【体育祭3rd】Light and shadow !!｜リアクション

【体育祭3rd】Light and shadow !!

　放送で流れる指示に従って、光村日向、蒼留人、万条幸次は笛吹ぴりりを抱えあげ、騎馬戦の馬の形を取った。
「うっ……重！？」
　まるで弾かれたように幸次を見るぴりり。
「あ……違うからね！？　体型のこととか言ってないから！」
　蒼留人と視線が合う。ぎゅっと口を結んでいるので、幸次と同じことを思っているのだろう。
「えーとじゃあ、打ち合わせ通り」
　幸次が言うと、日向が頷く。
「先生達狙い、だな」
「凄く強そうですね」
　ぴりりが向こう側でスタンバイしながら、戦闘態勢の先生ズを見据える。
　蒼留人がぴりりを見上げた。
「そうだ、笛吹さん。当たり前だと思うけど、違反とか見つけたら、笛吹くよね？」
「当然です、絶対に見逃しません」
　先生達はほとんどの馬も狙うはずだだ。しかし、手強いのでそう簡単にはやられたりしないはず。後半に突入してから、一気に仕掛けるのだ。
　やがて、スタートの合図が入った。
「我こそは白猫騎士団、白光のプリンセスナイトエリナ！」
　白猫組の姫神絵梨菜な高らかな宣言。
「気合入ってますね」
「じゃ、行くか！」
　白猫組の士気が高まったような気がする。
　そうして開始された騎馬戦の二戦目。

　絵梨菜は馬の足の皆さんと戦場へと飛び込んだ。
　ぶつかってきて、横から伸びてくる手。
　絵梨菜はすかさず、Ｔ字バランスを披露した。
「えっ」
　絵梨菜のバランス感覚は伊達ではない。驚く相手の騎手のハチマキを真上から掴み取る。
「やられたー」
　絵梨菜は馬の上で宙返り。
「支えてねっ」
　練習の成果。足の皆さんはしっかりと受け止めてくれた。このパフォーマンスを知らない黒猫組達が目を丸くしてこちらを見ている。その隙にハチマキをゲットしていく白猫組達。作戦通りではあるが。
「今だーっ、やれ！」
　熊吉の雄叫びを合図に先生達が黒猫白猫どちらの組もハチマキをゲットしていく。
「さすが手強い」
　と、ぴりりりっと笛の音がした。見ると、笛を吹きながらハチマキをゲットするぴりりの姿があった。

　幸次はぶつかられた衝撃でバランスを崩しそうになったが、
「なんのっ」
　立て直してぶつかり返す。
(きた)
　ぴりりの体が傾いた。こちらへ寄りかかってきている気配。これは幸次の方向へ行きたいという合図だ。
(ここでターンだね？)
　見ると、ハチマキを奪いながら突進してくる先生ズの姿が。
　まだその時ではない。
　しかし、背後から別の馬が迫っていた。
「皆、ジャンプだっ」
　日向が声をかけ、
「了解です」
　蒼留人が答えた。幸次も合わせて、３人で地面を蹴る。ぴりりのハチマキに伸ばされた相手の手をかすめる。
　そこでぴりりの笛の音。交わした後に流れるようにハチマキをゲットしたのだった。
「そろそろですよ！」
　蒼留人が言って、そちらを見ると先生ズが再びこちらへ向かってきていた。
「ほとんどの馬がやられたみたいだな」
　日向が言う。ターゲットは自分達とまだ生き残っている騎手が絵梨菜の馬だ。
「囮になるから、頑張って！」
　絵梨菜が叫んで、先生達の前へ出る。
「来たか、姫神」
　パワーで攻め込んでくる先生ズ。絵梨菜は足に力を込める。
「練習の成果、行くよ」
　足の皆さんの力を借りて、跳躍。くるりと回って、先生ズの後ろで足達の上へ着地。ルール違反ではないはず。
「くっ、後ろに」
　先生達が後ろに回り込んだ絵梨菜を気にして隙が出来たところで突っ込んだ。
「行けっ」
　幸次は先生ズに力の限りぶつかった。
「わっ」
　衝撃でぴりりの体が揺れるが、蒼留人が背中に手を回して支える。
「笛吹さん、もうちょっとだ」
　日向が騎手の重心を前のめりに調節する。安定して手を伸ばせるはずだ。
「行きますっ」
　有紀先生のハチマキを掴む。後ろから、絵梨菜もそれを掴んで、二人で空へ掲げた。
　白猫組、先生ズに勝利の瞬間だった。

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