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眠れない夜に〈夏〉
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腹にかけたタオルケットを手繰り寄せて瞼を閉ざす。
きつく閉じているのが余計にいけないと思い至って顔から力を抜こうとして、逆に瞼が震えた。
鴻上 彰尋
は部屋の暗がりに薄目を開けてため息ひとつ。
タオルケットを蹴とばして伸びをしてしまえば、元々近づいて来ていなかった眠気がますます遠ざかった。
自身の寝つきの悪さに困り果てて布団の上に起き上がる。瞼を擦って枕もとに置いたスマートフォンを手に取る。画面が示す深夜帯な時間を確かめ、床に裸足で立つ。
(散歩にいこうか)
こんな時は外の空気を吸って気分転換をするに限る。それに、身体を少し動かせば眠気も来るだろう。
眠れない夜は、今までにも時々あった。そういうときはよく海岸へ行く。
母と兄と双子の弟と暮らしているシーサイドタウンの自宅からは、少し歩けば寝子ヶ浜海岸に辿り着ける。
寝子島街道や外灯の光に背を向けて堤防の上に腰を掛ければ、暗い海をきらきらと照らす月の光も、水平線から音もなくしんと現れる星々もよく見えた。 波の音を聞きながら星月を眺めるうちに、夜に輝く星々の幽かな光が優しい毛布のような眠気をふわりと被せてきてくれる。
(……うん、そうしよう)
簡単に身支度を整えて廊下に出る。寝ている家族を起こさぬよう、そっと外に出れば、初夏の夜の空気が体を包み込んできた。音を立てぬようそうっとそうっと鍵を掛け、夜に歩き出す。足元に蒼い影を見つけて空を仰ぐと、まん丸のお月さまが中天に光っていた。
(満月……)
月の光を頼りに海への道を辿る。
夜が深いせいか、寝子島シーサイドタウン駅の光も家々の灯りもどこか遠く、寝子島街道を通る車の音も絶えている。
真夜中の散歩のお供を求めて立ち寄ることもあるコンビニには今日は寄らず、真っ暗な海までまっすぐ向かう。ふわふわと寄せる海の匂いを含んだ夜風の暖かさが心地よかった。
外灯に照らし出されて静まり返るばかりの踏切を渡れば、海はすぐそこだ。
(そういえば)
腰を下ろしやすい堤防に向かいかけていた足をふと止める。少し距離はあるけれど、今日は波打ち際まで行ってみようか。
(寒い日だとなかなか見に行こうとしないのだけど)
頬に触れる潮風は暖かい。夜に海岸を歩くのに、きっとちょうどいい気温だ。
──寝子ヶ浜海岸で猫の目みたいなシーグラスが取れる場所があるんだって
そう教えてくれた女の子の、きらきら輝く笑顔を思い出す。明るい海の色した瞳を思い出す。
満月の日にその場所に行くと、必ず猫の目のようなシーグラスが落ちている──お伽噺のような物語を聞かせてくれたその女の子を誘って、いろんな人を誘って、シーグラスを探しに来たのは去年のこと。
(懐かしいな)
あの時運良く見つけた青と緑の色のシーグラスは、いまだに手元にそのままのかたちで残っている。
(……いつか)
自分の手でアクセサリーにして、そうして彼女に渡すことが出来たなら。
渡したいものはたくさんある。嬉しい気持ちをたくさん、楽しい笑顔をたくさんくれた彼女に、いつだってお礼がしたかった。同じだけ、できればそれ以上の嬉しい気持ちや楽しい気持ちを手渡したかった。
(いつか……)
砂浜に降りる。靴底に細かな砂を感じながら、潮風に額を撫でられながら、満月の下を歩く。まん丸の月を仰ぎ、星座をなぞる。波音に耳を澄ませてみたり、遠い車のタイヤの音にちょっと気を取られてみたり。
波が届かぬぎりぎりにまで近づいたあとは、波打ち際をゆっくりと辿る。
月の光を帯びた波に白く洗われる砂に探すのは、海を踊るうちに角が取れて石のようになった色付き硝子。
(猫の目のは流石に見つけられないかな)
猫の目シーグラスが見つかるスポットまではもう少しかかる。
四つ葉のクローバーくらいの確率で見つけられるらしい猫の目シーグラスを運任せに探しつつ、
「……あった」
砂の中から顔を出していた空色のシーグラスを見つけて拾い上げる。てのひらの中で温かくなる石を宝物のように握り込み、歩を進める。
茜空の色をしたもの、浅い海の色をしたもの、夜空の色をしたもの。
目的と定めた場所までにいろんな色のシーグラスをてのひらに集めて、彰尋はちょっと頬を緩める。月の光にてのひらを広げると、青白い光の下、シーグラスたちはひそやかに煌めいた。
幼子の宝物のようなそれを、思わずスマートフォンのカメラで撮る。
自分だけのものにしておくのはもったいないような気がして、短文投稿用SNSにアップロードしてみる。添える文章は、
(眠れない夜に、海岸で)
文字を打ち込んで、
(……なんてね)
ちょっと笑う。てのひらの宝物たちをポケットに隠して、新しいシーグラスを探すべく視線を広げたとき、メッセージ着信を示してスマホが小さく震えた。
『夜歩き? いけないんだ』
メッセージのあとに悪戯っぽい笑顔の絵文字がついている。
『でも、とても綺麗』
メッセージ送信者の名に、知らず頬が熱を帯びる。
『猫の目シーグラス、見つかった?』
続く言葉に嬉しくなる。去年一緒に猫の目シーグラス探しをしたことを、
七夜 あおい
は覚えてくれている。
まだだよ、と返事をしながら、月光の海岸を見渡す。
(もしも見つけられたら)
去年のものと今年のものを合わせてアクセサリーを作ろう。
今度こそ、彼女にプレゼントすることが出来たなら──
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あとがき
担当マスター:
阿瀬春
ファンレターはマスターページから!
お待たせいたしました。
夏の真夜中の物語、お届けにあがりました。
眠れない夜、というのはなんだか物語が始まってしまうような気がするのです。
みなさまの眠れない夜の物語、とても楽しく描かせていただきました。
少しでもお楽しみ頂けましたら幸いです。
ご参加くださいまして、お読みくださいまして、ありがとうございました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年09月09日
参加申し込みの期限
2021年09月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年09月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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