今日をモー突進！｜リアクション

今日をモー突進！

　日曜日の朝間、白真白はすっきりと目覚めた。機嫌よく自室を出ると真っ先に洗面台へ向かう。
　鏡に映る姿を見た瞬間、視線が上を向く。頭部の左右から湾曲した黒い角が生えていた。
「これって角？」
　意外と驚きは少ない。心の余裕さえ窺わせる。
　その表情が一変した。丸い目をして鏡の自分と真摯に向き合う。
「も、もしかして背が伸びてる！？」
　ぶかぶかの寝間着は身長が伸びたことで身体に密着した。胸との釣り合いも取れて大人っぽい雰囲気が漂う。
「こんな日がくるなんて……」
　語尾が震えた。真白は笑顔で涙ぐむ。
　歯磨きと洗顔を手早く済ませて自室に駆け込んだ。上機嫌となって出かける用意を始める。
「これもダメ。え、これもなの？」
　クローゼットから取り出した洋服が床に散らばる。どれもサイズが小さい。シャツは丈が足りず、ヘソが丸見えとなった。
「一着くらいは身体に合うものがあるはず！」
　全ての衣服を引っ張り出して試した。その中で唯一、チューブトップを身に着けることができた。普通の丈のスカートは際どい短さとなっていた。
　姿見で全身を確認する。立位の状態であれば問題はない。いきなり横を向くとスカートが揺れてショーツが見えそうになる。
「これくらいなら大丈夫だね！」
　机から財布を取り出し、浮かれた様子で出ていった。

　賑やかなキャットロードを少し外れたところに目当ての洋服店はあった。すぐには入らず、真白は数回の深呼吸をした。
「いくよ」
　表情を引き締めてステンドグラス風のドアを開けて中に入る。
　途端に目が惑う。圧倒的な品数に一歩が踏み出せない。悩んだ末に手近のシャツに手を伸ばす。試着室には向かわず、身体に直に当てた。
「ぴったり」
　ハンガーごと手にしてボトムスのコーナーに小走りで向かう。丈を合わせて即座に購入を決めた。
　対面にあった愛らしいワンピースを透かさず手に取る。以前、サイズが大きくて諦めたものが今は気にならない。
「やっぱりいいねー」
　顔を綻ばせて腕に抱える。その後も店内を巡る。
「こんなところに」
　店内の隅で女性用の水着を見つけた。可愛らしい物やセクシーを売りにしたデザインなど、幅広い年代をターゲットにしているようだった。
　真白はビキニを手にした。露出度は高いがデザインは愛らしい。
「今の私なら……」
　ビキニを腕に掛けて笑顔でレジに向かった。

　会計を済ませた真白は、一度、自宅に戻って着替えを済ませた。
　勢いよく家を飛び出し、青い空を指差す。
「海が私を呼んでいる！」
　愛らしいワンピースに身を包んだ真白はツインテールを弾ませる。寝子ヶ浜海岸へ元気に歩いてゆく。

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