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しらないアナタのホントのところ
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【盟友】
古書店『OLD LYNX』の存在を、綾花は以前から知っていました。といっても前身となった『ハセ書房』がこの場所にあるといった認識程度で、一度か二度、店先を通りがかったか、あるいはちょっとだけ中を覗いてみたこともあっただろうか……ってなくらいです。
だから古書オークションなんて楽しげな催しが毎週末に開かれていることも知らなかったし、お店の地下がこんなにも広く奥まっていて、なんだか魔窟のようであることも知りませんでした。
「あっ」
「お。楽しんでる?」
最近店長となったらしいこの女性とまとも顔を合わせるのも、これが初めてのことです。
「えっと。ど、どうも。店長さん?」
「珪さんの連れだし、つるぎでいいッスよ~。綾辻ちゃん」
馳 つるぎは長身をぐるりと猫背に丸めて、綾花を眼鏡の奥から、どこか不機嫌そうに見つめました。
「ん、オークションはどしたの? ああ、お手洗いなら向こうだよ」
「あ、はい。今お借りしたところで……」
けれど、なんだか剣呑にも見える目線のわりに、その物腰は穏やか。親切です。
どうやら、きつい目つきがちょっぴり険しい印象を与えるだけで、本人はそれなりに気さくな人物である様子。あるいは綾花の本好きオーラを感じ取ってか、同好の士として好印象をもってくれたのかもしれません。
「ちょうどいいや。ちょっと休憩に付き合ってくんない?」
「えっ?」
おもむろにつるぎは、綾花へ、ぬるい缶コーヒーを差し出して言いました。
「本の整理って、腰に来るんッスよね。ひと休み中」
暗い照明に浮かびあがる、背版のない簡素な書棚にぽつりぽつりと並べられた古本。口の開いたダンボールにぎっしりと詰まった本たちは、どうやら未整理のものでしょうか。
ピンときて、綾花は言いました。
「じゃあ私、手伝います! この本を分類して、棚に収めればいいんですよね?」
「え? いや、お客にそこまでしてもらうのは……」
「大丈夫です。私、図書委員ですから」
手際よく本を書棚へ振り分け始めた綾花を見て、つるぎはほおん、と感心の息を吐きました。
「そっか。じゃ、お願いしよかな」
「はい!」
もっとも申し出は、綾花にとってちょっとした思惑あってのことです。
つまり……この女性。OLD LYNXのつるぎ店長は、どうやら、珪先生と古い知り合いのように見えてならないのです。
(聞いてみたい。知りたい……珪先生のこと。もっと、もっと)
珪先生のことを、綾花よりももう少し深く、彼女は知っていそうなのです。
ひょいひょいと手際よく書棚へ本を収めながら、まずはちょっとしたジャブから。
「LYNXって、オオヤマネコですよね。OLD LYNXだと、年老いたオオヤマネコ? なにか本と関係があるんですか?」
「いや、そんな深い意味があるわけじゃ……本土から来るお客も多いから、寝子島らしく猫っぽい名前にしようかなって。で、古書店だからオールドってつけて。あと、わたしが猫好きだから……?」
「猫好き! 私もにゃんこ大好きなんです。いつも見かけた猫をメモしてます。見ますか? あ、このトラジマ猫なんてまさに、OLD LYNXって感じじゃないですか?」
「うわなにこのメモ細かっ。多っ! 綾辻ちゃん、マメなんッスね~」
共通の好みが分かったところで、フックを繰り出します。外側から自然に、さりげなく。
「つるぎさんって、珪先生とお知り合いなんですか? なんだか親しそうですよね」
「あーうん。そうね。珪さんとはもう、十年? 十一年? そんくらいの付き合いかな」
「そ……う、なんですね」
思いのほか長く続く関係であるらしいことに内心、ちょっぴりだけショックを受けつつも。
綾花、くじけません。
「それじゃ、学生の頃からの……?」
「そ、高校の文芸部のセンパイ。いっしょに部室でだべったり、読んだ本の感想を教え合ったり、たまにああでもないこうでもないって議論したりね。そんで卒業してからも、うちの店の常連になってくれてねー。なんだかんだ、月イチくらいで顔合わせるかな」
(わ、私は毎日顔合わせてますけどね!)
