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【プール開き】六月快晴初およぎ日和
●ここはどこ、あやかしプール！？（８）
――誰か助けて！ でもこっちは見ないでー！
悲鳴を聞いて、万条 幸次は振り返った。
（今の悲鳴は愛猫さん？ 風紀委員の笛吹さんと一緒にいるみたいだけれど……）
様子が変だ。ぴりりに羽交い絞めされた萌々子は背後から水着の中に手を突っ込まれていて、なんかこう、もみもみされているというか、自分が見てはいけないような感じになってきている。
（愛猫さんが襲われてる？ いろんな意味で！）
ぼわん！
幸次の脳内にいつも一緒にいる白地に黒い八割れ模様の猫・花遊が悪魔と天使で現れた。
二匹は幸次の頭上の左右に陣取って、あーだこーだ議論を始める。
悪魔の花遊が言う。
『気になるあの子があーんな声出してこーんな姿になってるなんて見ない方がソンするニャ』
天使の花遊が言う。
『あれは遊んでるだけにゃ。止めようものなら【百合の間に挟まる男】と見なされて君が抹殺されちゃうにゃ』
なるほど、と幸次は両手をポン。
「そっかーじゃあこのまま見守ろう……って、普通に放置しちゃ駄目な案件でしょあれは！ 今天使と悪魔が結託してたよ！」
幸次だって男子なのだ、この状況で一時の結託は仕方ない！
むしろ我に返れてエライ！
幸次はプールに飛び込んで、まずはぴりりを萌々子から引き離した。
それからろっこん＜猫チェンジ＞で右腕だけ猫に変えると、肉球でぴりりの横っ面へ気持ち強めの猫パンチ！
「ごめん！ あやかし退散！」
「ふにゃッ！！」
ぴりりが変な声をあげたと同時に、ずるり、とエロナがぴりりから剥がれて現れた。
「……操りは解けたかな？ じゃあこれは愛猫さんの分！」
幸次はエロナの顔面へ怒りを込めた猫ひっかきを繰り出す。
「ニャニャニャニャニャニャ！！ これ以上彼女に触られてたまるかぁ！」
「ひ、ひぃ～～～顔が！！ く、こんなことされちゃ割に合わないわ！」
幾筋も真っ赤な縦縞をつけられたエロナは、顔を両手で押さえると、そのままどこかへと退散していった。
これぞ、愛の勝利！
「万条先輩が助けてくれたんですね」
萌々子が駆け寄ってくる。幸次は照れ臭そうに後ろ頭を掻いた。
「あ、うん……愛猫さんのためなら」
「ありがとうございます。笛吹さんを連れて急いで元の世界に戻りましょう！」
萌々子はぴりりを叱咤激励し、幸次に守られながら泳ぎ切って、元の寝子高のプールに戻ることができた。
◇
自分やほかの女子に取り付いて目を覆うような悪戯をしていたエロナが風紀委員たちとひとりの男子のお陰でどこかへ退散した。エロナの所業の餌食になり、頭に来て追いかけていた女子バスケ部部長の羽生 碧南はちょっとほっとした。
しかし、エロいあやかしはまだエロヒコと色情霊が残っている。
「きゃあっ、やめてくださいっ！」
雛鶴 さゆり先生と篠原 翠響は、何度も水着を脱がされそうになっていた。
姿の見えない色情霊の仕業だ。
「もういい加減にしてよっ！」
翠響は新体操で鍛えた身体能力で、さゆり先生も護身術として覚えた合気道の技で、その都度ブロックしているようだ。しかし水着が無事とはいえ幾度も身体を触られては、女子として耐えられる限界はとっくに超えている。
ふたりに幾度も抵抗されて上手くいかない色情霊は、気まぐれに近くにいた碧南の水着を狙ってきた。
「ひゃあっ！」
油断していた碧南の水着はチョロかった。
水着が紐で結んだだけのビキニで脱げやすいものだったせいもある。
ぽろり。
双丘が露わになる。
「よくも……やったわね」
碧南の背後からゴゴゴ……と怒りが音となって聞こえてくる。
色情霊は怒らせてはいけない人を怒らせたのだ。
のんびりおっとりとしているように見えるが、じつは「戦う女」の本性を秘めている碧南。
「徹底的に敗北を味合わせてやるわ」
そしてそれは翠響も同じであった。可憐に見える新体操とはいえ、全国大会で戦い抜くには「戦う女」でなければ勝ち抜けやしないものだ。翠響は碧南に目配せする。
「さすがに一方的にやられっぱなしでは……我慢ならないわ。共闘しましょう！」
色情霊はふたりの怒気にもっと警戒すべきであった。
色情霊の手と思しき感触が胸に触れた瞬間、翠響は瞬発力でそれをひっ掴まえた。
「腕、取ったわ！」
「そこねっ！ ハァアッ！！」
碧南は両手を組むと、振りかぶって渾身のオルテガハンマー！！
「手応えあった！」
「素敵！ 私も！！」
キレた翠響にもボコられて、見えないけれど色情霊は瀕死だろう。
ついでに言うと、エロ河童のエロヒコは、さゆり先生のお尻を撫でて投げ飛ばされていた。
河童の掟として相撲で負けたら終わりだ。
こうしてエロナ・エロヒコのエロ河童姉弟も色情霊も、見事にお仕置きを受けたのだった。
「泳ぎ切れば元のプールに戻れるみたい」
碧南の助言で、あやかしプールにいた人たちは、無害になったプールを泳ぎ切り元のプールに戻った。
「ふぅ……疲れたー」
碧南が元のプールに戻ると、心配そうにこちら見るバスケ部の後輩二人がいた。
「先輩……水着……」
「あああーーーーしまった！ あやかし退治に夢中になって、水着着るの忘れてたー！」
――誰か助けて！ でもこっちは見ないでー！
悲鳴を聞いて、万条 幸次は振り返った。
