反転の逆立ち｜リアクション

反転の逆立ち

　響タルトの案内で小洒落た喫茶店に着いた。木造の店舗を囲うように木々が生えている。山の麓にある山荘を想像させた。
　タルトが扉を開けて促す。
　少し緊張した面持ちでシオ・レイゼルオークが中に入る。
「素敵です」
　店内は程よい明るさで抑えられていた。焦げ茶色の床と白い壁のコントラストが際立つ。光源として吊り下げられたランプは年代物だった。
「好きなところに座っていいんだよ」
　ひょっこりと顔を出したタルトはテーブル席へ軽やかに向かう。シオは周囲を見ながら付いていった。
　二人は向かい合うように座るとエプロンドレスを着た妙齢の女性がメニュー表をテーブルに置いて開く。シオとタルトは覗き込む姿となった。
「……かき氷パフェ」
　シオの呟きにタルトが笑顔で反応した。
「いいね。味の種類で迷っちゃいそうだけど、僕はフルーツ味にするよ」
「それなら私はカフェオレ味にしようかな」
「承りました」
　女性は一礼して下がると注文を通した。
「シオさん、もしお腹に余裕があったら別の味も試してみようよ」
「そうね。ミルクティー味が気になって」
　間もなくして注文の品が届いた。
　タルトは大きな口で頬張る。
「うん、運動の後の甘いものって最高ー」
「本当にそうですね」
　シオは言いながらこめかみの辺りを指で押した。目にしたタルトは子供っぽい笑みで言った。
「もしかしてキーンってなった？」
「どちらかと言うとボーですか」
　近くに置かれたソファーに目がいく。ああ、と切ない声を漏らし、思わず下唇を噛んだ。
「別に横にはなりませんよ？」
「うん、わかるよ。その気持ち」
　二人の微妙な笑みは、かき氷パフェで本物の笑顔に変わった。

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あとがき

担当マスター：黒羽カラス
ファンレターはマスターページから！

　反転した世界はいつもと違う状況を作り出しました。
　逆立ち自体、あまり馴染みがないと思います。しかも夏場です。
　アスファルトは熱々の鉄板のような状態になっているでしょう。
　皆さんのアクションを見て悪戦苦闘の姿が目に浮かびました。
　なぜなのでしょう。私自身が逆立ちをしたくなりました。壁に寄り掛かって試してみました。
　もう、大変です。始めた瞬間から手がプルプルしました。頭に血が集まり、目の充血が心配になります。
　この状態で街中を歩くなんて！　と思いましたがシナリオではどうにかなりました。

　苦労の絶えないシナリオではありましたが、楽しめましたでしょうか。
　今後も私らしいシナリオを提供していきたいと思います。
　最後になりました。ご参加、ありがとうございました。
　またのご参加、お待ちしております。

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