熱く、冷たく？　サマーバレンタイン♡カーニバル！｜リアクション

熱く、冷たく？　サマーバレンタイン♡カーニバル！

☆あれから１年

（あれからもう１年経つのね）
　寝子島町役場に勤務する三折部朝衣は、昨年のサマーバレンタインのことを思い出していました。
　それは彼女にとって新たな恋の始まりでした。
　シーサイドタウンにある洋食レストランのシェフで、朝衣と同じサーフィンを趣味とする住沢遥人と出会えたのです。

　２１歳の朝衣は今年の春に中沢リッカルド町長の秘書になりました。
　最近、仕事が忙しくてなかなか遥人と逢えません。
（ＮＹＡＩＮＥで連絡を取っているし、電話で声を聴いてもいるけれど、それでも……）
　やはり逢いたい、と思うのです。
（町長もイベントに参加するから、きっと自分も去年のように色々と駆けずり回ることになるだろうな）
　そう思い諦めていたのですが。

　ところが町長は意外なことを言い出しました。
「サマーバレンタインは休んでいいよ」
「えっ？」
「素敵な彼氏と一日過ごしておいで」
　そう言ってウィンクする町長に、朝衣は涙が出そうになりました。

　そして迎えたサマーバレンタインの当日。
　久しぶりに会えた遥人と恋人繋ぎをしながら、朝衣はサマーバレンタインで賑わう街を歩いていました。
　今日の服装はサンバイザーにライトブルーのタンクトップ、デニムのショートパンツにミュール……去年のサマーバレンタインで着た思い出の服です。
　マニキュアも服の色に合わせて、ばっちり決めているのでした。
「パレードを見に行きましょう」
「いいのかい？　呼び出されたりしない？」
　遥人の言葉に、ちょっと心配になる朝衣。
「休みもらってるんだし、たぶん……」
　でも本当に忙しいなら、知らんふりはできないでしょう。
　おそるおそるパレードに近づくと。
「朝衣さん楽しんでる？　バラをどうぞ」
　同僚にバラのブーケを差し出され、ほっこりするのでした。

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