非科学的なモノ（おばけ）なんてない！！｜リアクション

非科学的なモノ（おばけ）なんてない！！

　◆第一章「あつまれ！　脅かし役の皆の衆！」

　落神神社をゆっくりと、それこそ何にも遭遇したくないとゆっくり歩を進める鷺来瑞毅。
　そんな彼を脅かすことが今回の目的なメンバーが、ついに集結した。

「ふふふー。生涯忘れられない肝試しにしてあげるのですー」
　純白の衣装を身に纏い、ふんすふんすと楽しくなりそうな雰囲気を感じ取るゼロ・シーアールシー。
　得意技である『白い服で長い髪の女の子がいつの間にかいる』をお披露目出来る場があると聞いて、しっかり衣装まで用意して馳せ参じた。

「やっぱり雰囲気が凄いんだよなぁ……。よかった、１人じゃなくて……」
　夜闇に紛れるように黒い服を着用し、クーラーボックスを片手に少々辺りを見回す月原想花。
　順路周辺の雰囲気が怖くて飲まれかけていたが、脅かし役が自分以外にもいてよかった、と少々ビビリな面を押し隠している。

「さーて、どうやって脅かそうかな～。道具は色々あるみたいだし、人もたくさんいるし、色々出来そうだねぇ」
　いい意味で悪い顔をしながらも、借りた道具をいくつも手元に用意している響タルト。
　ホラー愛好会の会員として、そして何かが起こってもおかしくない雰囲気の落神神社での肝試しと聞いて、この楽しいイベントは見過ごせない！

「脅かし役なら私達におまかせっ！」
「脅かし役良いね、あたしも乗ったっ！」
　猫又をテーマに、猫耳と尻尾のアクセサリーに加えて襤褸で雰囲気を作った吉住志桜里と吉住獅百合の２人。
　志桜里は黒猫、獅百合は白猫とそれぞれの色を強調しており、まさに双子の猫又といった様相が見て取れる。
　時折猫の鳴き声を真似しながら、しっかりと猫又になりきろうとと奮闘中である。

「いやぁ、やっぱり肝試しと聞いたら、幽霊がいないわけにもいかないじゃないですか」
　最後に、『非科学的な存在である自分はそれこそどうなんだ？？』というツッコミを向けながらも参加した乱蘭・フローレンス。
　あやかしはあやかしなりの脅かし方というものがあるのだから、しっかりがっちり脅かしてやろうと目論んでいる様子だ。

　全員それぞれが得物を持って、衣装を着替えて、準備万端。
　誰がどの場所で脅かすか。どのような組み方で共に行動をするか……などなどを軽く話し合う。

「最後のこの道には幽霊係がいると良さそうなのです。ということで、ゼロは最初の脅かし役をやるのです！」
「おっ、いいねー。じゃあ僕はその脅かし役を盛り上げるための道具を使ってみるよ！」
「わあ、タルトさん、よろしくなのですー！」

「ふむふむ、じゃあ私と獅百合……じゃなくて、シロはペアを組んでこの中間～終盤にセットしておこうかな！」
「黒猫と白猫がビャッと出たら、それはもう驚くだろうねぇ」
「楽しみだねぇ、クロ」
「楽しみだねぇ」

「ということは、ボクと想花ちゃんで最序盤を飾る形になりそうですね？」
「最初のインパクトが一番大事だから、失敗しないようにしていきたいなぁ……」
「ふっふっふっ、ひんやりと冷たくするでござるよ～」

　話し合いの末、最初に想花と乱蘭、中盤に志桜里と獅百合、最後にゼロとタルトのペアで瑞毅を脅かすことになった。

　それぞれの場所を猫乃宮ヤマトの渡してくれた紙に書き込むと、いざゆかん、と６人は一緒に足を踏み出す。

「行ってらっしゃいませ。……楽しんで来てくださいねぇ」

　クスクスと、小さく笑ったヤマトの姿が暗がりに消えて行く。
　それに気づく者は、誰もいない……。

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