異世界転生・ギガンティックバトル｜リアクション

異世界転生・ギガンティックバトル

【決着[1]】

　アイビーレオの猛攻に、LBMは苦戦を強いられていた。
　スピードを生かした突撃戦法を取る萌々子に対し、楓香はギリギリで回避を続けるばかりで防戦一方だ。
「……楓香君。もっと落ち着いて」
「だ、誰のせいだと思ってるんですかっ！？」
　胸元に顔を埋めながら少し息を荒くする秘月に、楓香は全力で突っ込む。
　ベッドを模したコックピット内で女二人が肌に吐息を感じる距離でくっついているという状況が二人の息を荒く、耳を先っぽまで赤く染めあげさせていた。
『しぶといですね！　これで決めます！　ビーストモードオーバーライド！』
　刹那、萌々子のアイビーレオが凄まじい加速でLBMに迫ってくる。
「は、速いッ……！？」
　高速機動でレーダーロストした敵機に、楓香は焦る。
「……落ち着いて。彼女の意識を乗っ取っているあの獅子型の頭部だけを念動力で撃ち抜くんだ。大丈夫。君にならできる。私が支える」
「……っ！　……わ、わかりましたっ！」
　秘月の言葉に、楓香はきゅっと目を閉じた。
　そして、念動力発現の鍵である花弁が舞い散る姿を強くイメージする。
「……見えた！　フォーリンスロウリィ！」
　LBMから念動力型ビームポッドを射出、アイビーレオの頭部を正確に捉えて一斉射撃する！
「え？　なにっ……？　頭部への一撃がっ……きゃあっ……！」
　狙いは見事アイビーレオの頭部を撃ち抜き、意識を失った萌々子は地面に墜落する。
「……やったね！　楓香君！」
「ひゃあ！？　ら、卵城さん！　そこは駄目！」
　グリグリと密着させた身体を擦りつけてくる秘月に、楓香は胸の先端が擦れ合うのを感じて変な声が出てしまう。
「……ふふ。照れている姿も……可愛いよ……」
　と、そのとき、じつは秘月の疲労は限界に達していた。
「え……？」
　薄れゆく意識の中、秘月は優しく楓香の額に口づけて、パタリと気を失った。
「ら、卵城さん……！？　……よかった、気を失ってるだけか」
　楓香はホッとすると同時に、もう一人心配しなければいけない人物がいたことを思い出す。
「そうだ！　萌々子ちゃんっ！」
　楓香は撃墜したアイビーのもとへ急ぐ。
　コックピットは外したために、パイロットは無事なはず――だった。
　だが、
「萌々子ちゃん？　しっかりしてっ……」
「あれ、私何して……？　うっ……ごほっ……」
　アイビーレオの高速機動に耐えきれなかった萌々子の身体は、すでにボロボロになっていた。
「……そう。私は仲間を……。ごめんなさい。それから、ありがとう……」
「萌々子ちゃん？　萌々子ちゃん……っ！」
　それからしばし、楓香は戦友の亡骸を抱き、大粒の涙を零して泣いた。

　想花は、限界を越えた高機動で志桜里の翼と尻尾をかいくぐり、狙ったポイントに最接近を果たしていた。
「くっ……！　たかが人間がっ……！」
「食らえ、スパイラルダストシュート！」
　想花の叫びとともに、巨大化した拳が志桜里の鱗を穿つ。
　凄絶な一撃。だが、それは志桜里の怒りを加速させた。
「おのれっ……！　人間風情が！」
　怒りを露わにした志桜里は手近な鉄塔を引き抜き、ダイアモンドグラップラーを串刺しにする！
「う、うああああああああああああああっ……！？」
　想花の悲痛な叫びに、真白は息を胸に詰まらせる。
「……そ、想花ちゃんっ！」
「……っ。……ぼ、ぼくはだいじょうぶ。それよりも――」
「え……？　何、聞こえないよ！？」
　幸い無事だったらしき想花から通信が入るが、その声はノイズにまみれて消えてしまう。
　と、そのとき、指令室にいた修から通信が入る。
『聞こえているか！　先の攻撃で、奴の鱗が欠けた！　映像を送る！　そこに全力で攻撃を叩き込め！』
　電子音とともに、鱗が欠けた箇所の映像が送られてくる。
「……あそこを狙えばいいんだね！」
　頷いた真白はミドガルズオルムを鱗の欠けた箇所へ急加速させた。

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