熱く、冷たく？　サマーバレンタイン♡カーニバル！｜リアクション

熱く、冷たく？　サマーバレンタイン♡カーニバル！

☆カップルデート？
　
「賑やかなイベント、野々さんが好きそうだし誘ってみよう。喜んでくれたら嬉しいよね」
　寝子高３年の佐藤英二は、クラスメートの野々ののこを誘いました。
「楽しそう！」
　案の定ののこは目を輝かせ、英二の渡したチラシに目を落とします。
「バレンタインメニューだって。もしかしてチョコ牛丼もあるのかな？」
　などと言い出しました。
「え、牛丼？」
　その時英二が思い出したのは、１年生のバレンタインのこと。
『だって、デートってお昼に牛丼食べることでしょ？』
そんなののこの言葉がよみがえって、つい英二はつぶやきます。
「いや、決してカップルデートとかじゃないよ、うん」
「何か言った？　それじゃ、楽しみにしてるね！」

　そして今日、英二はののこと一緒にパレードを見物にやってきたのでした。
「あっ、サンマさん！　マンボウくんも。こんにちは～」
　ののこはさっそくサンマさんたちに話しかけます。
「おう、嬢ちゃん、来てくれたんだな」
　ののこはサンマさんから一輪挿しの薔薇のブーケを貰ってご機嫌です。
　ののこがサンマさんと話しているうちに車列は進み、英二はトラックの荷台の彰尋に気づきました。
「あっ、彰尋くんだ！　ヤッホー♪」
　彰尋も笑顔で手を振り返します。
「野々さんはもうもらってるんだね。欲しい色はある？　赤がいいかな？」
　尋ねられた英二は、ちょっと考えて答えました。
「あ、うん、赤で」
　彰尋は心を込めて、英二に薔薇のブーケを渡しました。

（何やら暖かい視線を感じるけど、カップルデートだと思われてるのかなあ）
　英二はちょっと恥ずかしくなり、照れ隠しに声を上げました。
「野々さん、パレードと記念撮影しようか」　
「いいね！　それじゃ英二くんもこっちに並んで♪」
　サンマさんやマンボウくんと一緒に、二人は並んで写真に納まりました。
　彰尋が撒いた赤いバラの花びらも背景に彩りを添えました。

（やっぱり野々さんって、こういう楽しい雰囲気のイベントが似合う。というか、喜んでる野々さんと一緒にワイワイとしたイベントに参加するの僕も楽しいしね）
　パレードに手を振るののこを見ながら、英二は微笑むのでした。

「ライスチョコやチョコカレー、食べてみたいよね！」
　英二はののこと共に、パレードから離れてお店を探しました。
「あった！」
「ラ、ラブラブチョコレートカレー？」
　指さすののこと共に、ちょっとドキドキしながら店に入ります。
「初めて食べるからどんな味か気になるなあ」
　周囲はカップルだらけで、ままよ、と英二はののこと同じラブラブチョコカレーを注文しました。
「いただきまーす！　あ、美味しい！」
　さっそく食べたののこが笑顔になります。
「意外としっくりくる味かも？」
　英二も頷いて、チョコカレーを味わったのでした。
「チョコ牛丼はないみたいだけど、ライスチョコも美味しそうだね」
　そんなののこの笑顔を見ながら、英二は思います。
（野々さんの楽しそうな笑顔が見れたから……今日も良い一日だよね）