夏の部活動！　運動部も文化部もね☆｜リアクション

夏の部活動！　運動部も文化部もね☆

●まるで運動部

　夏休み。
　青山絢は演劇部の練習のため学校に来ていた。
　今日は基礎トレーニングの日なので動きやすい格好を意識して、薄い青地にユーモラスなおばけの柄をあしらったTシャツに、寝子島高校のジャージを合わせている。
　他の部員たちも徐々に集まってきた。皆が暑いと何度も口にする。絢も学校にくるまでの道でそれは思っていた。たしかに今日は雲もなく、太陽がとても眩しい。演劇部のトレーニングは屋内なので、外に比べればまだ良い方かもしれない。

（熱中症にも気を付けよう）

　部員が全員揃うと講堂の壇上にあがり、トレーニングメニューを始める。
　まずは円になって全身ストレッチ。演劇は体全体を使って行うので念入りに１５分かける。次に丹田を意識した腹式呼吸と下半身の筋トレ。これらもそれぞれ１５分ずつ行う。

（暑い……）

　ここまででまだ１時間も経っていないが、うっすら汗を感じる。しかしまだ終わらない。これは体の基礎練習で、これから声の基礎練習を行う。腹式呼吸で、頭・鼻・口・喉・胸・肩・顔全体を振動させる発声を１５分、滑舌練習を１５分。

（演劇部って文化部……のはずだけど）

　ここまでのトレーニングを終えて、絢はすっかり汗みずくだった。演劇部は分類では文化部なのだが、実際は基礎練習など完全に運動部と大差ない。絢は首にかけたタオルで汗を拭いたり、合間にスポーツドリンクを飲んで水分補給を欠かさない。
　こうして体と声の基礎練習を終えた一同。すでに疲れている部員も何人かいるようだ。しかしここからが本格的な練習の始まりである。
　これらのメニューを終えると、台詞集を取り出す。１つの台詞に様々な感情をこめて、何度も何度も繰り返す。そうやって気分を高めていって、別の部員から即興でツッコミを入れられたら、即座でアドリブで返したりと休む間がない。
　演劇を成り立たせるためには体の動きが必要で、台詞を観客に届けるためにはしっかりした発声が必要になる。他にも気を付ける点を挙げていけばキリがない。そういったものをこの練習のなかで少しでも自分のものにするという気概が絢には感じられた。
　
　そんな風に熱を込めて部員たちと練習に励んでいたら、いつの間にか門限まであと２０分ほどに迫っていた。急いで後片付けをして制服に着替えると、ギリギリで学校を出る。

（今日も充実した一日だった）

　体は疲れているし、喉もだいぶ使った。それでも絢はそう感じた。

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