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桜屋敷と手紙の秘密
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それからふたりは黙々と依頼されていた部屋の整理をした。
頭を整理するのに、実際に物を片付けるのがちょうど良かったのだ。
仕事を終えるとふたりは話し合って、糸の寝室を訪れ、手紙を見せた。
そして二人の身に起きたことを詳しく語った。
「そう……不思議な話ね」
手紙を胸にそっと抱き、一度眼を閉じて。
結太朗を呼んできていただける、と彼女は言った。
「聞いていただける? 早乙女家の秘密を」
あおい、彰尋、そして長年仕えた結太朗を前に、糸は口火を切る。
「……糸さんは、本当は乙守晋さんと天川さおりさんの子だということですか」
「まあ、ご存じだったの。話が早くて助かるわ」
「そうすると、牛衛結太朗さんは、牛衛善彦さんと櫻子さんの……」
「そうよ。本当の早乙女家の主は結太朗なんです。私は母から聞いて知っていました。黙っていてごめんなさい」
糸は結太朗に頭を下げる。
「このことを知っていた人は……」
彰尋が尋ねる。
「母と、牛衛のおじさま、おばさま。そして私。もっとも私が聞いたのは父の死後でしたから、父が知っていたかは分かりません。牛衛のおばさまは家より愛を取りました。私の母は牛衛のおばさまのために、身代わりを務めていたそうです。けれど父と出会い、本当に恋に落ちて――。結局、ふたりは入れ替わりを一時しのぎではなく永久のものにすることにしたのです」
「さおりさんが『櫻子』として乙守さんと結ばれ、櫻子さんが『さおり』として牛衛さんと結ばれた」
互い違いの組紐みたいに。
入れ替わりはふたりの共謀で、だから『わたし【たち】の秘密』だったのだ。
「入れ替わりなんてリスキーな事、どうやって成し遂げたのでしょう」
「……関東大震災ですよ」
大正12年に東京を襲った大地震のことだ。
大火災を伴って、死者、行方不明者は10万人を超え、凌雲閣が倒壊したのもそのときだ。
「あの大地震で、いろんなことがめちゃくちゃになったそうで、そのときに色々と……と、聞きました。詳しいことは存じませんが、こうして私が早乙女家の人間として九十年も生きられたのですから、上手く行ったのでしょう」
話を終えて、糸は、吐き出した秘密の分だけ一回り小さくなったように見えた。
「……話せてよかった。あの世まで持っていくには重すぎると思っていたの」
すこし悪戯っぽい顔で、結太朗を見遣る。
「これからどうしましょうね、結太朗。この家のことは、本当はあなたが決めていいの。あなたのものなのだから。ずっと黙っていた私を憎んでくれてもいいのよ」
いいえ奥様、と結太朗は言った。
「どうして憎んだりいたしましょう。わたくしは奥様のおそばにお仕えできただけで、満足しております」
「結太朗……」
「長年近くでお世話をさせていただき、本当に幸せでございました。ですからもうしばし、今まで通りお仕えさせていただけませんか。ご覧の通り90を超えた爺さんでございますので、変化は好まぬのです。家や財産など何になりましょう。わたくしはそんなものより奥様と過ごせる日々を宝と思うております」
結太朗の口調は静かだったが、積み重ねられた深い愛情が感じられた。
「どうやら、」
彰尋は頭を掻く。
「俺たちは夢を見たようです。手紙も、今こうして話したこともただの夢。そういうことに、しませんか」
◇
夕日が早乙女の屋敷を桜色に染めている。
結太朗に見送られ、彰尋とあおいは屋敷を後にした。
アルバイト代のほかにお礼にと、彰尋は持てるだけの書籍や芝居のパンフレットを持たされた。
あおいは、手紙が入っていた桐箪笥の中の着物を。それは桜の花びらが舞い散る柄で、タイムスリップした大正時代で手紙を握りしめて駆けてきたとき、櫻子が着ていたものだった。
「秘密って、響きは魅力的だけど、実際に抱えると、ちょっと重たいものだね」
あおいが呟く。
「そうだね。でも、話したことで、糸さんも結太朗さんも気持ちが軽くなったんじゃないかな」
「……私たちに秘密を知ってほしかった理由って、それだったのかな。秘密を引き継ぐことになってしまった糸さんと結太朗さんの心を軽くさせてあげたい、って」
「本当のところは知りようがないけれど、あおいさんの解釈は、俺も好きだな」
「今日のことは私たちだけの秘密だね、彰尋くん」
「勿論。誰にも言わないよ……」
糸さんと結太朗さんのことを思う。
桜屋敷と手紙の秘密は胸の内に仕舞おう。
今となっては誰も傷つけてはいないのだから。
秘密は重い。
秘密は、想い。
屋敷のほうを振りかえる。
来た時と同じように、桜屋敷はそこにある。
<了>
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あとがき
担当マスター:
笈地 行
ファンレターはマスターページから!
こんにちは。笈地です。
この度はご依頼ありがとうございました。
あおいさんのお誕生日である(リアルタイム)の7月7日に公開させていただいたこちらのシナリオ、
御指定いただいたイラストに散りばめられていた桜と、七夕から連想をひろげ、
登場人物たちも七夕に因んだネーミングにさせていただきました。
タイムスリップ先は大正時代。
大正とミステリってなんとなく相性いいイメージ……
はじめて書く大正時代でしたので甘いところもあると思いますが、
凌雲閣へ向かうシーンは、じっさいに大正時代にいるような
気持ちになっていただけたらいいなあと
あれこれ調べたり想像したりしながら書かせていただきました。
あおいさんにも、彰尋さんにも、プレイヤー様にもお楽しみいただけたら幸いです。
それでは、このたびは本当にありがとうございました!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
プライベートシナリオSS(500)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
恋愛
推理・サスペンス
NPC交流
定員
1人
参加キャラクター数
1人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年07月07日
参加申し込みの期限
2022年07月14日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年07月14日 11時00分
参加キャラクター一覧
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