改造版・ねこっこ☆モンスター｜リアクション

改造版・ねこっこ☆モンスター

「すいません、チェンジで！」
　逆巻天野は叫んだ。
　しかし、五分。十分。いくら待てどもなんの反応もない。
（まさか……）
　彼の中に交換はできないのだろうかという不安が湧き上がった。
　残念だが、まさにそのとおりである。
「嘘だろ……」
「どうしたんだ？」
　意気消沈、気を失いそうになる逆巻に声をかけたのは、街ゆくドラゴンだった。
「あ、あの――」
　逆巻はすがるような思いで、今までの経緯を話す。
（よかった、ドラゴンが話を聞いてくれる人で）
　一瞬涙腺がゆるみそうになったが、グッとこらえた。
「それでどうしてプログラムが変わってるのかなって……先生は誰に作られたんです？」
　ドラゴンは熱心に話を聞いてくれるが、返事はない。
「わかりませんか……？」
　恐る恐る逆巻は尋ねた。
「悪いな」
　ドラゴンはいたわるように逆巻の頭を撫でる。
「あ、そんな……先生が悪いわけじゃないんで」
　逆巻は珍しく素直にはにかんだ。
（ちょっと照れくさい……でも、嬉しいかも）
　御礼を告げてドラゴンと別れると、事細かに観察して回る。
「アタシも撫でてあげるわよ」
　邪魔をするフジコヤマをなだめながら。
（きっと犯人も中に居るんじゃないかな）
　それがろっこんなのか、なんなのか。少なくとも制作者の意思はどこかに記されているんじゃないか。
　そう信じて逆巻は歩いた。
「ッ痛」
　そうこうしていると、飛び出してきたデコリーナとぶつかる。
「悪い、逆巻！」
　あとからついてきたのは八神修。
　逆巻は（八神のパートナーか）と気がついた。

「天野君、ごめんなさい。フジコせんせーこんにちは」
「あら、野々ちゃん、八神ちゃんどうも」
　デコリーナの相手をフジコヤマがしている間、逆巻は八神と話すことに。
「こんなとこでなにしてたんだ？」
「ちょっと調べ物を」
　そのひとことで八神はピンときた。
「……ゲームについてか？」
「ご名答」
　八神は一度考え込む。このゲームの存在意義や改造理由も気になってはいたが、彼にはそれ以上の気がかりがあった。
（七夜が隠しキャラでいる可能性……）
　万が一、七夜あおいがこのゲーム内に存在したら。
（許しがたいな）
　思考の整理を終えて、八神は改めて逆巻に問いかけた。
「なにかわかったか？」
「まだなにも」
　まだなにも。逆巻の言葉を口の中で反芻してから、八神は頷いた。
「俺も協力しよう」
「そう。それは心強いね」
　今後の動きが決まったところで八神はデコリーナに向き直る。
「あ、でも、野々は退屈か？」
　モデルの野々から考慮すると、『面白い事楽しい事が大好きで明るい』なはずだと八神は考えていた。
　そんな彼女を自分の用事で振り回すのは申し訳ないような……。
　そういう思いで、八神はデコリーナを見つめる。
「ふふ、アタシと遊びましょ」
　そこに思わぬ救世主が現れた。
　フジコヤマ。
　母性愛あふれる微笑みを浮かべて、デコリーナの頭を撫でる。
「わーい！」
　デコリーナは嬉しそうにアホ毛を揺らした。
「フジコせんせーが遊んでくれるから、退屈じゃないよ」
「そうか」
　デコリーナが笑う。
　八神も笑う。

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