夜の闇に囁くは常世の鏡　囚われし者を救え｜リアクション

夜の闇に囁くは常世の鏡　囚われし者を救え

　事件解決から少しあと。
　夜空の下で酒を酌み交わす二人の姿。それはティオレと道哉であった。
　とくとくと酒瓶からつがれた酒をぐっとティオレは飲み干す。独特の香りと味が彼女の口腔内へと広がった。さわやかな風味が鼻に抜けて心地良い。
「飲んだことは無いけど、こいつは中々いい酒だねぇ。後味も悪くない」
「はっはっは、お前さんいける口だね。それはそうと結構あの屋敷じゃ大暴れしたそうじゃないか。もう体はいいのか？」
　酒を飲みながら問いかける道哉にティオレはもう一杯注ぐとそれを口に運んだ。
「快調も快調、調子の悪い所なんてないさ。そっちも事件の主犯相手に大立ち回りしたんだろ？　その話も聞きたいねぇ」
　二人は戦いの話を酒の肴代わりに夜空の下で飲み明かすのだった。

　一方、そこは九夜山の森の中。
　森の木々を避けて走りながら時折交差しては拳を交えているのはナディスと轟だった。
「まだまだ速度上げられるだろっ、もっと素早くしていくぞっ！」
「はいっ、付いていきますっ、私だってししょーのように、強くなりたいですからっ！　誰かを守る為に！」
　ナディスは立派なヒーローである彼の背中を見て、彼のようになりたいと強く願うようになっていた。
　誰かを守れる勇者でありたい彼女にとってこれ以上ない理想の師匠なのだろう。
　九夜山に二人の拳を交える音が響き渡っていく。

　コンビニ。そこでは色々な物が売られている。
　アイスにお菓子に夕飯のおかず。挙げればキリがない。
　そんな場所に常闇、八神、ラッセル、真白は訪れていた。彼らはちーあへのお見舞いも兼ねてお土産を買っていこうとコンビニに寄ったのだ。
「オレンジシャーベット、こういうのもいいですね」
　オレンジ色のアイスを手に取り常闇は選ぶ。八神はその隣でレモン味のアイスを手に取っていた。
「食べそびれていた中にあったから、俺はこれにしておこうかな」
「俺はこれにするぜ、アイスもいいけどコンビニのホットスナックは美味いからな！」
　ラッセルはどうやらチビナミ用にあつあつチキン串にしたようだ。
「じゃあ、こっちはコンビニの王道で行こうかなー。あ、もう一つください、そのひとつは食べながら行きますんで袋はいいです」
　真白は自分用に肉まんを買うとちーあとチビナミたち用にピザまんやらあんまんやら色々買ったようだ。
　一行はそのままちーあたちのアパートに向かうと買ってきた食べ物を広げ、お見舞いという名のささやかなパーティーを開くのであった。
　アイスを頬張るちーあはよい笑顔で笑っている。そんなちーあを微笑ましく八神は眺めていた。
「体は大丈夫かい？　何かできることがあったら言ってくれ」
「はいなのですよっ、あむっ、んんんーーっ、すっぱ甘くて美味しいのです！」
　その隣ではチビナミがあつあつのチキン串をかじっていた。
「ラッセルの買ってきたこの串は美味いのう。肉汁がじゅわっと広がるのがもう、たまらんのじゃ」
「ははは、気に入ったならよかった。そんなに肉が好きなら、体が治ったら焼肉でも行くか」
「なんとっ！？　それはまことじゃな！？　忘れたとかいうでないぞ！」
　常闇は食べっぷりのいいちーあにふふっと笑い、残りのアイスをテーブルに広げる。
「お腹を壊さない程度に食べてくださいね？　食べすぎはよくないですから」
「そうそう、こういうのはちゃんと適度にしないとねー、ああ、美味しいこの肉まん！」
　もぐもぐと自分用の肉まんを食べる真白に気になってチビナミは聞いてみる。
「のう、お主も確か結構、生命力を持っていかれたはずじゃよな？　なぜもうぴんぴんとしているんじゃ？　わしはまだダルいというに」
「んー……鍛え方の違いってやつ？」
　そんな微笑ましい光景が広がり、その日の夜は更けていった。
　霊界。
　そこに迷い込むということは少なくはないのだろう。
　隣り合わせにある不思議な世界。
　まだまだわからないことは多いが、こうして触れて事件を解決することでも何か徐々にわかっていくのかもしれない。
　あなたも夜の道には気を付けた方がいいかもしれない。
　声が聞こえたのなら……そこには見知らぬ世界があるのかも、知れないのだから。

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あとがき

担当マスター：ウケッキ
ファンレターはマスターページから！

お初の人もそうでない人もこんにちわ、ウケッキです。
初の霊界シナリオ、いかがだったでしょうか。

書いている身としては、妖怪を書いているのが楽しくて仕方ありません。
こう某槍持ったら髪が長くなる少年と妖怪のペアが主人公の漫画を見て育ってきましたので。
あんな雰囲気がいずれ出せたらいいなと思っています。

それでは次回のシナリオでお会いしましょう！

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