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根積は何かを探している。
街中から裏通りへ、かと思いきやまた交通量のはげしいあたりへ。あっちへちょろちょろこっちへちょろちょろ、なかなかに忙しい。
……何を探している?
清恋はかるく唇を噛んだ。
根積の行動にはまったく法則性がないようでいて、それでも意図は感じることはできた。大学時代、級友からチケットを押しつけられ、興味もないのに訪れた前衛画家の個展を思い出す。あのとき見たぼやぼやした線画みたいだ。意味は不明だが意思はある。何かはそこにあるはずなのに、具体性が見えてこない。
やがてキーワードが浮かび上がってきた。
猫。
根積は嗅覚でもはたらくのか、たくみに猫を見つけては足を止めた。猫の集会所にしばらくまじって、猫の一匹になったかのようにじっと動かない時間もあった。
清恋は猫嫌いである。えもいわれぬ恐怖すら抱いている。正直肌が粟立つような瞬間もないではなかったが、尾行中ということもあり、職業意識からか根積を見失うことはなかった。
結構な時間、猫を探しているようだけど。
ネズミが猫を探すなんて妙な話よね。
ふとそんなことを考えておかしみがこみあげたとき、
――えっ!?
清恋は根積を見失ったことに気づいた。
ずっと前方にあった背中が消えている。こんなとき大げさにキョロキョロするのは素人だ。内心の動揺を隠し、携帯メールをチェックするふりをして足を止めた。だが視線はスマホではなく四方へ走っている。
「探し物ですか?」
急に声をかけられ、さすがの清恋も身をこわばらせた。
我ながら間抜けだった、と清恋は内心舌打ちした。やはり頭が休みモードだったのかもしれない。こんなに近接を許してしまったとは。
距離にしてせいぜい二メートルといったところだろうか。声の主は根積だった。ポストの影から姿を見せる。
「失礼。私、不審な相手に気がつくのは早いほうなんですよ。こう見えても私立探偵でしてねえ……いや、こう見えても、って変でしょうか。現実の探偵はシャーロック・ホームズや金田一耕助や、あの……ええと、なんていいましたっけ、漫画に出てくる蝶ネクタイの男の子みたいに目立つ外見じゃないんですよ。むしろ地味で目立たない、私みたいなしょぼくれたおじさんだったりするんです。おっと、また話しすぎてしまいました……」
いけないいけない、と根積は額をぺたりと叩いた。
「すいませんお嬢さん。じつはちょっと前から気がついてました。私に何かご用ですか?」
お嬢さん? そういう呼ばれかたには慣れない清恋だ。お嬢にしては年を取りすぎだと自分では思うし、小娘あつかいで見くびられているのだとすれば頭にくる。あえて返事をせずに清恋は根積の出方を待った。
「ははあ、もしかしてあなた……」
と根積は言った。
またたくまに清恋の脳裏に、次の場面の想像が花ひらく。
警察ですか? だったら逮捕してくださいよぅ――と両手を突き出し哀願する根積。
逆に、追っ手だとしたら捕まるわけにはいきませんねぇ、と脱兎のごとく逃げ出す根積。
あるいは、例の組織の手先だな死んでもらう! と銃を抜く根積。(さすがにこれは飛躍のしすぎか)
そのいずれでもなかった。
根積はおだやかに言ったのである。
「私とおなじものを探しにきたんですね」
えっ?
「猫ちゃんです」
猫ちゃん!?
「白猫です。かわいそうに前脚が一本ない子ですよ。まだ幼いのに……」
根積はもともと哀れっぽい顔を、ますます哀れっぽくくしゃくしゃにした。
「この前、はすむかいのバス停あたりで見かけましてね。悪い人間にいじめられていたんです。でもねあの猫ちゃん、脚が悪いから満足に逃げられないんですよ。あの日はなんとか難を逃れましたが、それからもずっと私、あの子のことが気になって気になって……今日ようやく時間ができたので、どうにかあの猫ちゃんを保護できないかと、ずっと探しているというわけなんです。あなたもおなじですよね?」
こうなっては話を合わせるしかない。清恋は腹をくくった。
「はい、私も猫愛好家なんですが」
猫愛好家!
とっさに口走った嘘とはいえ、自分から一番遠い存在ではないかと清恋は戦慄していた。新品の刷毛でひと撫でされたごとく一斉に鳥肌が立ったくらいだ。捨て鉢な気分でつづける。
「その子の話を聞きまして、こうして探しているんです」
猫を『子』とか表現する人間を清恋は理解できない。雄猫・雌猫でいいところを、『男の子』『女の子』とか言ったりする手合いだ。まさかその異次元表現を自分が口にすることになるとは……!
