寝子島高校・部活王決定戦｜リアクション

寝子島高校・部活王決定戦

「……というわけで、新理事長の鶴の一声で、タイムアウトになります」

　スクリーンに映し出されるのは、データを確認する黒崎先生。
　
「きちんとした結果を見たかったという意見もあるかもしれないけど……これが正しい判断かもね」

　白沢先生が笑って言う。
　
　最終的な決戦は、アイドル研・風紀委員会・天文研の三つ巴、それに水泳部など、他の部活も拮抗している。
　このままじりじりと戦力の削りあいが続くならば、いくら時間があっても足りなくなるだろう。
　将棋における「千日手」である。
　
　誰もが考える。少年マンガ、最強の技の持ち主が戦ったらどうなるか？
　
　圧倒的火力。
　完全催眠。
　時間停止。
　
　そのまま硬直して終わりだろう。
　
「気が済むまで、やってもいい」といいという意見があったが、きなこ女史の、
「あとかたづけがたいへんそう」という身も蓋もない言葉に、皆が賛同した。

「バランス・オブ・パワー――ある程度以上の強力な戦力がぶつかり合った場合は、力が拮抗して崩れなくなる……」

　というわけで、三チームの合同勝利という形で部活王決定戦は幕を閉じた。
　
　部費に関しては、勝敗なしということで、個々の部活動の活躍に応じて分けられるということになった。

「とはいえ、部活動や委員会の抱える問題点も、個々に明らかになった様子ですね……」
「備品の老朽化、新設の部活動の情宣活動……」
「今回の活躍を動画で見て、基金を集めようなんていう話がでるかもしれませんね。クラウドファンディングなんていうのもありますし」
「皆の活躍が、良い方に出るといいわね」

＊　　　＊　　　＊

「そして片付けの時間です！」
　バケツとモップ片手に大音声を張り上げるのは、本条小萩。

「ちゃんと分別しないと、業者さんが苦労するって……」
　ちまちまとゴミを仕分けするのは獅百合。
　以前人格を一にしていた相手の、細やかな性格を反映してか、掃除となったら細部に手を抜かない。
　豪快、苛烈なバトルの有様とはまた違う働きで、焼却炉の効率を上げていく。
　
　ダーティなファイトで悪名をはせたと思われた彼女、この地味な働きにより、一部で『焼却炉の女魔術師』というあだ名を賜ることになる。
　どのような悪名も引き受けようと気負っていた彼女、思わぬあだ名に見せるのは、不本意な気分か、それとも。
　
「どんどん後片付けしますよぉ――！」
　意気揚々と掃除に従事するアイドル研と軽音部、演劇部。
　設営と片付けはお手のものなのだ。
「アイドル研さん、こっちの骨組みは……」
「そのままでいいです！　次の会場の設営に使っちゃいます！」
　陸上部・日向の申し出に、アイドル研・喜矢武が応える。
（へえ……規模がでかいな）
　日向が会場の骨組みを見つめる。
　陸上まっしぐら、あまりアイドルなんて興味がなかったけど……。
（妹とか、好きなんじゃないかな）
　なんとなく、そんなことを考える。

「皆さんも、手伝ってください！」
「あーでも、僕たち死んでるし」
「水泳部さんと、天文部さんにやられちゃったし」
　死んでいるのをいいことにして、掃除を傍観する生徒達をよそに、しこしこと掃除に励む一同。
「まさかとは思ってたよねー」
　荒太郎がモップをかけながら言う。
「前回はコメディエアーが解決しましたが……毎回エアー頼みも問題あるものね」
　箒でゴミを取る美野梨。
　以前のように、バトルエアーで校舎の修復や、掃除はほぼ完了する。
　だがそうはいっても、細かい掃除などは自分たちでしなければならない。
　やりたい放題ぶっ潰してしまった、責任感みたいなものもあった。
　
　帚星にちなんで、箒で掃除する天文部。
「凜太郎先輩、風紀委員なんだから、もっとしっかり掃除を！」
　後輩に突っ込まれる凜太郎を横目で見るスピカ。
　その秀麗な顔が、一瞬スクリーンに大写しになる。
「……天文部、よろしくっ」

　新たな勢力と、今までの勢力。
　助っ人の献身、仲間同士の友情。
　あらたな絆と、これからの新展開。
　そして新理事長に対する一抹の不安を孕みつつ――部活王決定戦、これにて幕である。
　

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あとがき

担当マスター：ぱーすぺ
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ありがとうございました！
大変お待たせしてしまい申し訳ございません。
部活王のリアクションになります。
部費の詳細については個々の後書きに譲ります。
ではまた、機会がありましたらよろしくお願いいたします。

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