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眠れない夜に〈夏〉
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店内に取り込んだ暖簾を、
宇佐見 満月
は仁王立ちで眺める。
呼吸何回か分後、店の端の掃除道具を取りに向かおうと数歩進んで、
(ああ、いや、)
テーブルの上に乗せた椅子を目に留め、足も止める。床の掃除はさっき終えた。考え事をしていたとは言え、亡き両親から受け継いだ店の後片付けにやり残しはない。
残り物野菜や肉は食べ盛りな弟と姪っ子用に鍋いっぱいのカレーにした。もう少し大振りに切るつもりだった野菜が気付けば細切れになっていて、もう少し歯応えを残すつもりだった予定が気付けばほろほろのやわやわな煮込み加減になってはいたが、味は悪くない。
鉄板を一枚残らず磨き、シンクやまな板を消毒し、テーブルを拭き上げ、床を掃除する。
いつもなら小一時間もあれば片付く店じまいが、
(考え事してたからかねぇ……)
そう言えば、ひとつひとつの仕事の合間に手が止まってしまっていた気がする。
(まあ、明日は定休日だから)
構やしないさね、といつもより数時間遅れで店じまいを終えたお好み焼き屋『うさぎ屋』の店内を見回し、灯りを落とす。
「……」
消した電気をもう一度付け直す。再度明るく照らし出される店内厨房に立つ。冷蔵庫を開けて野菜を取り出しかけたところで、壁掛け時計の示す時間が目に入った。
深夜と言っても差し支えのない時刻に、手にしていた野菜を冷蔵庫へと戻す。ぱたりと扉を閉める。
客のいない店内に耳を澄ませる。起きていれば階下の店舗部分まで足音なり賑やかな声なりが聞こえて、
──もう寝な餓鬼共!
そうやって叱られるまでが通常営業な弟と姪の気配も、今は絶えている。どうやらこちらが店の片付けを長引かせている間に風呂を済ませ布団に入ったらしい。
(歯磨きは、……って、もう子供じゃないさね)
弟は今年大学に入った。
書類上では己の子である姪っ子も、もう高校三年生だ。
(ああもう、)
冷蔵庫の冷たい扉にゴツリと頭をぶつける。仕込みでもして手を動かして気を紛らわせてやろうかと思ったけれど、寝ている子たちを物音で起こしたくない。
今日も一日朝からよく働いた。勉強が本業の弟と姪に朝ごはんを用意してそれぞれの学校へ家を追い出すところから始まって、掃除に洗濯、それが終われば稼業であるお好み焼き屋の開店準備。最近始めた出前が存外盛況なおかげもあって、店を開けている間は良かった。考え事に煩わされずに済む。
それなのに、一日が終わってしまえば、やるべきことが片付いてしまえば、
──僕は、満月さんの手を守れていますか
店を臨時休業にしたあの日に告げられた、近所の幼馴染の言葉と熊のような髭面が頭の中でぐるぐると回り始める。
(あたしゃ何すれば良いんさね!)
熱を帯びてしまう頬をバチンと両手で叩く。体がどれだけ疲れていても深夜を過ぎても、頭は一向に眠気を覚えず、むしろますます冴えてきてしまっている。
店内をウロウロと歩く。
子育て中のヒグマの如き落ち着かぬ動きが止まったのは、夕暮れに届いたものの店の端に放置していた荷物が目に留まったからだった。
(カッとなって買っちまったよ)
ネット販売をしている手芸店の名と『ハギレ福袋』の品名を送り状に確かめつつ、ダンボール箱を手に取る。とにかく開けてみようと二階の住居へと足を運び、自室の電気をつける。
わくわくと開封してみれば、
(おお、)
飛び跳ねる兎の柄に蛍光色のレトロ柄、ハンドメイド魂を燃え立たせるような可愛い柄のハギレばかり。
(ふむ、)
床に端切れ布を広げて満月は思案する。どれもこれも布幅はあっても長さは50センチほどのもの。となれば、
(はぎ合わせてフレアスカートにするか、ディアードスカートにするかだねぇ……しかも柄が布幅側ってか、面倒だねぇ)
こちらの布を合わせ、あちらの布を合わせ、難しい顔をしたかと思えばくすりと小さく笑う。デザインを考える楽しい作業に没頭しかけて気が付いた。
今は深夜だ。
(布切ってもミシン使えないんじゃ意味無いんじゃないのさ)
組み合わせた布地を周囲にぶち撒け、その上にぱたんと倒れて、すぐに起き上がる。時間が時間なのは仕方がない。物音を立てずにできて時間が潰せると言えば、
(編み物……)
食べ物を漁る熊の動きで押し入れを探る。余りものの毛糸玉が何かしらあるだろうと思っていたけれど、探してみれば出てくる出てくる、夏物毛糸が20玉。しかもどれも同じ色。
(あたしゃ何やって、……まあ良いさね)
毛糸を買い込んだ理由を思い出そうとして止める。
(一丁大物でも編んでやろうじゃぁないのさ!)
真夜中の編み物のお供はカフェオレと大福。
用意したカフェオレをひとくち口にしたあとは、大福を齧ることも忘れてひたすら黙々と編み棒を動かす。手を動かしていれば、編み目を数えていれば、とにかくも考え事に引きずり込まれずに済む。
(……で)
出来上がったのは、熊でも着れそうに馬鹿でかいサマーセーター。
それを目の前に広げて満月は考える。
(愚弟のにしては身幅が合わないし……まるで太一っ)
編み棒を動かす間中頭の中にあったひとの顔に、あの日以来の思案の果てにたどり着きそうになって、反射的に床に突っ伏す。かと思えば物凄い勢いで立ち上がり、周りのハギレも毛糸も夜食も全部片づける。
眠れない夜の最後に引っ張り出してきたのは書道具。
眠れなさ過ぎて痛くなってきた頭を抱えて深呼吸をひとつ。もうひとつ。
(こういう時には、墨を擦るのが一番!)
硯に水を入れ、固形墨を手にする。静かに手を動かせば墨の匂いが立ち昇る。硯に墨が削れていく音が波打つ心を凪に導いてくれる。知らぬ間に瞼がおりてくる。
(ああ、……心が落ち着くねぇ……)
朝になっても起きて来ない満月を心配して部屋を覗いた弟と姪が、床に放り出されたサマーセーターを太一のもとに届けたことも、家宝にしますと太一が感激したことも知らず、満月は今はぐっすりと眠っている。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年09月09日
参加申し込みの期限
2021年09月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年09月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
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