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ウル寅な年明け! 新春☆初夢フェア2022! ~鷹編~
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【前夜】
半地下のミニシアターに、お客はふたりだけ。時間も、誰の目も気にすることなく、ゆったりと没頭することができました。
スクリーンはこじんまりとして見えましたけれど、上映が始まってみればなかなかどうして、見ごたえがあります。音響設備も、時にはやさしくさらりと耳をくすぐり、時にはずずんとお腹に響いて、小さくてもちゃあんと映画館といった風情です。
今日は貸し切り上映会。館内にお客はふたりだけ。
座り心地ばつぐんのチェアにほうっと弛緩して身体をうずめながら、ふたりのお客たちが堪能するのはド派手な娯楽アクション大作ではなく、甘く切ない悲恋の物語でもなく、ちょっとした記録映画です。それもごく個人的な、小規模の。
「あら、このシーン。懐かしいですね、朱真ちゃん」
「うん、本当に。きみはずいぶん笑っていたね、美姫」
葉月 朱真
。
古苗木 美姫
。
ふたりは画面を華やがせるキャストで、それを見つめる観客です。好意的な批評家でもあったかもしれません、どちらも場面が変わるたび口をひらいて、ああでもない、こうでもないと感想を述べあっておりましたから。
さしてインチも大きくない、けれどめいっぱいに迫るようなスクリーンが映し出す思い出を巡る、腰かけたままの小旅行。
「次は……ああ。夏祭りの時だな」
「楽しかったですね。ふふ、朱真ちゃんったら子どもみたいにはしゃいでましたね」
「そ、そうかな? でも美姫だって、ずいぶん楽しそうだったじゃないか!」
「それはもう。だって、朱真ちゃんといっしょでしたから」
思い出は色あせない、なんてよくいったもの。今でもすべて、こうして色鮮やかに思いだすことができます。まるっと全部フルカラーです。
印象深い画面が展開されるたび、ふたりは笑い合います。あそこは気持ちが良かったね。あれは美味しかったですよね。ああ、ここ! ここはすっごく良かったな。ええ、とっても。そんな具合に、すべてのシーンが大切です。
やがて……ふたりはふわり、椅子から浮かび上がります。いえもちろん心地よく腰かけたままですけれど、気持ちとしてはふわふわふわり、です。
朱真が手を伸ばし、美姫がそれを握ると、ふたりは画面の中へと飛びこみます。もういてもたってもいられない、とばかりにびゅうん!
賑やかなお囃子の音や出店の呼び込み声。提灯の灯りに立ち込める多種多様な香りたち。明るい喧噪。それらに郷愁の念を誘われるのは、日本人の性というものかもしれません。
ふたりにとっても、そうであるように。
「綿飴。食べましたよね」
美姫が言うと、手の中にはぽわん、ぽわわん。棒のついたわたあめが生まれます。
朱真がそれをほおばるフリをしてみせて、くすりと笑います。
「うん、美味しかったな」
「あの時朱真ちゃん、綿飴について熱く語り出しちゃって」
「そうそう、電気飴という異名の由来について語ったんだった。ふふ、勉強になったろう?」
「ええ、でも、もう忘れちゃいました。だって……」
この夜はあんまりにも、楽しかったから。
もっともそんなふうに忘れがたく、それでいて細かいことまでは覚えていられないほどに盛りだくさんで楽しい時間を、ふたり、何度も過ごしたことがありました。
ざざあとお祭りのシーンは粒にほどけて、次に現れる場面は、トコナツの海!
