素材を求めて｜リアクション

素材を求めて

　通称、仕立屋おりおりの店先で裁縫道具の付喪神たちが懸命に呼び掛ける。
「素材集めにご協力ください！」
「四種類の素材が不足しています！　どうか、皆様のお力を貸してください！」
「お礼として店主から特製のキノコ鍋が振る舞われます！　ハッピーな気分になれますよ！」
　そこにゼロ・シーアールシーが通り掛かる。目敏く見つけた針山の付喪神が飛んでいく。
「愛らしいお嬢さん。今、お時間はありますか」
「ゼロなのですー。霊界に迷い込んだので時間はあるのですー」
　ゼロは立ち止まると身体ごと向きを変えた。ロングウェーブの銀髪とワンピースの白いスカートがふわりと広がる。
「素材集めをお願いしたいのですが……」
「わかったのですー」
「断られると思って、え、協力してくれるのですか？」
「そうなのです。行き先を教えて欲しいのですー」
「わかりました」
　針山は四カ所の場所を伝えた。ゼロは感情に乏しい顔で頷いた。
「全て回ってくるのですー」
「ありがとうございます。え、全て！？」
　針山は引き留めようとした。が、ゼロの姿はどこにもなかった。

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