霊界の
赤朽葉(あかくちば)駅の近くに仕立屋があった。通称、仕立屋おりおりで店主は
逢見 いと。見た目は人間の老婆だが足踏み式ミシンの付喪神である。口は悪いが腕は良いと評判で今日も裁ち鋏や針山の付喪神を従えて裁縫に精を出していた。
「二番の布を出しとくれ」
近くにいた糸切鋏に指示を出す。布を収めた棚に飛んでいくと、あのー、としゅんとした声が返ってきた。
「どうしたんだい?」
「……無くなりました」
「補充分は」
「使い切ったみたいです」
いとは手元にあった竹製の二メートル物差しを掴んだ。即座に裁縫台を叩いた。
「どうしてもあの生地がいるんだよ!」
裁縫関係の付喪神はおろおろするばかりで埒が明かない。
いとは大股で歩いて裏手にある『おりおり荘』に向かって声を張り上げた。
「生地に必要な物を集めてくるんだよ! キノコ鍋を御馳走するよ! 気持ちが良くなるおまけ付きだよ!」
「毒キノコが混ざっているのでは……」
針山の付喪神がぽつりと口にした。
今回は霊界の赤朽葉(あかくちば)駅にある仕立屋さんが中心となった話になります。
大型施設が多く活気に溢れた地域ですが、少し範囲を広げれば自然もあります。
詳しい説明は下記をご覧ください。
∞∞∞ 今回の舞台 ∞∞∞
霊界の赤朽葉(あかくちば)駅の周辺。霊界遊園地や霊界スタジアム等の大型施設が見られる。
少し足を延ばせば雑木林や小川等の自然に触れることができる。帰還の方法はアクションで決められる。
例1:お礼のキノコ鍋を食べていると気が遠くなる。気付けば自宅に戻っていた。
例2:方々を探し回るが目的の素材が見つからない。歩き疲れて座り込み、
いつの間にか近所の公園のベンチに座っていた。
例3:霊界遊園地が気になってひたすら遊ぶ。ジェットコースターの回転力で意識が遠のき、
自宅のベッドに倒れていた。
∞∞∞ 集める素材 ∞∞∞
1:あやかしのジョロウグモの糸
雑木林を棲み処にしている。上半身が若い女性で下半身がクモ。若くて綺麗な男性に弱く、
大抵の願い事は叶える。逆に美しい女性には対抗心を燃やす。
艶やかな黒髪やプロポーションを褒められると機嫌が良くなる。
2:垂直に近い崖に咲く紫色の花
染色に使用する。空を飛べる者には楽に採取が可能。ボルダリングや登山の経験者も有利に働く。
3:日陰を好んで生える赤紫の草
染色の時に一緒に混ぜることで色ムラを防ぎ、色の定着の早さにも貢献する。
薄暗いところであれば街中でも見つけることができる。遊興施設が多くある為、採取に意外と手間取ることも。
4:砂浜に打ち上げられた貝殻
加工して服のボタンに使う。様々な貝殻が落ちている。虹色の光沢を帯びた物や銀色の光を放つ物まである。
手先が器用な者は自身でアクセサリーを作って持ち帰ることもできる。誰でも入手が可能となっている。
説明は以上になります。
仕立屋さんの前では裁縫関係の付喪神達が素材集めのお願いをしています。
霊界に引き込まれた、ひとやほしびとさんでの参加が可能となります。
ようは誰でもウエルカムです! 採取の量に関わらず、最後はキノコ鍋で温まります(店奥の掘り炬燵)。
怪し気な作用のキノコ(?)が混ざっていたとしても、命に別条はないのでご安心ください、うぇーい。