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幻の花<硝子彩華>の咲く頃に
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うと、と。
鴻上 彰尋
がうたた寝と共に首を傾いだ瞬間、世界はくるりと一転していた。
「――あ、れ……?」
驚いたように瞬きひとつ。しかし、世界は元には戻らない。今眼前に広がる、電車であろうかその車内には、ひとでももれいびでもない異形の姿――それでも不思議と怖さを感じる事のないあやかしの姿があちこちに見受けられた。
「これは……迷い込んでしまった、かな?」
そういう世界があることは知っていたものの、日常とは異なり、何が起きるかも少しあやふやなものであるから。少し困ったように辺りを見渡すと、茶釜の胴体をしたたぬきのポン吉と、カメを容赦なく追い抜いて後でお昼寝をするタイプのうさぎの、うさ美が気が付けば彰尋の足元に立っていた。
「あ、起きられましたよー。ポン吉先生ー」
「こんばんはじゃ、実はずっと起きるのを待っておったのじゃ。まよい人とお見受けするが、用がなければ、是非手伝って欲しいことがあるのじゃが」
どうやら、眠っている間から『こちらであれば助けてくれるに違いない』とばかりに、ずっと目を付けられていたらしい。迫り来るつぶらな瞳に、彰尋が圧力を感じながら話を聞くだけでもと頷けば、二体のあやかしは喜んで話を始めた。
「幻の花――」
「形は分からないんですよー。一歩間違うと、咲いている群生地によって違う可能性もあってー」
「花には御利益があるとずっと聞いておるし、地図がある限り安全も保証するから、どうか後生だと思って行ってきてはもらえんかのう」
いつ元の世界に戻れるかも分からない上に、どうやら今回が最後という切なる事情もあるらしい。
ここまで頼まれて行かない道理もないだろう、と。彰尋はたまにはこの様な時もあると、穏やかな笑みを浮かべて二体に頷いてみせたのだった。
話を聞いて――想像しただけで、胸が鳴るような綺麗な花だと思えた。
川のせせらぎの傍らで、朝日の陽光でしか咲かないガラスの花――この眼で見てみたいと思った。それは、きっととても胸に響く思い出になりそうな、素敵な花に違いないと思えたのだ――
そうして駅を降り、地図を受け取って森の中をゆっくり歩く。
視界のかなりの領域を埋め尽くす暗い世界は、彰尋には非常に心細く、胸を浸蝕されるように息が詰まる。それでも、薄霧の中を、手元の地図は触れた指を仄温かく暖めてくれる。時折晴れる霧に誘われるように空を見れば、そこには燦々と光を注ぐ星の存在が、まるで寄り添うように彰尋の傍らにあるようだった。
「……うん」
地図の光は辺りを照らし、道に迷うこともない。これらの灯があれば、大丈夫、と。彰尋は改めて、いつしか止めていた足を再びゆっくりと前に出した。
――幻想の揺蕩う中。そのような表現が相応しい世界を、ゆっくりと歩いていく。電車の中以上に、夢を彷彿とさせる光景を歩き。ひとつ、地図に丸印の付けられた場所に辿り着くと、そこには蕾の状態で集まる花の群生地が広がっていた。
「ここだとよいのだけれども……」
心によぎる少しの不安と、もしここが本当に幻の花咲く地であったなら――そのような思いは、胸の高鳴りにも似て。彰尋はいつしか、夜が明けるその瞬間を、待ち焦がれるように、いつしか完全に薄霧の晴れていた空を見上げた。
時間と共に、夜が姿を消していく。
そして、柔らかになりつつ藍が姿を消して、一条の光が燦めいた。
山の、森の向こうから細い針のような光が洪水のようにあふれて、花畑を染めていく。
一斉に、ちらちらと花粉よりも繊細な光片と共に、蕾が一斉に輝きを封じ込めた宝箱の蓋を開けたかのように、その花弁を開き始めた。
花弁は全て透き通り、色は本当に澄み鮮やかな虹を彷彿とさせる無数の煌めき。
「わ……」
微かに零れた声を、自分の耳に聞き。その音に、自分が独りであった事を思い起こす。
――このような風景を、光景を。自分ひとりで見るのは、とても残念だと思った。
見せたい人がいるのだ。彰尋には、この素敵な光景を共有したいと思える人がいる。一緒に見れば、その人の青の瞳はきっと光を反射して、とても美しく輝くことだろう。もしそれに自分と同じように嬉しく喜んで貰えたら、彰尋もきっと嬉しいと思える。彼女と共有する全てが、彰尋には宝物なのだから。
――せめて、目に焼きつけておこう。この光景は夢のようで、実際に夢であったとしても。
その美しさを大切な童話のように、大切な相手へと鮮明に伝えられるように。
「ああ、そうだ」
彰尋は、そっと煌めく花の傍らに寄り添い、二百年近くも花を探し求めていたポン吉とうさ美へと、花を二輪摘み取った。摘んでも光輝くさまを失わない花は、手にしてもうっとりする程に美しく。
色は、様々な中から薄桃色と柔らかな薄緑を。緑は健康に良さそうな色だと良く聞くし、薄桃の効果は聞いていたから、年頃の女の子のような気配をしていたうさ美は喜ぶかの知れないと思い――
「これが! これが!!」
案の定、というべきか。見てきてもらうことしか考えていなかった二体は、彰尋の持ってきてくれた花に、天地がひっくり返る程に喜び驚いた。
まるで子供のように、手にした花を浮かれながらお礼と共に受け取りポン吉は、ふわふわふらふらと他の参加者たちへと見せに向かっていった。
「【硝子彩華】という名前の、とても似合う花でしたよ」
あやかしの年齢は分からないから、と少し畏まって傍らに残されたうさ美に軽めの丁寧語で花を渡せば、その花と彰尋をじっと見つめたうさ美は、こくりと頷いて、その向けられた手の花をそっとこちらへと押し戻した。
「それは、あなたが持っているといいですよー。
――好きな人、いるでしょう?
うさ美はレディですから、そのくらい分かっちゃうんだからー」
「――! え、あ……っと――」
「いつ崩れたり枯れたりするか分からないけれどもー、きっと見せるくらいなら間に合うと思うんですよー。
……綺麗なお花、見せてあげてくださいなー」
彰尋は、驚きに大きく目を見開いて。そして、とても恥ずかしそうに、小さく俯いた。
「……ええ。きっと、彼女なら、喜んでくれると思います。
また……ツアーの企画なさったら、一緒に見に行きたいですね」
手に押し返された、一輪の薄桃色の花を目に。
彰尋は、胸の温かさを感じながらその瞳を愛しさに細め微笑んだ――
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年11月15日
参加申し込みの期限
2021年11月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年11月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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