なんてことは、口には出さず。
いよいよ本番、綾花はストレートパンチを放ちます。このためにこそ、出会ったばかりの若い店長さんとの会話に臨んだのです。
「あの。それじゃ……知ってますか? 珪先生の、ウワサ」
「ウワサ? どんな?」
「学生時代はすごくモテたのに、誰とも付き合わなかった。って」
言った。言ってしまった。意外にも口からすべり出るように、するりと。
綾花の胸に突然、なにか冷たいものが入り込むような感触を覚えて、目の前の彼女へ知られないようそっと、きゅうっと、胸を押さえ込みました。
「あー。それねえ」
珪先生と親しいらしいこの人へ、核心に迫るような問いを投げかけることが、はたしてどんな結末へ繋がるのか。いまいちぜんぜん、想像が至っていなかったのではないだろうか。もしかしたら珪先生へ、伝わってしまうのかもしれないではないか。伝わって、珪先生と綾花の、今の絶妙な心の距離がもしかしたら、壊れてしまうなんて……そんなことだってもしかしたら、あるかもしれないではないか。
漠然とした恐怖感を、突然にして綾花は、背中に這い上るような寒気として感じました。
「綾辻ちゃんさ」
「はい……」
なんだか値踏みするようなつるぎの目線に、綾花の肩は身震いしてしまって。
「珪さんと付き合ってんッスか?」
そのひと言でいよいよもって、綾花の足元は揺らぎます。
「え、と……いえ、私は、珪先生とそんな……あのっ私、興味本位とかではなくて! 今、先生って恋人がいないらしいので、もしかしたらそれが関係しているかもしれなくて、それで……! あの、恋人が居て欲しいわけでは、ないんですけど……」
「いや、そんなわけないか。あのカタブツ珪さんが、生徒に手出すわけねーし」
鋭い目つきはそのままで、つるぎは口元をゆるめて、にか、と笑いました。
「じゃ、綾辻ちゃんの片思いだ。いまんとこ」
とんだカウンターパンチです。もろにもらってしまいました。
いろんな感情やら心配やらがいっぺんにぶわわっと沸き上がってきて、綾花の瞳は思わず泳ぎます。
「……あ、の」
「ああいや! ごめん、からかうつもりじゃなくってね。責めるつもりでもなくて、教師と生徒だろとかつまんないこと言うつもりでもなくて、ええと、なんつったらいいのか。くっそ、こういうの苦手だなあ……キャラじゃないんだよなあ」
疲れたのか、よっこいしょと本が入った段ボールへ膝を丸めて腰かけたのは、本屋さんの店主としてはいささか褒められない気がしつつも、今の綾花はそれどころじゃあありません。
くい、とつるぎが缶コーヒーをあおったのにつられるように、綾花もぬるいコーヒーを飲み干しました。
「おっしゃるとおり。珪さんは、そりゃあモテてたよ」
「やっぱり……」
「あのルックスで、性格良くて明るいし、マジメだし。人当りもよくて、イヤミなところだってゼンゼンないでしょ? モテないわけないッスわ」
「その。つるぎさんも……?」
「わたし?」
また余計な口をはさんでしまった。と思うものの、今さら引けません。
確かに彼女は、高校時代の珪先生を知っているのです。
「いやー、わたしはねえ。今でいう、陰キャっての? 文芸部なんて言いつつ、部室でラノベばっかし読んでるオタク少女だったもんで。どっちかというと、二次元に夢中だったかな」
わざとらしくメガネをくいくい上げ下げしてみせたつるぎに、綾花の胸はすこうしばかり、軽くなりました。
「だからわたしにとって珪さんは、言ってみれば……ナンだろ。戦友? 盟友? そんな感じ?」
「仲が良かったんですね」
「まあねえ。後輩の面倒見も良いしさ。ずいぶんと世話になったもんッスわ」
雰囲気だけは大人のそれ、けれどちらほらと子どもっぽい一面が覗く彼女に、綾花は少しずつ親近感を覚えてきました。
胸の中へ鬱屈していた、黒くもやもやとした悪寒が、少しずつぷしゅうと溶けてゆく感覚も。
「でまあ、まわりの女の子はキャーキャー言うわけだけど、でも、そうだね。その中の誰かと付き合ったりすることはなかったよ」
「一度も、ですか?」
「わたしの知る限りは一度も。高校卒業してからも、この店でちょくちょく顔合わせてるけどね。大学時代も、寝子高でセンセーになってからも、そういう話は聞いたことないね」
それに、と綾花を見て、
「わたしも気になって、聞いてみたことあるんだけどさ。あの女の子たちの誰かと、付き合わないんッスか? もったいねーッスよって」
「そうしたら……?」
つるぎは腕組み。小首を傾けて、その時を思い出しているのでしょうか。
「はじめて見る表情、してたな。なんにも言わないで……ただ、首を振ってね。それ以来珪さんと、その手の話はしたことない」
ふと。綾花の脳裏によぎったのは、あの時の珪先生の横顔。
いっしょに秋雨に降られた、
あの日
。憂鬱そうに落ち込んだ、いつもと違う珪先生。彼は言いました。
──思いだしてしまうから。
「だからまあ、わたしもウワサの真相は知らないんだけど……」
はっとして顔を上げると、つるぎがほんの少し、ちょっぴりだけ目元をゆるめて、綾花を見つめています。
「珪さんが綾辻ちゃんを連れてきたとき、わたし、思ったんだよねえ」
「……?」
「珪さんって、シャイなとこあるでしょ? もしかしたら、これからもそういうの、自分からは語らないかもしれない。言えないのかもしれない。だからさ」
なんとなく気恥ずかしそうに、照れくさそうに、けれどしっかりと綾花を見据えて、
「珪さんはきっと、この子に解き明かしてもらいたいのかな、って。心の中ではそれを望んでるのかなって。そんなふうに思ったんだよ。ほら……本の中の物語みたいに、さ」
彼女が告げたその言葉は印象深く、忘れ得ぬものとして、綾花の胸に残りました。
「……今のセリフ、オタクっぽかった? いかにもって感じ?」
「えーっと、その。そんなことは、ないですよ?」
「優しいッスねえ、綾辻ちゃんは……」
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なし
シナリオジャンル
日常
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定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年08月02日
参加申し込みの期限
2022年08月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年08月09日 11時00分
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