（今の悲鳴は愛猫さん？ 風紀委員の笛吹さんと一緒にいるみたいだけれど……）
様子が変だ。ぴりりに羽交い絞めされた萌々子は背後から水着の中に手を突っ込まれていて、なんかこう、もみもみされているというか、自分が見てはいけないような感じになってきている。
（愛猫さんが襲われてる？ いろんな意味で！）
幸次の脳内にいつも一緒にいる白地に黒い八割れ模様の猫・花遊が悪魔と天使で現れた。
二匹は幸次の頭上の左右に陣取って、あーだこーだ議論を始める。
悪魔の花遊が言う。
『気になるあの子があーんな声出してこーんな姿になってるなんて見ない方がソンするニャ』
天使の花遊が言う。
『あれは遊んでるだけにゃ。止めようものなら【百合の間に挟まる男】と見なされて君が抹殺されちゃうにゃ』
なるほど、と幸次は両手をポン。
「そっかーじゃあこのまま見守ろう……って、普通に放置しちゃ駄目な案件でしょあれは！ 今天使と悪魔が結託してたよ！」
幸次だって男子なのだ、この状況で一時の結託は仕方ない！
むしろ我に返れてエライ！
幸次はプールに飛び込んで、まずはぴりりを萌々子から引き離した。
それからろっこん＜猫チェンジ＞で右腕だけ猫に変えると、肉球でぴりりの横っ面へ気持ち強めの猫パンチ！
「ごめん！ あやかし退散！」
「ふにゃッ！！」
ぴりりが変な声をあげたと同時に、ずるり、とエロナがぴりりから剥がれて現れた。
「……操りは解けたかな？ じゃあこれは愛猫さんの分！」
幸次はエロナの顔面へ怒りを込めた猫ひっかきを繰り出す。
「ニャニャニャニャニャニャ！！ これ以上彼女に触られてたまるかぁ！」
「ひ、ひぃ～～～顔が！！ く、こんなことされちゃ割に合わないわ！」
幾筋も真っ赤な縦縞をつけられたエロナは、顔を両手で押さえると、そのままどこかへと退散していった。
これぞ、愛の勝利！
「万条先輩が助けてくれたんですね」
萌々子が駆け寄ってくる。幸次は照れ臭そうに後ろ頭を掻いた。
「あ、うん……愛猫さんのためなら」
「ありがとうございます。笛吹さんを連れて急いで元の世界に戻りましょう！」
萌々子はぴりりを叱咤激励し、幸次に守られながら泳ぎ切って、元の寝子高のプールに戻ることができた。
◇
自分やほかの女子に取り付いて目を覆うような悪戯をしていたエロナが風紀委員たちとひとりの男子のお陰でどこかへ退散した。エロナの所業の餌食になり、頭に来て追いかけていた女子バスケ部部長の羽生 碧南はちょっとほっとした。
しかし、エロいあやかしはまだエロヒコと色情霊が残っている。
雛鶴 さゆり先生と篠原 翠響は、何度も水着を脱がされそうになっていた。
姿の見えない色情霊の仕業だ。
「もういい加減にしてよっ！」
翠響は新体操で鍛えた身体能力で、さゆり先生も護身術として覚えた合気道の技で、その都度ブロックしているようだ。しかし水着が無事とはいえ幾度も身体を触られては、女子として耐えられる限界はとっくに超えている。
ふたりに幾度も抵抗されて上手くいかない色情霊は、気まぐれに近くにいた碧南の水着を狙ってきた。
「ひゃあっ！」
油断していた碧南の水着はチョロかった。
水着が紐で結んだだけのビキニで脱げやすいものだったせいもある。
ぽろり。
双丘が露わになる。
「よくも……やったわね」
碧南の背後からゴゴゴ……と怒りが音となって聞こえてくる。
色情霊は怒らせてはいけない人を怒らせたのだ。
のんびりおっとりとしているように見えるが、じつは「戦う女」の本性を秘めている碧南。
「徹底的に敗北を味合わせてやるわ」
そしてそれは翠響も同じであった。可憐に見える新体操とはいえ、全国大会で戦い抜くには「戦う女」でなければ勝ち抜けやしないものだ。翠響は碧南に目配せする。
「さすがに一方的にやられっぱなしでは……我慢ならないわ。共闘しましょう！」
色情霊はふたりの怒気にもっと警戒すべきであった。
色情霊の手と思しき感触が胸に触れた瞬間、翠響は瞬発力でそれをひっ掴まえた。
「腕、取ったわ！」
「そこねっ！ ハァアッ！！」
碧南は両手を組むと、振りかぶって渾身のオルテガハンマー！！
「手応えあった！」
「素敵！ 私も！！」
キレた翠響にもボコられて、見えないけれど色情霊は瀕死だろう。
ついでに言うと、エロ河童のエロヒコは、さゆり先生のお尻を撫でて投げ飛ばされていた。
河童の掟として相撲で負けたら終わりだ。
こうしてエロナ・エロヒコのエロ河童姉弟も色情霊も、見事にお仕置きを受けたのだった。
「泳ぎ切れば元のプールに戻れるみたい」
碧南の助言で、あやかしプールにいた人たちは、無害になったプールを泳ぎ切り元のプールに戻った。
「ふぅ……疲れたー」
碧南が元のプールに戻ると、心配そうにこちら見るバスケ部の後輩二人がいた。
「先輩……水着……」
「あああーーーーしまった！ あやかし退治に夢中になって、水着着るの忘れてたー！」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2021年11月06日
- 参加申し込みの期限
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- 2021年11月13日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2021年11月13日 11時00分
