南紀白浜を臨海学校で味わい尽くす！｜リアクション

南紀白浜を臨海学校で味わい尽くす！

「もう、時間がなくなっちゃうよっ！」
　姫神絵梨菜はツインテールを振り乱し、猛烈な勢いで疾走する。温泉の心地よさに浸って先程まで夢の中で戯れていた。
　その時間を取り戻そうと見つけたラーメン店に駆け込んだ。窓際のテーブル席に落ち着くと店に貼り出された一品に目が留まる。
「いいかも♪」
　目を細めて豚骨醤油ラーメンを注文した。
　待つ間、頭の中で色々と考える。
　――頼んだのはいいんだけど、家系とは違うのかなぁ？　来るのが楽しみ。こう見えて中華にはちょっとうるさいんだよねっ♪
「こちら豚骨醤油ラーメンになります」
　すっと横から差し出された。白い皿の上に丼鉢が置かれ、絵梨菜の興味は中身に移る。
　端に添えられた海苔が目立つ。真ん中で主張する半熟卵は縦に割られ、とろりとした黄身を覗かせた。散りばめられた刻みネギが彩を添え、メンマとチャーシューは同色のスープに馴染む。
　添えられた割り箸を手に麺を啜る。レンゲで黄身を溶かしたスープを飲み、じっくりと舌で味わう。
「細麺なのに硬さがあってスープとの絡みは良い感じ♪　味は濃厚でいて後味はすっきり。生のネギの辛みがアクセントになっていて、一言で表現するなら美味しいだね♪」
　ラーメン評論家となって箸を動かす。美味しさに呑まれ、感想を口にする間もなく食べ切った。
「あー、美味しかった」
　最後の一言も同じで笑みが零れる。
　絵梨菜は上機嫌で店を出た。途上、目にした土産物屋に立ち寄り、一目で気に入ったキーホルダーを購入した。
　早速、スマートフォンに取り付けた。水色の身体で顔と腹部が白い。口の部分は黄色くペンギンに似ていた。
「このゆるキャラ、とっても可愛いっ♪」
　指先で軽く突いて足取り軽く海辺を歩いた。