夏の部活動！　運動部も文化部もね☆｜リアクション

夏の部活動！　運動部も文化部もね☆

●新体操部初の合宿

　篠原翠響は他の部員たちと一緒に那須高原へ向かっていた。今日から新体操部の合宿が始まる。新体操部は今年４月に設立された、かなり新しい部活なので合宿も今回が初となる。　
　前理事長である桜栄あずさの働きかけで発足した急ごしらえの部活だったが、こうして合宿を実施できるほどに人数が揃い、練習に専念できる環境を作れたのは大きい。

（いっぱい練習できるといいな）

　賑やかな一行は宿泊先に着くと、荷物を置いて練習場所へ移動する。顧問の先生から施設の利用方法やタイムスケジュールに関する話を聞いてから、全員でウォームアップを行い、それから基礎練習を始める。

(基礎練習も普段と違う環境で行うと、心なしか気分がアガる感じがする)

　基礎練習の内容はいつも行っているものと全く変わらない。
　しかし那須高原に来ていることや合宿という特別な空気も手伝って、気分が高まるのはあるかもしれない。実際、他の部員たちもそういったことを思っているのが表情から見て取れる。
　ただ、合宿というのは観光ではない。あくまで部活動の一環である。
　他のことに邪魔されることなく、部活のために時間を使うことができる。言い方を変えると、時間のほとんどを部活につぎ込む。だから時間を上手に活用すれば、普段と同じ内容の練習でも得られるものが違ってくるだろう。
　
　基礎練習を終えると、各自個人練習に入る。翠響は道具を手に馴染ませると、軽く動かす。
　新体操はリボンやボール、フープなどを音楽に合わせて演技をする競技。器械体操の場合、設置されている器械で技の難易度や美しさ、安定性などを採点する。しかし新体操の場合は、ボールやフープを高く投げた後に演技をはさみ、それを受け止めて次に繋げるといった要素がある。
　だから道具の感触を確かめることはとても重要になる。そしていよいよ本格的に練習を始める。

（しっかりとここで自分の演技を磨いておかないと）

　翠響の目は真剣だった。
　それにこの合宿の最終日には地元の施設で一般向けの発表会を行うことが決まっている。そこで普段の成果、そして合宿で得たものを披露する。

（いまできる精一杯をそこで出したい）

　翠響はその思いを込めて、懸命に取り組んだ。