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やまぬ雨音 - falling of the rain
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冬ともなれば雪に閉ざされ、屋根も道路も白いものに埋もれてしまうような町だ。
引っ越しを経ても、辛いとか悲しいとかじゅんが思うことはなかった。大都会ほど便利ではないがそれなりに交通網もあり、すくなくともじゅんの幼少期には、商店街にも活気があった。訛りのない『テレビの人の言葉』を話すじゅんは学校ではからかわれがちだったが、陰湿ないじめは受けることはなかった。植物みたいにおとなしい少女数人と友達にもなった。
じゅんの母親が再婚したのは、この地に移り住んで一年が経つころだ。故郷といっても頼れる親族もなく、女手ひとつで娘を育てる彼女にとっては、自然な流れというよりは必要性に迫られての手立てだったのかもしれない。
母親に紹介された『新しいお父さん』の印象は悪くなかった。
「よろしく」
小柄で丸顔、いくらかお腹は出ているものの、スーツ姿がよく似合っている。彫刻刀で刻んだような細い目は目尻が垂れていて、ミカンを想起させる団子鼻やソーセージに似た手指も含めて、絵本のヒーローみたいな愛嬌があった。すでに顔もよく思い出せない『前のお父さん』よりずっと歳上だったが、初婚ということだった。リムの細い丸眼鏡をかけており、子どもの目からも誠実で真面目そうなおじさんと映った。
紹介された翌週には中古物件の一戸建てに移り、継父(けいふ)を含めた三人暮らしがはじまった。狭いながら庭も縁側もある平屋だ。継父からの呼び名が『じゅんちゃん』から『じゅん』に変わるころには、じゅんも彼のことが大好きになっていた。
継父が優しかったからだ。体罰はもちろん怒鳴ることすらなかった。無口だった当時のじゅんを、よく笑わせてくれもした。あまり会話はなかったようだが、妻、つまりじゅんの母親との関係も良好だった。母とケンカばかりしていた前の父親とは正反対だった。
ただ、残念だったのはアニメや漫画の多くを禁じられたことだった。「俗悪だから」「神様を否定しているから」といった理由をつけては、おだやかな笑顔とともに継父はじゅんのテレビ視聴を制限し、漫画の単行本を捨ててしまった。許可された作品はいずれも、じゅんの年齢からすれば物足りないものばかりだったが、当時のじゅんは『お父さんが言うのだから』と素直に受け入れた。どうしても読みたい漫画はこっそり、友達の家で読ませてもらえばいいだけなのだから。月に一度は『お祈りの集会』なるものに母とともに連れて行かれたが、神妙な顔をして一時間少々黙っていればその後はレストランに食事に連れて行ってもらえるのが常だったので、特に嫌とは思わなかった。
おおむね穏やかな日々だったといえるだろう。
ベージュ色をした無地の壁紙――このころの生活を、じゅんはこのようにイメージしている。
壁紙が剥がれ腐った色の土壁がむきだしになったのは、じゅんが小学校四年生のある日だ。
九月のはじめごろ、日曜日だった。
天候は昼前、にわかに崩れ激しい雨が降った。
その日、小一時間前から校庭開放中のグランドで友達と遊んでいたじゅんだったが、雨に追われるようにして帰宅するはめになった。
「ただいま」
前髪からしずくを落としつつ玄関ドアを開け、母は用事で不在だったとじゅんは思い出した。
鍵は開いていたが、家は暗くて無人のようだった。継父は煙草でも買いに行ったのだろうか。
仕方なく、濡れた足跡を残しながら廊下を進んだ。途中、浴室にかかっていたバスタオルをはぎとり頭を拭きながら自室に入った。
手を振り回して電灯の紐を探したが、触れることがなかったのでそのままタンスに手をかけた。服を脱いでいく。
雷が鳴った。
かなり大きな音だった。近くに落ちたのかもしれない。ひやりとして身をすくめ、じゅんは鼓動の高鳴りをおさえた。
背後のドアがきしむ音を聞いた。人の気配がした。
ふりかえると継父が立っていた。黙ってこちらを見ている。白いシャツにカーキ色の短パン、やはり雨に見舞われたらしく、全身しとどに濡れている。髪の毛もべったりと頭に貼りついており、彼の髪がかなり薄くなっていることを、じゅんははじめて意識した。
「お父さ……」
継父の下半身が硬く隆起していることをじゅんが知ったのは直後だ。
見たのではなく、じかに触れて知った。
「……ここまで言えば、何が起こったかなんて言わずもがなね」
まだ長い煙草を惜しげもなくもみ消し、じゅんは新しい一本を手にした。
「あの日以来、あたしはあの男に何度も犯された。泣こうがわめこうが、気持ちの悪い行為を強いられつづけた」
母が不在ともなれば、『お父さん』は執拗にじゅんの肉体をむさぼった。母がいるときや外ではこれまで通りながら、ふたりきりになるや否、男は仮面を外した。
だがそれは仮面だったのだろうか、じゅんは言った。
よき夫にしてよき父、ある宗教の敬虔な信者でもある男と、欲望のままに義理の娘を蹂躙する男は、まったく別の人間だったのだろうか。矛盾でもなんでもない。単に、同じ人間の別の側面が出ていただけかもしれない。
母親に訴えなかったのか、という趣旨の問いをさゆるから受けてじゅんはうなずいた。
「言ったわ。二年ほど耐えてからの話だけどね。ひときわ酷かった翌日、ついに母に打ち明けた……。でも返ってきたのは、母親が娘に対してかける言葉じゃなかった」
「我慢しなさい」
と母は言った。
発言内容はもちろん、あまりにも冷静な母親の口調に、じゅんは耳を疑った。
「お父さんは政治家なのよ。そんなスキャンダルがあっていいはずがないわ」
このころ継父は、市役所員から市会議員に転身を果たしていた。小学生の父親としては高齢の部類に入るが、政治家としてはまだまだ若手だ。新進気鋭の保守系政治家として名を売っており、議長選進出の噂には事欠かず、もっと上のステージ進出もありえると言われていた。
「わかってちょうだい」
言葉とは裏腹に、母は依頼や懇願をしているのではなく、すでに決定済の事項を伝えているだけなのだとじゅんは悟った。
「じゅんが我慢すれば、誰も困らないのだから」
そう……。
諦念の冷たい味を、じゅんは舌に感じている。
気づいていたのね……ずっと前から。
母の落ち着きが伝播したかのように、じゅんは畳に正座し、黙って窓に目を向けた。
外は雪がふりはじめていた。この年の初雪だった。
いま思い返せば、『お父さん』に身を汚されたあの日ではなく、母のこの発言を聞いたこの日に、じゅんの少女時代は終わったのだろう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSSS(600)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年07月31日
参加申し込みの期限
2022年08月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年08月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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