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- 00月00日生 00歳
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あやかし大集会！ ～花緑青駅で会いましょう～
「ふわもこぽいーんで本望なのですー」
宙を舞うエロに流星群の勢いで集まるは蒼白い人魂たち。
「手足のあるおねーさん！」
「幽霊船にご案内ー」
無数の人魂たちにまとわりつかれ、ふわふわと宙を飛んで上空の幽霊船へと向かいながら、エロは純粋そのものの瞳で人魂たちを優しく撫でた。
「人魂さんに包まれて空を飛ぶのは気持ちがいいのです」
「ほんと？」
「うれしい」
くすくすと笑う人魂たちと一緒にくすくす笑っているうちに、エロの身体は幽霊船へと押し上げられる。甲板の上では、真っ白な骨の骸骨船員たちや手伝いを請われて乗船した寝子島の住人たちが大わらわで花火玉を甲板の央の山積みの箱から舷側へと運んだり、えいやと空へ投げ込んだり。
「手伝うのですー」
元の大きさに戻り、人魂たちをまとわりつかせながら甲板を駆けだそうとしたエロに目に映ったのは、同じように人魂たちに幽霊船まで引き上げられたらしい黒髪ポニーテールの女の子。
「花火をあげるのですー」
「花火あげるの？」
まるで漫画雑誌から抜け出して来たような美貌の女子から声を掛けられ、響 タルトは栗色の瞳を煌めかせる。
「面白そう！」
「なのです」
ふわりと微笑み、ロングウェーブの黒髪美少女は甲板の央へと向かった。
(どこかで会ったことあるっけ？)
漆黒のミニキャミソールドレスの下から覗く真っ白な脛や膝裏を視界の端に追いかけながら、タルトはちょっと考える。寝子島高校で見かけたことがあるような、ないような。
(あれくらい美人なら男女問わずモテそうだよね)
無意識のうちに極めて自然に趣味であるカップリング考察に入りかける脳に、
(ナマモノは危険だとあれほど)
タルトは強制ストップを掛ける。どうしたのどうしたのと周りをふわふわと飛ぶ人魂たちになんでもないよと笑いかける。
「さ、花火をあげるよ！」
わあい、とぴかぴか輝く人魂たちは、眼下のあやかし広場で開催中のパーティをとにかく盛り上げたいらしかった。
「花火どかーん」
「みんなわーい」
「たーのしー！」
「退屈サヨナラー！」
集まっては離れ集まっては離れしながらわやわやと小さな声でしゃべり続ける人魂たちに、タルトは大きく頷く。
「気が合うね、僕も退屈は嫌いだよ」
だから気が付けば霊界に迷い込んでいたところでそんなに驚きはしなかった。むしろどんなことに出会えるのかと胸がわくわくと弾んだ。
(思ってたより妙に明るいけど)
あやかしたちの棲まう場所聞いてまず想像したのはもっとおどろおどろしくて怪しげな世界。人間とみればその肉や魂を狙って怖いナニカが襲い掛かって来るようなところ。
なのに実際訪れてみれば、空にはキラキラお星さま、レトロで可愛い煉瓦の駅の周りには現代的なカフェにホテルまで揃っていて、座って座ってと可愛くねだってくる付喪神の椅子たちのいる駅前広場ではさまざまのあやかしたちが明るく楽しくパーティと洒落こんでいる。
極めつけは空から落とす花火と来た。
(まあ楽しい方がいいよね)
エロの後を追う恰好で甲板の真ん中へと向かえば、陽気な骸骨船員が鼻歌を歌いながらまん丸な花火玉を渡してくれた。どうすればいいのと問うタルトに、船員は幽霊船の周りをぐるぐると飛んでは纏った火を流星のように撒き散らす車輪を示す。宙に流れる焔に上手く投げ入れれば、花火が咲く仕掛けらしい。
失敗してもなんとかなるぞと顎骨をカタカタ鳴らして笑う骸骨船員に、タルトはいいねと明るく返す。
「どっかんどっかん、いっくよー！ ……っと、そうだ」
渡された花火玉を両手で抱え、舷側まで向かおうとした足がふと止まる。
せっかく霊界を訪れることができたのだ、これだけは聞いておかねばなるまい。
「霊界って薄い本あるの？」
いわゆる同人誌ね、と注釈をいれるタルトに、そういうものに生前も死後もあんまり縁がなさそうな骸骨船員は頸骨をコキリと鳴らして首を捻った。
「BLは？」
「びーえる？」
「えーっと、……衆道？」
弟の友達で趣味を同じくする年下の友人ならそのあたりの解説も上手くできるかもしれないと考えながら、タルトはたぶん自分よりずっと年上だろう船員に言葉を言い換えてみる。が、船員は首を捻るばかり。
「そっか、ありがと！」
ひらりと手を振って、タルトは花火のお手伝いへと戻る。そうしながら思案する。同人誌にもBLにも馴染みのないあやかしが多いかもしれないということは、潜在的な同好の士を見つけ出す楽しみがあるということ。あるいは純粋無垢なあやかしを新たなBL沼に引きずり込む余地があるかもしれないということ。
(次回のネコミケは霊界BLで行こうかな)
うふふと笑うタルトに骸骨船員がカタカタと寒気に背骨を鳴らしたかどうかは、──また別のお話。
宙を舞うエロに流星群の勢いで集まるは蒼白い人魂たち。
