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■日曜:午前十時半、ブリリアントリゾートホテルの屋外プール
美優は白いパーカーの下に黒いビキニを着ている。
プール行かへん? と切り出したのは彼女だ。雅樹に二の足を踏む理由はなかった。
日は昇りきってはいないがすでにプールにはちらほらと、水を楽しむ客の姿がある。といってもまだ人はまばらだ。
美優のパーカーの胸元にはスポーツブランドのロゴが燦然と輝いているが、雅樹の視線はそんなところには向かなかった。雅樹のまなざしは美優の肢体を眺めている。
白い肌によく似合う水着だ。
芸術品を鑑賞するような気持ちで思う。
「泳がんの?」
「俺は泳ぐのが苦手なんだ」
雅樹はパラソルの下、デッキチェアに身を横たえている。
「スポーツ不得意やったっけ」
「得意な競技もあるよ。主として夜にしかやらないけどね」
「夜……?」
一秒に満たないほど考えて、
「ちょっと!」
美優は拳をふりあげるポーズをとった。昨夜の『競技』を思い出したものらしい。顔が赤い。
「なにとは明言してないじゃないか」
「明言してへんかったとしてもやっ」
我ながらきわどいジョークだとは思ったが、恋人同士限定のやりとりということで許してもらおう。しばし他愛のないやりとりを楽しんで、
「泳いでおいでよ。俺はここで監視員してるからさ。美優限定の」
雅樹はプールを指さした。午前の太陽が水面に映り、きらきらと反射している。
「ほな、お言葉に甘えて」
美優はパーカーを脱いでチェア脇のテーブルに置いた。
彼女の水着姿があらわになる。長い脚に細い肩、抱けば折れそうに華奢だけど、見事に均整の取れた体つき、白磁の肌のなめらかさを雅樹は、指と唇とで知っている。
行ってくるよと言い残し、美優はさっそく飛び込み台に向かった。イルカのように飛びこむ。水柱が立つ。まもなく浮かび上がって美優は手を振った。雅樹は振り返す。クロール。水しぶき。距離があって聞こえないはずなのに、ばしゃばしゃという水音が聞こえるような気がした。美優の頬を打っているであろうプールの水色も。
水色。
「ああ、そうだよ! 俺はお前が何を考えているかわからない……そのくせに俺の心に近づいてきて、もう鬱陶しいんだよ!」
俺の言葉がきっかけで、彼女は泣いた。
大粒の涙をながして。
今年の元旦だ。彼女の涙の色は、まさに水色ではなかったか。『カノジョ』が『元カノ』になった瞬間だった。
胸が痛む。錆びたナイフでつらぬかれたように。
鬱陶しい、とまで言うべきではなかったのかもしれない。もっと穏当で、もっと適切に自分の気持ちを表現できる言葉があったかもしれない。口調だって、怒鳴ることはなかったかもしれない。
そうであったら今ごろは――。
やめよう、と思って雅樹は両眼を覆った。考えても仕方がないことだ。出口のない迷路をさまよいたくはない。
けれども連想はとどめようもなかった。その後の記憶もあるからだ。
つい先日も雅樹は、南紀白浜で彼女と出会ってしまったのだ。なんの意図もなかった。ただ、残酷な偶然としか言いようがなかった。
「雅樹、どうしてここにいるの?」
呼びかけこそファーストネームのままだが、彼女の声は冷凍庫から出したばかりの肉みたいに冷ややかだった。
どうしてここに? とか、ああ臨海学校か、とかいったやりとりがあったと思う。驚きのあまりほとんど上の空だったから。
だからだろうか、とっさに、
「一年の間に可能な限り単位を取って三年の就活に望む予定だ」
なんて嘘をついてしまったのは。雅樹は将来、大学院に進む考えだ。ふたりが修復不可能になるずっと前の段階だが、彼女にもその意志は伝えていたはずだ。けれども彼女は問い返しもせず、「意外と堅実なのね」と聞き流した。
彼女にとって、もう俺の進路などどうでもいい情報だからか。
それとも、俺たちのあの頃なんて、彼女のなかではすでに『なかったこと』になっているんだろうか。
大学で新しい彼女ができたなんてとっさに話してしまったのは、俺の見栄だったのか、それとも未練か。
どんな反応を期待していたのかは自分でもわからない。ただ、それが得られなかったことだけは事実だ。
「私たちはとっくに終わった関係でしょ」
服についた綿毛を取って捨てるような、簡素で短い言葉で会話を打ち切り、彼女は雅樹に別れを告げただけだった。
ネットニュースに出てたよな――。
少し前の記憶だ。
別れを引きずっているのは自分だけなのだろうか。彼女は過去をふりきるように高く飛んだのだから。インターハイの走り高跳びだ。写真までは掲載されていなかったが、鳥のように軽やかな跳躍であったことは容易に想像できる。彼女は優勝を飾ったのだった。
にもかかわらず彼女は体育大学への推薦を断り、薬学部へ進むと決めたのだという。これは寝子高の友達から聞いた話だ。
あいつ、薬剤師になると言ってたよな。
サイドテーブルに置かれた白いパーカーにぼんやりと目を向けた。
白衣、似合いそうだな。
やはりぼんやりと雅樹は思った。
パーカーの白さが効いたのだろうか。唐突に雅樹は我に返った。
何やってんだ、俺。
頭を強く左右に振った。
どうしていまさら、あいつのことを思い出す?
それも、こんなところまで来て。
馬鹿馬鹿しい、と額に手の甲を当てた。泳ぐのは好きではないが、気分転換に水につかったほうがいいかもしれない。
「なに気難しい顔をしてるん?」
不意に声をかけられて、えっ、と声が出てしまう。
美優だ。いつの間に水からあがったのだろう。髪は濡れて光沢をおび、体からも水滴をしたたらせている。いささか怪訝な表情をしているところからして、自分はずいぶん『気難しい顔』をいていたのだろうと雅樹は思った。
「いや。何でもないよ」
相好をくずすと、雅樹は右手をのばして美優の手首をつかんだ。
引き寄せる。自分のほうに。
いきおい美優は「なんやなんや」と前屈みになる。けれどもどこか楽しそうだ。次にやってくるものを予期するかのように。
美優は目を閉じた。
お帰り、と言うかわりに雅樹は、人目をはばかることなく彼女に口づけた。
長いキスだった。
脳裏の水色と、空五倍子色が消えていく。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年07月04日
参加申し込みの期限
2022年07月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年07月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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