霊界おうち探訪！｜リアクション

霊界おうち探訪！

〇根無し草の居場所？

　デモリック・プライラは、寝子島にやってきたあやかしの雑誌記者を前に目を瞬かせていた。
「吾輩に取材？　住処……？」
　デモリックは20歳前後ぐらいに見える女性だが、立派な角二本と蛇の頭の尻尾が生えている。
　西洋からきた悪魔である彼女は、単に西洋妖怪と呼ばれることもある。
　本人はどちらで呼ばれてもいいと思っているが。
「ふーむ吾輩人間でいう所のバックパッカーな根無し草だから、そこまで決まった住処っていうのがないのだな。旅の途中見かけてここに立ち寄ったのだ」
　根無し草という割に偉そうな態度と喋り方で、なんだか説得力がある。
「お気に入りの居場所とかでもいいんですが」　
　食い下がる記者に、デモリックは考える。
（一応普通に金はあるから、今は妖怪的な事してる以外は旅館とかホテルを気が向いた時に泊まる感じだけど……取材として面白くないのでは……？）

「あー…根無し草で今日だけのでいいなら別にいいぞ。よしそれじゃあ、吾輩妖怪的な事してる時泊まる事もあるし、どういう風にやってるか教えてやろうじゃないか」
　デモリックは偉そうに語りだした。
「吾輩日本でいうぬらりひょん的な所あるから、まずなんとなくいいなぁと思う人間を探すわけなのだな」
「なるほど」
　記者は筆を取り出しメモを取っている。
「やはり清潔な者の方がいいからそれらしい奴を選ぶんだが、意外と清潔そうな奴がものすごく汚かったりするから経験が物を言ったりするのだな。
そこまでしたらそいつの家を見つけ出して玄関開けてたりしてる間に気配を消してスッと入り込むのだな」
「ほう、バレないものですか？」　
「もぐりこんでしばらく家を開けるならゆったりできるんだけど、家にいる場合は妖怪の意地にもかけてバレる訳にはいかないから、気合入れて隠れて夜を待つわけだ」
「さすがですね」　
「後は妖怪としてしっかり仕事を……っと今更だがこれ載せて大丈夫なのか？」
　そこまで話したデモリックは急に心配になった。
「もしあれなら目線と名前伏字で頼むぞ！？」
「名前は仮名ですね。写真を撮らせていただけるなら、目線は入れますとも」　
　いつしかデモリックは、記者の誘導に乗せられ写真を撮られていた。
「お仕事がやりづらくなっては困りますよね。任せてください」
「……よろしく頼む」

　なお、『妖怪的な事』とぼかしたが、実は寝てる人の足の裏を舐めるだけである。
　それがコンプレックスになっていたデモリックは、自分のことを知らない所まで旅してきたのだった。

　

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