【星幽塔】第？階層　不死概論｜リアクション

【星幽塔】第？階層　不死概論

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「うへぇ……ここどこなの？」
　殺風景な石壁ばかりが続く館の中を進みながら、白真白はぐったりした声でぼやく。
　一刻も早く脱出したいが、窓は全部固く閉ざされているし、窓から見えた玄関もあの様子では開けられそうにない。
　素直に地下を目指そうとする真白の、
「でも化け物って一体……」
　そんな疑問にまるで答えるように、ずしゃりという足音が正面から聞こえた。
　続く言葉が喉の奥に引っ込み、手近な部屋の扉の陰に隠れる。
　ちょっとだけ開けた扉の隙間から覗いていると、現れたのは頭のない巨大な八本脚の怪物だった。
（あれが化け物！？）
　鎧のような鱗に覆われた上半視認に、砲塔のような左腕、真白の体くらい容易く両断しそうな鋏の右腕。
　無理だと思った。　
（いやいやいや、あれは無理、無理だよ）
　ぷるぷる震えるように首を振る。あんな化け物は想定してない。せいぜいゾンビとかそういう感じかと思ってた。
　あんな化け物は無視、というか見つからないよう行動するしかない。
　怪物が過ぎ去っていくのを待っていると、怪物目がけて飛来する赤光が視界に映る。
（今度は何！？）

　通路に低く身を潜めたサキリ・デイジーカッターが、投擲の型にナイフを持ちなおす。
「試させてもらおうか」
　最小距離の『斬空赤刃』。目の前を通過する怪物の横腹目がけて。赤光を帯びたナイフを投げ放つ。
　ナイフは怪物を直撃。鋼鉄をも裂く刃は怪物の鱗を抉り、大きく怯ませた。
　しかし次の瞬間には、貫いたはずの箇所が再生を始めて――否、すでに終わっている。
「本当に不死身とはまいったね」
　はっと漏らした笑いには、呆れとある種の高揚が入り混じっている。
　怪物の腹部が蠢き、開口。
　肌をしびれさせる咆哮が轟き、蛇腹状の砲塔が動く。
　漂う冷気を敏感に察知し、サキリはすかさず通路の反対側へと転移。
　一瞬の後、サキリが居た場所は冷気に覆われ凍てついていた。
　サキリの気配を見失ったのか、怪物はうろうろと上体を揺らすと冷気漂う一帯へと突進。周囲の壁ごと右腕の鋏を薙ぎ払うと、そのまま置くへと歩み去っていく。
（これは脱出を第一にするべきだね）
　この館にも興味はあるが、そんなことを言っている場合ではなさそうだ。
　ひとまず、先ほど見えた小柄な人影との合流を目指そう。

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