「手足のあるおねーさん！」
「幽霊船にご案内ー」
無数の人魂たちにまとわりつかれ、ふわふわと宙を飛んで上空の幽霊船へと向かいながら、エロは純粋そのものの瞳で人魂たちを優しく撫でた。
「人魂さんに包まれて空を飛ぶのは気持ちがいいのです」
「ほんと？」
「うれしい」
くすくすと笑う人魂たちと一緒にくすくす笑っているうちに、エロの身体は幽霊船へと押し上げられる。甲板の上では、真っ白な骨の骸骨船員たちや手伝いを請われて乗船した寝子島の住人たちが大わらわで花火玉を甲板の央の山積みの箱から舷側へと運んだり、えいやと空へ投げ込んだり。
「手伝うのですー」
元の大きさに戻り、人魂たちをまとわりつかせながら甲板を駆けだそうとしたエロに目に映ったのは、同じように人魂たちに幽霊船まで引き上げられたらしい黒髪ポニーテールの女の子。
「花火をあげるのですー」
「花火あげるの？」
まるで漫画雑誌から抜け出して来たような美貌の女子から声を掛けられ、響 タルトは栗色の瞳を煌めかせる。
「面白そう！」
「なのです」
ふわりと微笑み、ロングウェーブの黒髪美少女は甲板の央へと向かった。
(どこかで会ったことあるっけ？)
漆黒のミニキャミソールドレスの下から覗く真っ白な脛や膝裏を視界の端に追いかけながら、タルトはちょっと考える。寝子島高校で見かけたことがあるような、ないような。
(あれくらい美人なら男女問わずモテそうだよね)
無意識のうちに極めて自然に趣味であるカップリング考察に入りかける脳に、
(ナマモノは危険だとあれほど)
タルトは強制ストップを掛ける。どうしたのどうしたのと周りをふわふわと飛ぶ人魂たちになんでもないよと笑いかける。
「さ、花火をあげるよ！」
わあい、とぴかぴか輝く人魂たちは、眼下のあやかし広場で開催中のパーティをとにかく盛り上げたいらしかった。
「花火どかーん」
「みんなわーい」
「たーのしー！」
「退屈サヨナラー！」
集まっては離れ集まっては離れしながらわやわやと小さな声でしゃべり続ける人魂たちに、タルトは大きく頷く。
「気が合うね、僕も退屈は嫌いだよ」
だから気が付けば霊界に迷い込んでいたところでそんなに驚きはしなかった。むしろどんなことに出会えるのかと胸がわくわくと弾んだ。
(思ってたより妙に明るいけど)
あやかしたちの棲まう場所聞いてまず想像したのはもっとおどろおどろしくて怪しげな世界。人間とみればその肉や魂を狙って怖いナニカが襲い掛かって来るようなところ。
なのに実際訪れてみれば、空にはキラキラお星さま、レトロで可愛い煉瓦の駅の周りには現代的なカフェにホテルまで揃っていて、座って座ってと可愛くねだってくる付喪神の椅子たちのいる駅前広場ではさまざまのあやかしたちが明るく楽しくパーティと洒落こんでいる。
極めつけは空から落とす花火と来た。
(まあ楽しい方がいいよね)
エロの後を追う恰好で甲板の真ん中へと向かえば、陽気な骸骨船員が鼻歌を歌いながらまん丸な花火玉を渡してくれた。どうすればいいのと問うタルトに、船員は幽霊船の周りをぐるぐると飛んでは纏った火を流星のように撒き散らす車輪を示す。宙に流れる焔に上手く投げ入れれば、花火が咲く仕掛けらしい。
失敗してもなんとかなるぞと顎骨をカタカタ鳴らして笑う骸骨船員に、タルトはいいねと明るく返す。
「どっかんどっかん、いっくよー！ ……っと、そうだ」
渡された花火玉を両手で抱え、舷側まで向かおうとした足がふと止まる。
せっかく霊界を訪れることができたのだ、これだけは聞いておかねばなるまい。
「霊界って薄い本あるの？」
いわゆる同人誌ね、と注釈をいれるタルトに、そういうものに生前も死後もあんまり縁がなさそうな骸骨船員は頸骨をコキリと鳴らして首を捻った。
「BLは？」
「びーえる？」
「えーっと、……衆道？」
弟の友達で趣味を同じくする年下の友人ならそのあたりの解説も上手くできるかもしれないと考えながら、タルトはたぶん自分よりずっと年上だろう船員に言葉を言い換えてみる。が、船員は首を捻るばかり。
「そっか、ありがと！」
ひらりと手を振って、タルトは花火のお手伝いへと戻る。そうしながら思案する。同人誌にもBLにも馴染みのないあやかしが多いかもしれないということは、潜在的な同好の士を見つけ出す楽しみがあるということ。あるいは純粋無垢なあやかしを新たなBL沼に引きずり込む余地があるかもしれないということ。
(次回のネコミケは霊界BLで行こうかな)
うふふと笑うタルトに骸骨船員がカタカタと寒気に背骨を鳴らしたかどうかは、──また別のお話。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2021年11月20日
- 参加申し込みの期限
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- 2021年11月27日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2021年11月27日 11時00分
