熱く、冷たく？　サマーバレンタイン♡カーニバル！｜リアクション

熱く、冷たく？　サマーバレンタイン♡カーニバル！

☆先生と一緒に

「今年は尚輝先生をお誘いしてサマーバレンタインカーニバルに行きましょう」
　寝子高３年の御巫時子は、着物を着て日傘をさして出かけました。
　待っていた五十嵐尚輝先生に、声をかけます。
「こんにちは。今日も良いお天気ですね」
　尚輝先生は笑みを浮かべて言います。
「ええ。去年も思いましたが人が多いですね」
　去年も時子はカーニバルにやってきて、たまたま尚輝先生と会ったのです。
「去年もとても楽しかったです」
　去年を思い出して、時子はそっと手を差し出しました。
「逸れないように手を繋いでもいいですか？」
　頷いて、先生はその手を取ってくれたのでした。
　去年より、少しだけ自然で、力がこもっているような気がしました。

「パレードが巡ってて賑やかですね」
　今年は先頭で赤い衣装のチアリーダーたちが踊っています。
　見ているうちに、時子は参加したくなってきました。
「先生、サンマさんに声をかけて一緒にトラックに乗せてもらいましょう」
「えっ？」
「去年は見るだけでしたが今年は参加してみるのも楽しそうです」
「着物で大丈夫ですか？」　
　先生は少し心配そうでしたが。
「普段着ですから、大丈夫ですよ」
　あっさり時子は言い、サンマさんも歓迎してくれました。
「おお、着物は華やかでいいな！　後ろのステップから乗るといいぜ」
　手すりを掴んで上る時子の後ろに、心配そうな尚輝先生が続きます。
「ね、大丈夫でしょう？」
　荷台に腰を下ろした時子がそう言うと、隣に座った先生はやっと落ち着いた表情になりました。
「そうですね」　
　時子は渡された袋から薔薇の花びらを掴みだし、撒き始めます。
　赤い花びらは風に舞い、道に広がって赤い絨毯のようになりました。
「甘い香りで、心がドキドキわくわくしてきますね。尚輝先生、楽しんでいますか？」
　一緒に楽しみたい、そんな思いで時子は尚輝先生を見つめます。
「ええ、とっても楽しいですよ」
「良かった」
　沿道で楽しそうに見ている人が手を振ってくれました。
（あの子、前に会ったことがありますね）
　そんなことを思い出しながら、笑顔で薔薇の一輪ブーケを渡します。

　時子は、荷台にあった赤い一輪ブーケを取り、そっと尚輝先生の胸に手を伸ばしました。
「えっ？」
　不思議そうに尚輝先生が、ポケットに飾られた薔薇を見つめます。
「よくお似合いです」
　心から時子はそう言ったのでした。

　最後に、今年も時子は可愛くラッピングしたチョコを取り出しました。
「手作りですか？」
「やっぱりバレンタインですから。尚輝先生、ぜひ食べてくださいね」
「ありがとうございます」
　と尚輝先生はチョコを受け取ってくれたのでした。