星の願いはきらめいて｜リアクション

星の願いはきらめいて

「みんなーっ、おつかれさまーっ」
　小料理屋の座敷席で、きなこが座布団を用意してくれる。
　人の願いを叶えるお手伝いをした４人は、心地よい疲れと共に、花緑青駅前の店に集まっていた。
「きなこー、頑張った私を労っておくれー」
「うんうん、みちちかくんはすてきだったよ。ぶれすれっどをさがしにきたおんなのこ、なぐさめてあげてたよね」
　道哉はすっかりくつろいで、猫なで声できなこに甘えている。彼女が持ってきてくれた、あつあつのおばけ茶とひんやりおばけ葛切りで、心もお腹も満たされたという顔だ。
「ありあちゃん、ぼとるしっぷのこ、おとうとにわたせてうれしそうだったよ。わたし、みにいったもん」
「ほんと？　うれしー！」
　ありあは、きなこが人形用に作ってくれた小さなサイズのお茶と葛切りにご満悦だ。
「ちあきちゃんもおつかれさまでした。おーえるさんすきっぷでかえったよ。おみせのじゅんびをてつだってくれたもののけたちにおりょうりをあげたら、だいにんきなの」
「まぁ、よかったわ。……あら？」
　お茶を飲み、葛切りの甘さにほっと一安心した千暁だったが、窓から星空を見る三恵の横顔に気づく。
「三恵さん、何か心配事でもあるのかしら。葛切りにも手をつけていないし」
　千暁の言葉に、きなこはすぐさま飛んでゆく。
「みつえちゃん、くずきりたべていないけど、おなかいたいの？　だいじょうぶ？」
「いいえ、違いますのよ、大丈夫ですわ。星を見ていましたの」
「おほしさまを？」
　きなこは三恵と一緒に窓からふわりと外へ出て、満天の闇に散らばる星屑を眺めた。
「人の夢を見るのもいいですけれど、織姫と彦星のお話もロマンチックですわね」
「そうだね、いちねんにいちどしかあえないもんね。……みつえちゃんもそんなこいをしたことがあるの？」
「うぅん……どうなんでしょう。思い出せそうですけど……思い出せませんでしたわ」
　三恵は笑みを浮かべて、きなこに一緒に葛切りを食べようと誘う。

　夜空ではひときわ大きな星がきらめいていた。

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あとがき

担当マスター：陣杏里
ファンレターはマスターページから！

皆様こんにちは。『あんみつよりくずきりが好き』な陣　杏里です。

この度は、ご参加いただいた方に、チームを組んで活躍！　の運びと相成りました。
いかがでしたでしょうか。
我々タイムで見えるのは冬の星空ですが、たまには空を見上げるのも良いかも知れません。

ご参加いただいた方、お読み下さった方、ありがとうございました。

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