬を緩めた。
「滝か……そんなに勢い良く降られたら、さすがの猫だって雨宿りしていそうだね」
「そうなんです、だからレアなにゃんこに会える気がして!」
「じゃあ、猫探しも兼ねて……僕らもどこかで雨宿りしようか」
何かしら休憩所のようなものがあればと歩く二人には、ざあざあと雨が降る。
雨に視界を遮られて話題を探すことも難しく、雨音が大きくて話しかけることも躊躇うような、そんな時間。
沈黙を救うように姿を現したのは、藁葺き屋根の古民家だった。
天気が悪いからだろうか、表に看板と暖簾は出していなかったけれど、ガラス戸の内側には『営業中』という札がかけられているのが見えたので、二人はとりあえず入ってみることにした。
カラリと引き戸を開けると、新聞を読んでいた店主が顔を上げ、立ち上がり空いてる席の方へ顎を向ける。
好きな席で座って待っていろ――ということだろうか。
「喫茶店……でしょうか?」
店内には、こういった古き良き建物にありがちな、い草の香りでも線香の香りでもなく、なぜかホッとしてしまう優しい香りに満ちていた。
馴染みのある、というほど常日頃から触れあっているわけでもないけど、お茶の爽やかさとほんのりとした甘さの混ざった香りは、突然の雨足に急かされていた心を優しく包んでくれる気がする。
「茶房みたいだね、営業中で良かった」
「軒先の雨宿りじゃ、びしょ濡れになっちゃったかもしれませんね」
お店のBGMは雨音だけ。他のお客さんのお喋りが聞こえないからか、単純に雨足が強いからなのか、雨音はとても大きく聞こえた。
だから綾花は、お話ししやすいようにと珪と横並びに座れるテーブルを選んだ。
もし珪が憂うことがあっても、そっとすることも手に触れることもできる距離なら、彼を見つめることしかできない向かいの席より、支えられる気がしたから。
「これで、雨音にお喋りを邪魔されませんね」
「雷が鳴っても、安心かな?」
「とっても!」
注文を済ませる頃には風も出てきたのか、窓を打ち付ける雨音が激しくなった。
あえて、だろうか。珪は窓の外を眺めて憂うことなく、内装に目を向けている。掛け軸や花瓶が良いものなのかもしれないし、外を意識したくないのかもしれない。でも今日は、雨の日を楽しんでもらうと決めたから。
「このお店は、雨の日の演奏会はないみたいですね」
「演奏会?」
年季の入った猫鳴館では、あちこちから隙間風や雨漏りがする。先日の台風でもブルーシートを買いに走ったくらいには、とても――風情のあるたたずまいだ。
「猫鳴館の雨漏りをするところにはバケツや缶が置いてあって、それが鳴るんです。カン・コン・カンって」
指揮者のように指を振って楽しげに笑う綾花には、その演奏会にも慣れた物だ。演奏会の参加者によって、雨の強さを感じることができるから、そろそろ廊下の屋根を補強しようかとか、音色が変わったから一度バケツの水を捨てないとと雨の日の日常に溶け込んでいる。
けれど、寮が常日頃から雨漏りをすると報告を受けて、楽しそうだねと笑えるほど珪も楽観的ではなく。
「それは……大丈夫なの?」
家は雨風が凌げればいいとは言うけれど、猫鳴館のそれは凌げていると言えるのだろうか。
おおよその惨状は知ってはいたつもりだけれど、大げさに話が膨らんで本当に生活に支障がある程酷いとは思っていなかったのかもしれない。
「先輩方の知恵が受け継がれている感じがするので、今すぐ壊れたりはないと思うんですけど……」
それでも、素人の応急処置だ。その場しのぎはできても改善しているとは言いがたい。だけど、そうやって居場所をみんなで守っている感じがするのは、楽しいと思う。
「珪先生も、1度聞きに来てください。きっと雨漏りの考え方が変わりますよ!」
「困っていることを前向きに考えられるのはいいことだね。猫鳴館は勉強になりそうなことがたくさんありそうだ」
そんな話をしていると、注文の品がやってきた。その日の入荷に合わせた季節のお茶菓子セットは、品の良い皿の上で秋の景色を表している。
味噌餡を浅緑色の外郎で包み、蒸した餅米を薄く着色したピンクと白のいら粉を散りばめ、零れんばかりの萩の花を模した上生菓子に、白と薄紫の桔梗を模した落雁が添えられていた。
「あっ! こういう雰囲気のお花、通り道にありましたね」
「川に行く前に見つけた花だよね。もしかして近くに桔梗も咲いていたのかな」
「木陰ににゃんこが雨宿りしてないか、周りは見てましたけど見覚えはないですね……」
目で楽しんだ次は、口で楽しむ番。ひとくち和菓子を味わって、上品な甘さの余韻が残るところへお抹茶を。ほろ苦くスッキリとした味わいが、とても両者を引き立てる。
雨宿りには十分すぎるおいしさに、綾花の笑顔は絶えなくて。それを優しく見守る珪も、微笑を浮かべることが増えていった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオS(400)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年09月09日
参加申し込みの期限
2022年09月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年09月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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