【１０周年】吾輩は見た～かぎしっぽオンニャイン配信中！｜リアクション

【１０周年】吾輩は見た～かぎしっぽオンニャイン配信中！

【＃01　化け猫暴走族の迷走】

　どうも、猫記者のジョニーです。かぎしっぽオンニャイン、『吾輩は見た』！　のコーナー、今日もやっていきますニャ。
　このコーナーは、寝子島に暮らす人間たちの真の姿を描き出すという週刊かぎしっぽの人気記事なのですニャ。オンニャイン版は特に、人間がフシギ事件に巻き込まれるヒョーキンでコッケーなところをめいっぱい、あますところなくお届けしていきます。
　そう寝子島といったら、フシギ事件！　この島ではいつもどこかでフシギなことが起こっているのですニャア。
　今夜も、ほら。
「おらおらおらーっ、どけどけーい！」
「野郎ども、今日はこのあたりを爆走するニャぜ！」
「ニャッハァーーー！！」
　あれは最近霊界からやってくるようになったあやかしの、化け猫暴走族。化け猫に猫又、猫神、金花猫に仙狸と猫タイプのあやかしがぞろぞろ徒党を組んで、鳴き声やら鈴の音やらを立てながら爆走する、なんともハタ迷惑な連中ですニャア。
　今夜は特に、霊界各地から暴走族チームが集まっているようですニャ。鉄紺駅周辺をナワバリにする『根小漫魔（ねこまんま）』に、少数精鋭ながら腕っぷしの強さでのし上がってきた『ワイルドキャッツ』。ナンパ師猫集団『炉士餡青（ろしあんぶるー）』に、硬派な走り屋『ハチワレ』、霊界最大勢力を誇る『災縁暗（さいべりあん）』……これはニャんとも、騒がしいですニャア。
　こんニャ時はもー静かなところに引っ込んで、マタタビジュースでも飲んでさっさと寝てしまうに限りますニャ。はい以上、配信終了～。吾輩は見たのコーナーでした、お疲れさまでした！　ばいニャ～。

　と、フツーの猫なら考えるところですよニャ？
　しかーし！　そこで引き下がらないのが人間というもの。彼らはこんな時、なぜかトラブルに頭から突っ込んでいくんですニャ！
「うわぁ、うるさい……！　これじゃ寝られないよぉ」
　おさんポがてらに通りがかったのは、春山小枝ちゃんという人間ですニャ。かぎしっぽオンニャインをいつもごらんの皆さまの中には、知ってる猫もいるかもしれません。
　小枝ちゃんはこー見えて数々のフシギ事件を解決してきた、エキスパートなのですニャ！
「……ふわ～。夜中だし、とっても眠い……ｚｚｚ」
　寝とるやニャいけ。とお思いでしょうが、ところがどっこい、これが小枝ちゃんの得意ワザ。
　実は……小枝ちゃんは、寝るのが大好きなのですニャ！

お友だちのヨッパライとお昼寝にふける小枝ちゃんの画像　※まとめニャログ『ニンゲン速報』から転載
　それがどうした。とお思いでしょうが、ニャんとびっくり、小枝ちゃんは寝ることでフシギパワーを発揮するのです。
「ｚｚｚ。ろっこんで……暴走族のえらそうな猫に、憑依しちゃうよぉ～。ｚｚｚｚ……」
　とそこらのベンチですやすやと眠り込んだら、びくりと動きを止めたのは『災縁暗（さいべりあん）』のリーダー猫。
「……ふおっ！」
「どうしたんスか、ヘッド！　急に止まっちまって！」
「毛づくろいタイムかな？」
「爪とぎじゃない？」
「えーっと。えっへん！　皆さん、聞いてくださーい。コースを変更しまーす！」
　コワモテ猫又が女の子みたいな明るい調子で言ったものだから、暴走猫たちもキョトンとしておりますニャけど。
　そう、眠った小枝ちゃんの意識が、リーダー猫に憑依しているのです。
「こんなに建物がいっぱいあるとこだと、みんなのカッコイイ走りが良く見えないよね。だからもっと広くて、人がいないところにいこーよ！　例えば、そうだなぁ。寝子電スタジアムとか！」
　化け猫暴走族連合を率いるヘッドの言うことはゼッタイニャので、化け猫たちは応ニャー！　とかけ声。走り去って行きましたニャ。

「う～ん。むにゃむにゃ……あれ、猫ちゃん？」
　というわけで、見事暴走猫を追い払った小枝ちゃんに、突撃インタビューですニャ！
「どーしてわざわざ、あいつらを追っ払ったんですかニャ？　ほっとけばいーのに」
「わっ、しゃべった！　って、寝子島だし、猫もしゃべったりするかもねぇ」
「そうそう」
「私はうるさくても眠れるけど、あんなに騒いでたら、みんなが寝られないでしょう？　だからかなぁ。眠れないのは、よくないよ～……ｚｚｚ」
「ああ。おウチに帰ってから寝たほうがいいですニャよ？」
　そんなに眠かったのに、わざわざ首を突っ込むんだから。
　ホント、人間っておっかしいですニャア。
　でもそこが、面白いんですニャア。

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