ゴールは落神神社｜リアクション

ゴールは落神神社

【寝子島シーサイドタウン駅を超えて……】

　腐サンマさんがいるところを全員避けて動いた結果、真央を除いた人間は寝子島シーサイドタウン駅で集まる結果となっていた。
　真央は、一端、寝子島シーサイドタウン駅に来たものの、そのまま全速力で走り去っていった。
　それに遅れて、ミゾレ、夏朝、泰五、勇生、園花らが街へと駅を超えて、寝子島街道へと進んだ。
　ちょうど最初の信号が見えた……そんなときである。
「おい、なんか聞こえるぞ……？」
　真っ先に周囲を伺っていたミゾレが気づく。

　ドドドドドドドドドッ！　ドドドドドドドドドッ！
　わらわらわらわら　わらわらわらわら　わらわらわらわら　　　
「「「「サンマ？　サンマ？　だぜぇい！」」」」

「――腐サンマさんが一斉にこっちに来ます！」
　園花も気づいて声を上げる。
　星ヶ丘方面から一斉にやってくる腐サンマさん。
　不幸にも、そちら側に向けて走っていたため、全員がその姿を目撃してしまう。
（雨垂ミゾレ　１ｄ２０＝１０）
（恵御納夏朝　１ｄ２０＝１２）
（周泰五　１ｄ２０＝５）
（多喜勇生　１ｄ２０＝１７）
（四ツ門園花　１ｄ２０＝１）
「ちっ、カメラがどこかにありゃな……ガキが食われるシーンが撮影できたのによ」
　そのとき、ミゾレは小さく悪態をついていたが、他の人もそれを聞くどころでは無い。
「多喜さん、こっちに…！」
「……いやっ……でも！」
「早く……！」
　夏朝が勇生を促して脱出を図る。
　目指すは寝子島中学校の方面である。
　勇生が躊躇っている、それには理由があった。
「あ……う、がぁ……ひっ……」
　泰五は脱力したかのように、這いつくばって逃げようとしている。
「あはっ、なぁんだ……サンマさんがこんなに腐っちゃったのは私のせいだったんですね……今、治してあげますから、あは、あは、あははははっ！」
　園花は発狂してしまったのか、恍惚とした表情を浮かべてふらふらと腐サンマさんの方へと歩いて行っている。
　できれば、勇生はその二人も助けたかったが……時間が無い。
「……」
「……」
　一瞬、夏朝の表情を勇生は見る。
　雨ですっかり濡れてしまっている顔は、今どんな表情をしているのか……分からない。
「……っ」
　ぐいっと袖を引っ張る夏朝の手がかすかに震えていることに勇生は気づく。
（怖い……怖い、けど、やらないと！　……ごめん！　ごめん！！　絶対に脱出しよう！）
「……行く」
　そうして、勇生は夏朝とともにここから離脱することを選んだ。
　ミゾレは、去って行く二人を見て、あとで追いかけようと思いつつ、恐怖に震える泰五が自分の方へ助けを求めていることに気づいた。
「……へっ……へへっ……ガキが！」
　すでに園花は腐サンマさんに飲まれつつあるが、ミゾレが決断すれば泰五は助かるだろう。
　しかし、ミゾレはその決断をしなかった……。
「オラよっ！」
　そう言って、泰五を腐サンマさんの方へと思いっきり蹴り飛ばす。
　信じられないような顔をして泰五に次々に腐サンマさんが躍りかかる。
　ミゾレは腐サンマさんが二人の獲物に夢中になったのを確認すると､その場を離脱した。