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◆
梓 時治郎
、
梓 時乃
の場合。
「皆さん、はじめまして。こんばんは。
梓 時乃
といいます」
時乃は彼女に注目した人々をざっと見渡して、頭を下げた。
「あら。若いのに、きれいなおじぎね」
近くのテーブルにいた初老の女性の感心した声が聞こえた。うれしそうなにこにこ笑顔だ。
「今から私がご紹介します本は、時代小説で『晩夏の椿』というものです。
舞台は幕末の夏の京都。梓時治郎という新撰組隊士が主人公です。この梓時治郎という人は、私の先祖に当たります」
(時乃のやつ。いきなり本持って出掛けたと思ったら、こんなことかよ)
本棚にもたれて、
梓 時治郎
はあきれ顔でテーブルの時乃を見る。
会が始まったときからずっとここで見ていたが、全員が何かしら本を持ち寄って、その本について考察を述べ、「いい本だから興味を持たれた方はぜひご一読ください」などという言葉で締めくくる会らしい。
ただただ本について話しているだけ。
くだらない集まりだ、と時治郎はあくびする。
時治郎は学がない。
彼が生きていた時代、そういったものは限られた一部の、恵まれた家の子息が受けられるもので、今のように全員が平等に受けられる権利ではなかった。
それでも新撰組隊士が文字を読めないでは務まらないので、長じるにつれて文字については学んでいったが、学問のほうはからきしだ。
本を読みたいとも思わない。
(ま、この時代に書かれた本なんざ、開いて見たとこで、ミミズののたくり字にしか見えねえがよ)
以前、何をそんなに熱心にやってやがんだと、何度か勉強する時乃の肩越しに開いた教科書やノートを覗き見たことがあったが、何が書かれているか、さっぱりわからなかった。
どうせ今の幽霊の体じゃ手に取ることもできやしないんだから、それは別にいいのだが。
そんな時治郎でも気になる本がある。
時乃が今まさに講釈を口にしている、『晩夏の椿』がそれだ。生前の時治郎を主人公にした小説。
どんなことが書かれているか、中身が気にならないはずがないだろう?
だからこそ、くだらない、退屈な会だと思いつつも、ここにこうして立っているわけだった。
「通説では、過激な言動が多かったそうで、「人喰い時治郎」とも呼ばれていたらしく、悪役として描かれる事が多いのですが、この小説の中では、悪名をかぶりながらも、妻も子もいて任務に向かう、人間味のある人物として描かれています。たとえばこの部分ですが――」
腕組みをし、見守る時治郎の前、時乃はしおりを挟んでいたページを開いて、とあるシーンを朗読する。
「でも、それって史実じゃないわよね。それに、人喰い時治郎の話なんでしょう? なんだか怖いわ」
歴史に詳しい女性が参加しているようだ。
彼女を見て、時乃は答えた。
「そうですね。史料の内容とは違っているとして、このシーンを否定する歴史学者もいます。ですが、これは小説です。ここで描かれている姿は確かに史実ではないのかもしれませんが、それでも私は、これは彼についての人となりをわかりやすく表わしているエピソードだと思いますし、ただ事実を書かれた史料よりも、この本に出てくる時治郎の方が人間味があって好きです。理解したり、共感できる部分も多々あります」
(ふうん、俺の事をそんなふうに書いているとはね)
彼が市井の者たちに恐れられていたのは事実だった。彼らが自分のことを「人喰い時治郎」と呼んでいたことも事実。
(女房や倅がいたのも本当だし、確かに新撰組の仕事にはそれなりに熱意を持って取り組んだな)
時乃が朗読したくだりも、完全な作り話ならばっさり否定して作者や本をこき下ろしてやることもできたが、巧妙に事実と創作、考察を混ぜているからそうはしかねるところがある。
(まあ、半々てえとこか)
時乃の言うとおり、それは梓時治郎という人物像を読み手に理解してもらうことを狙って、意図的に書かれたシーンに違いない。
実に巧みだ。
当時の時治郎は、こんな先まで幽霊としてこの世にとどまっているかもしれないなんて、考えたこともなかった。ましてや自分の生き様が文字として残り、何百年もたった後の時代に、ああでもないこうでもないと論議されるなんて。
そもそもが同じ隊士でも日々の出来事の記録をいちいち書き残すようなやからとは仲の悪かった時治郎である。快男子として書かれていたはずがない。むしろ残忍な男として、強調するように書かれていたのではないだろうか。読んだ人々が皆、彼を悪人と認識するように。
(だってーのに、聞いた限りじゃあこの本の中だと俺は、随分と男前に書かれてるみてえじゃねぇか)
少なくとも、この話を書いた作者は時治郎という時の人物に魅力を感じていたのだろう。自作の主人公にするほどに。
そう考えると、なんだかむずがゆいというか、収まりの悪い思いで体を揺する。
ま、いいように書いてくれてるんだ、いちいち文句を付けることもないだろう、と時治郎は結論し。静かに熱意を持って語る時乃の言葉に耳を傾ける。
「……そしてこの小説で主軸として描かれた夏から半年後に起きた鳥羽伏見の戦い、そこに参加していたとの記録を最後に梓時治郎の姿は歴史から消えます。そのことから、彼はこの戦いで命を落としたと言われています。
その後、小説にも出てきます時治郎の息子が父から受け継いだ梓式古流剣術を守り、発展させました。それは廃れることなく現代の私まで伝わっています。
『晩夏の椿』という題名は、今も我が家に伝わる時治郎の愛刀「椿丸」と、そして椿が本来は冬の花であることから、時節に合わない存在となってしまった新撰組のことも表しているそうです。
そして、これは私見ですが。椿は落首をイメージさせて縁起が良くない花と言われます。ですが、私はそうは思いません。椿は、いよいよその時がきたら自ら枝から離れ、潔く散る花です。
自らのさだめを知り、散り際を心得る花。これに、作者は時治郎の生き様を重ねて見たのではないでしょうか。
そんな話をしたくて、今日はここに来ました。ご清聴ありがとうございました」
拍手が起きる。その中には、はじめ、怖い本と否定的だった女性もいた。だんだんと話に釣り込まれ、知らず知らずのうち前傾姿勢で聞いていたその女性は、今ではすっかり笑顔だ。
その後、活発な話し合いが起きる。彼女が子孫だということで、いろいろな質問が参加者から投げられ、その全てに真摯に受け答えをする時乃の様子を、時治郎は見守っていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寺岡志乃
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
10人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年01月15日
参加申し込みの期限
2022年01月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年01月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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