アニマル☆スパリゾート｜リアクション

アニマル☆スパリゾート

●サービス精神旺盛アニマル

　派手めの赤に黒のラインが入った水着に着替えた桜井ラッセルは、さっそく室内風呂へ。
　様々なお風呂があるので、どれから入ろうか迷ってしまう。
「へー……ここがスパなんだ。確かマナーとして体洗って……入るんだよな」
　浴槽に入る前にかけ湯やシャワーを使う。
　湯舟の中で体を洗わないといった入浴のルールや作法を脱衣場などに掲示しているところもあるが、ここにはそのようなものはない。
　それでも一応のマナーということもあり、お風呂を楽しむ前に体を洗う客もいるのでそれに倣う。
　体を洗ってからと思ったが、石鹸を持ってきていないことに気づいた。
　どうしようと思っていたら石鹸、シャンプーとコンディショナーを甲羅に乗せたカメがやって来た。
「これを使えと？」
　そう言うなりカメの動きが止まったので、使ってもいいのだろう。
　よく見ると、他にもカメが持ってきたものを使い頭と体を洗っている客がいた。
「ちょうど使いたいと思っていたんだ。遠慮なく使わせてもらうな」
　サービス精神旺盛なカメだな、とラッセルは感心した。

　頭と体がさっぱりしたので、どのお風呂から楽しもうかと歩き回っているとサウナ近くの水風呂で泳いでいるペンギンを発見。
「お！　ペンギンまでいるのか！」
　元カナヅチの身としては、水風呂をうまく泳ぐ姿は同じ鳥科（ろっこん的に）として憧れだ。
「ペンギン、よかったらもっと泳ぐ姿を見せてくれよ」
　とことこと観察がてら、ペンギンを撫でる。
　前にも触ったことがあるが、改めて触り感覚を再確認。
　ツヤツヤな羽毛だが、羽を触っている感じではなく魚のようなピチピチとした感触だった。
　その下は脂肪ではなく、筋肉や骨の硬さを感じた。
「素早く泳いでるから、表面は柔らかい毛だと抵抗増えて泳ぎにくそうだからそんなもんだよな」
　嘴とフリッパー（翼）は凶器だそう……なので、そこは慎重に触る。
　もっとペンギンの触り心地を堪能……と思ったが、もう結構！　と言わんばかりな態度で逃げられた。
「触らせてくれてありがとな」

「あ、ペンギンさん、こんにちはです」
　それと入れ違いで、リリエル・エーテライトがペンギンに近づいた。
　プールで泳ぐ特訓をする前に室内風呂でまったり、というところでペンギンに会えたのは嬉しかった。
「ふわぁ、さすがペンギンさん。泳ぎが上手です……」
　水風呂を泳ぐペンギンを見て、上手に泳げるようになって友達をびっくりさせられるように頑張ると意気込む。
　それを感じ取ったとか、1羽のペンギンがリリエルの手をペチッと叩いて伸ばしてきた。
　その後、フリッパーをバタつかせ広く泳げる場所に連れていけと要求しているような仕草を。
「泳ぎ方を教えてくれるんですか？」
　言葉がわかるのか、首を縦に振るペンギン。
「わーい♪　それじゃあ特訓お願いします！　さっそくプールに行きましょう！」
　ペンギンを抱っこして、リリエルは上機嫌で大型プールに向かった。

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