『むう。私はこういうの、苦手なんだけどな……』
『私だって……で、でもでも。朱真ちゃんと夏をほら、満喫したいなって……ビーチボールで遊びましょうか? それとも思い切って、サーフィンに挑戦しちゃいますか? あ、向こうでバナナボートのレンタルもしてるみたいです。あれに乗ってゆらゆら波間を漂うのも……』
『仕方ないな。よし、全部やろう』
気のないフリをして美姫と遊ぶ気まんまんな朱真の、少年めいてきりり輝く瞳。直後にはふたりで顔を見合わせ、ふきだしてしまいましたけれど。
波にゆられてほうっとひと息。さんさん太陽を浴びながらおしゃべりに暮れた夏の日も、やがてざざあと流れゆき、次なる場面は旅行のさなかに訪れた古寺です。
「ああ、懐かしいですね。あの塔から眺めた景色、忘れられません」
「うん。そうだな……」
朱真は語ったことがあったでしょうか。この時朱真が見とれていたのは、抜けるような青空でもなく古都の雅な街並みでもなく、ほかならぬ親友の素敵な微笑みであったことを。
理屈っぽく、偏屈でしゃれっけもなかった自分をぐいとひっぱってくれる、穏やかに明るく、美人でスタイルだって抜群な、自慢の親友です。隣に並んでいるだけで、なんだか誇らしい気持ちになることができました。胸があたたかくなりました。
ざああ、と流れて。
「あの夜……たくさん語りあったね。美姫」
「そうですね。ふふ、とっても楽しかったですよね、朱真ちゃん」
なにを語ったでしょう。どのくらい語ったでしょう。それはふたりだけの秘密です。同じおふとんで、夜通し続く、ふたりだけのおしゃべり。ふたりだけの時間。
どれほどに、おたがいにとって大切なつながりとなったことか。あの夜を思えば思うだけ、ふたり、絆は深まりました。
ふわり、ふわんと旅からもどり、ふたりはふたたび座り心地のよい座席へすとん。
スクリーンの移り変わりも止まり、最後に映し出された文字は『おわり』ではなく、『つづく』。それはそう、だってこの先もまだまだ、撮りためてゆく予定ですから。そうしてまた5年後に、あるいは10年後に、上映会は催されることでしょう。
「いろんなことが……ありましたねえ」
「本当に……いろんなことが、あったなあ」
美姫の手はいつのまにか、朱真の手の上に重なって、あたたかく包み込むように。ふたり瞳を結べば自然と、笑みもこぼれ落ちます。
いろんなことがありました。それはもうたくさん、たくさん。
人はきっと、たくさんの思い出によってつくられてゆくのでしょう。楽しい思い出、切ない思い出、それらが絡み合って、寄り合って、積み重なって、朱真も美姫という人間も、そうして形づくられてゆくのでしょう。
そうして大人になってゆくのでしょう。
「ま、私はいまだに中学生に見られたりするけどな……」
「あは、大丈夫ですよ朱真ちゃん。ちゃあんと朱真ちゃんだって、大人になってますから」
「そうかな?」
「そうですよ。だって」
めがねの奥で細められた美姫の瞳には、幸せの色がにじみます。
見つめた朱真の青い瞳にだって、同じ色がうかびます。
「そうでなきゃ、素敵な旦那さまと結婚なんてできませんもの。ね?」
「ん。美姫もね……いや、美姫は学生の頃から大人だったかな? ほら、いろんなところがさ」
「まあ、朱真ちゃん。それってセクハラですか?」
「あはは」
親友同士の気安いじゃれあい、いつものやりとり。こんなのもまたいつか、思い出として振り返ることになるのかもしれません。
そうして……上映会を終えた今、明日をむかえたふたりのすべては一変するでしょう。これより形づくられてゆく思い出は、これまでと同じくまぶしい輝きを放ちながら、その色は真新しくあざやかなものとなるでしょう。
『つづく』の余韻をたっぷり堪能したら、手に手を取り合ってふたり、出口へ。
弾むように歩むうち、ふたりの服は光とほどけ、かわりにどこからかやってきてふたりをとりまいてゆく光条たちが、つややかでなめらかな純白のヴェールへ、純白のドレスへと変わってゆきます。
「みんなで、幸せになりましょうね。朱真ちゃん♪」
「うん。約束だよ、美姫」
前回の上映会は、10代最後の夏でした。今回は明日に控えた幸せな瞬間、その前夜。
さて次の開催は、いつになるでしょう?
思い出をたくさん撮りためて、それらが結晶となって輝きはじめるその時が、今からわくわく。ふたりとも、待ちきれないのです。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2022年01月02日
参加申し込みの期限
2022年01月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2022年01月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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