【星幽塔】第？階層　不死概論｜リアクション

【星幽塔】第？階層　不死概論

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　星幽塔の魔法生物のものと思しき標本や骨格図が並んだ部屋を、神野美野梨が探索している。
「持ち出せそうな資料はないかしら？　実験の記録とか、考察ノートとか……」
　棚や机を探る手付きは、真新しい研究資料をめくるかのよう。怪物――不死身の生き物への興味がにじんでいた。
　本当に不死身なら、それはとても興味深いものだ。餌などなさそうなこの館の中、何を食べて生きていたのかも気になる。
「あら」
　袖机と机の隙間に隠すように、鍵付きの本があった。個人的な手記の類だろうか？
　とりあえず持ち出すことにして、外から聞こえる重い足音が通り過ぎるのを待って廊下へ出る。
　ずしゃり。
　ふたたび足音。もう一体、さっきほ足音とは別の怪物が右手側に立っていた。
（まずいわね）
　怪物の感覚が鈍いとはいえ距離が近い。気づかれるかと身構えた時、怪物の目の前を一羽のカナリアが横切った。
　怪物の注意がそちらに向いた瞬間、美野梨は『魔星の力』を発動。怪物の後ろに雷を発生。
　雷鳴が怪物の気を逸らした隙にその場を離れ、適当な物陰に身を潜めた。
「さっきは助かったわ、桜井くん」

　美野梨が振り返った先には、先ほどの黄色いカナリア――桜井ラッセルが居る。
　『黄色いピヨコ』を解除したラッセルは、「無事でよかった」と安堵を浮かべた。それから声を潜め、
「星幽塔って俺はじめてなんだけど、こんな感じなのか？」
　ファンタジーな世界を満喫していたと思ったら館モノのホラーみたいな展開に放り込まれたせいか、若干の戸惑いがある。
　いつの間にか持っていた風を帯びる槍も物珍しかったが、美野梨の杖を見てそういうものだとひとまず理解はできた。
「私もあまり来たことはないんだけど、こういうのはレアケースじゃないかしら？」
「だよな……っと、それより今は脱出しなきゃだな。でもここのことも気になるんだよな。血痕とか辿ったら、何か見つからねーかな」
　一体誰が何のために作ったのか？　何が起きたのか？　不死身の怪物も気になるが、そちらも気になるのだ。
　いずれにしてもと探索を再開した二人は、少し進んだ先の十字路に奇妙なバリケードを発見した。
　周囲の建材や家具を溶かして固めたような外観に、人が屈んで通れそうな穴が空いている。
　こういうことができそうなろっこんの持ち主に、二人は心当たりがあった。

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