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眠れない夜に〈夏〉
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(騒がしい)
カーブミラーを照らす光の眩しさに、周囲でざわめく人々の声に、
鶴見 五十鈴
は漆黒の瞳を細める。
(騒がしいのは苦手なのに)
む、と唇を尖らせる。眠れないったらありゃしないとばかり息を吐いて、そう言えば幽霊は呼吸するのかしらとちょっと考える。考えながら騒がしい周囲を見回して、
(ああ、テレビの心霊特集とかの収録ね)
保険金目的で両親の手に掛けられ、十七歳で命を散らして五十年。とは言え、五十年前にもオカルト番組はあった。むしろ黎明期だったと言ってもいい。
(生きてた頃に時々見てたっけ)
あの頃はまさか自分が心霊番組に特集を組まれる側になるとは思ってもいなかった。
(あ、野次馬もいる)
トンネルの『向こう側』であるカーブ付近に佇んだまま、そこから何故だか動けない五十鈴は額に手庇を当てて遠くを見遣る仕草をしようとして、
「ここには……悪霊が五人居る」
少し離れた位置から重々しく告げるスーツ姿の男の言葉にかたちの良い眉をぴくりと跳ね上げた。
(私しか居ないわよ)
周りを見回さなくても知っている。十年くらい前にはもう一人居るにはいたが、
「血まみれの子どもの霊が手招きをしている」
(そうそう、その子)
あんまり悪さが過ぎた上に何人か『引っ張って』しまったため、近所の偉いお坊さんに祓われてしまった。十年くらい前に。
(ホント、出鱈目ばっかり)
自称霊能者め、と地縛霊な五十鈴はあっかんべをして、
(……あ)
気付いた。自分が見えるひとは別に居る。
(あのアシスタントさん、見えてるな)
少し離れた坂の半ば、通りがかりらしい自転車を押す格好の女性の隣。どこか怯えた顔でこちらを見つめる男を見つけ、五十鈴はぱちぱちと瞬いた。男の『視える』力に引きずられてか、もしかしたら隣の女性もほんの一瞬くらいはこちらの姿が見えたのかもしれないが、
(どうかな)
視えてる? と手を振ってみるものの、ぎくりとした顔を見せてくれたのはアシスタントの男性のみ。
(……脅かさないでおこう)
カーブミラーの下を見る。ぼやけた膝から下に透けて見える地面にあるのは、どら焼きと小さな花束。
撮影隊がここに来てすぐ、あのひとが供えてくれたものだ。
(手だって合わせてくれたし……)
お供えのお菓子や花を心の癒しとしている五十鈴は真剣に考える。偽霊能者はどうでもいいけれど、あのアシスタントさんにはそんなに怖がらなくていいと伝えたい。
(どうすれば……)
頬に手を当てて考えて、ふと思いついた。
(そうだ)
地縛霊とは言え、少しの距離なら動くことが出来る。
足のない身体でふわふわと近づくのは自称霊能者の隣。何事かと身を固くするアシスタント君にひらひらと手を振ってみせてから、
(これを)
まずはVサインした指を霊能者の鼻に突っ込んでみる。
(こうして)
次はどこからどう見てもカツラな芸能人の髪を両手で外すような仕草をしてみる。
(こう!)
とはいえこちとら年季の入った五十年ものの幽霊、どうせ手指は透過して現実には干渉しないはず。
(……あ、ごめん)
ちらりと横目にアシスタント君を見て、五十鈴は詫びる。怯えさせるまいと頑張った結果、アシスタント君が吹き出して隣の女性から不審な目で見られてしまっている。
そちらに気を取られて、五十鈴は更に慌てた。
(……しまった)
力加減を間違えたのか、透過して干渉できないはすのカツラを力いっぱい持ち上げてしまっている。慌てる芸能人の頭にカツラを戻すも、後の祭り。
「悪霊だ! 悪霊の仕業だ!」
「ち、違う、これは……?!」
叫ぶ霊能者に焦る芸能人、立ち尽くすお笑い芸人に気を使って撮影機材の不調を訴えるスタッフ。騒然となる現場から五十鈴は大わらわで離れてカーブミラーの陰に隠れて小さくうずくまる。
(『怪奇!? 宙に浮くカツラ!!』)
頭を過るのは週刊雑誌の見出し。もし万が一そんなことになったら、ここには今以上に心霊スポット目当てのひとが訪れてしまうかもしれない。
(……どうしよう)
静けさを愛する眠れぬ地縛霊はそんなことを考えて思わず頭を抱えた。
真夜中の大騒ぎな撮影現場からそっと踵を返し、自転車で坂道を下る。月明かりに照らし出された道を駆け抜けて、気が付けば海岸沿いの道。
(今日は凪の海ね)
この前、恋人と久しぶりにサーフィンをした海が今日は穏やかな顔を見せているのを横目に通り過ぎようとして、
(ん?)
砂浜と車道を遮る防風林の半ば、小さな明かりを見つけた。
(今日は、不思議なものばかり見るのね)
小さく笑い、海岸へ降りる階段の近くに自転車を停める。林に降る月光と小さな光を頼りに砂浜を辿るうち、風鈴の音が耳に届き始めた。
明かりの灯る海の家の前に立つ。こんな時間に、と不審に思いながら、軒先を飾る風鈴の邪気のない音に惹かれて近づく。
「今晩は……?」
声を掛ければ、奥から作務衣姿の老人がふらりと出て来た。
「おや、風鈴をお求めかい?」
「あ、いえ、……」
穏やかな笑顔に曖昧に笑う。
縁側に腰かけた老人は、傍らで丸くなっていた猫を撫でた。お代は生まれたときの話で、と告げられ、朝衣は目を丸くする。今晩はつくづく不思議な出来事に遭遇する。
縁側に置かれた座布団のひとつに座り、たぶんいちばんに古い記憶を呼び起こす。
「周りがとても騒がしくて、とても緊迫していて、」
息が苦しかった。不安だった。それなのに泣くことすら出来なかった。
「親から聞いた話では、私は早産で、しかも半ば死にかけていて」
けれど必死の蘇生措置のお陰で数時間後に産声をあげることが出来た。
「……おかげさまで、私は今もこうして生きてる」
今もここにいる、と呟けば、小さな笑みがこみ上げた。
「不思議なものね」
ふむ、と頷いた老人は、立ち上がって軒先から風鈴を一本手に取った。ちりんちりんと涼し気な音を立てるそれを差し出され、朝衣は瞬く。あんな断片的な話でよかったのかと問うても、老人は頷くばかり。
受け取った朝衣の手の中、緋色の金魚が描かれた風鈴が静かに──生まれたての赤子のようにささやかで力強い鈴音を立てている。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年09月09日
参加申し込みの期限
2021年09月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年09月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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