「やはりあなたも! でしたら手分けしてさがしましょう」
と言い、
「申し遅れました。私、根積と言います。先も申し上げましたが人を探す専門家です。でもあいにくと猫ちゃん探しはずぶの素人で……」
よろしくお願いしますと根積は頭を下げた。
「み、水槻です」
口にしてから清恋は後悔する。急なのでとっさに偽名を思いつかなかった。そんな気はぜんぜんなかったというのにつけ加えてしまう。
「がんばりましょう」
「ええ、がんばりましょう」
この瞬間だけ根積は、貧相で陰気な中年なのによくもこんな、と清恋が思うほどにさわやかな笑顔をみせたのである。
引く。
色々引く。
血の気が引くし腰も引ける。
なんといっても気持ちの波が、ざざと音を立てるくらいはげしく退潮している。
なんでこうなるの……。
なにが悲しくて非番の日に、貧相な中年男性の手伝いで。
猫探しなんてしなきゃらなないのよ……!
ムンク風の目鼻がついた青白いため息が出そうである。固形になったトホホ気分をハンマーで砕き、すり鉢で粉にしたやつを飲みこんでいる気分だ。
とはいえ中途半端や手抜き仕事はできない性質(たち)だった。やるからには本格的にやる清恋である。ブロック塀をさぐりフェンスをくぐり、根積の言っていた地点を中心に猫を探しつづけた。
やはりこの島は猫が多い。野良なのか放し飼いなのか知らないが、大きいの小さいの若いの老いたの、やたらと猫がうろうろしている。人なつっこいのも少なくなくて、清恋と目があうなり「お呼びで?」と寄ってくる猫もいた。「呼んでねー!」と威嚇して追い払いたい気持ちに幾度となくかられたものの、『猫愛好家』なんていう嘘をチョイスしてしまった手前、じっと我慢するほかない場面も一度となくあった。
あっついし腰は痛いし。
毒づきたい。
せっかくの休みが……台なし!
疲れと空腹でへばりかけてきたころだ。
あっ、という言葉と同時に臓器が口から飛び出しそうになった。
住宅地にぽっかりとできた空き地、草むらで遭遇したのである。
白い猫、子猫。
猫に美人不美人があるのかは知らないが、少なくとも『美』のほうではないと清恋は思った。
ひどい目やにで左眼が閉じかけており、栄養状態は最悪なのか骨と皮ばかりの体つきだったからだ。毛並みもガサガサである。頭の一部は剥げて、ピンクの肉がのぞいている。
しかもこの猫は、悪い目とおなじ側の前脚が、人間でいう手首のあたりで途切れているのだった。事故なのか、生まれつきそうなのかはわからない。
猫は怯えた目でこちらを見ている。
逃げ出そうとしているのだろう。でも、体が不自由ゆえ急な行動は難しいようだった。こちらの出方をうかがっているように見えた。
やっぱり猫って……苦手……。
犬のように感情表現が豊かではない。馬やウサギのように静かじゃない。魚や鳥ともちがう。
知性のある目で、こちらの心を見透かしているようなまなざしで、ただ、じっと見てくる。
あれが嫌だ。
正直言うと、恐い。
手が震える。脂汗が額にぽつ、ぽつと浮いた。
ええい!
清恋は己に渇を入れた。
たとえ無償であっても請け負った以上この猫探しは仕事で、仕事の場面である以上は現場だ。
現場でびびるやつが警察やってられるかってんだ!!
「猫ちゃ~ん、こっちよ~」
文字通り猫なで声で清恋は呼びかけた。全力の作り笑顔を浮かべる。
ビルの屋上から飛び降りるべく手すりを乗り越えた少女に追いつき、単身で呼びかける心境――そんな経験は幸いにして清恋にはなかったが、いつそんな場面に遭遇しても落ち着いて説得できる自信は、ある。
自分のなかの場面設定が完了したせいか。たちまち清恋の震えは収まっている。笑顔もぐっとやわらかくなった。汗はひいた。
子猫からも緊張が消えるのがわかった。
「水槻さん、お上手です」
いつのまにか清恋のとなりには根積が来ていて、そっと両腕を子猫に伸ばしていたのである。
数秒後、猫は根積に抱きかかえられていた。
「やれやれ、ようやく確保できましたよ。一苦労しましたが、骨を折ったかいがあったというものです」
「よかった」
と口にした清恋の言葉は社交辞令ではなく本心だった。
「それで、その猫……ちゃん、どうするんですか?」
「シーサイドタウンのほうに『ねこのしま』という保護猫カフェがありましてねえ。とりあえずそこに相談してみたいと思っているんです。この子、目も治さないといけませんし、なにより栄養が足りていないようですから」
けっしてきれいな猫ではない。むしろ薄汚れているというほうが適切だ。目に限らず皮膚病も持っているように見えた。額には膿のようなものすらのぞいている。なのに根積は、猫をまるで自分の娘のように大切に抱えるのである。猫のほうも、いくらかとまどいはあるようだが落ち着いた顔で根積を見上げていた。
「それはよかった」
内心、清恋はいささか驚いてもいる。自分に。
赴任早々凶悪事件が連発、下手をすれば川崎や横浜より忙しいんじゃないか? と一時は身の不幸を呪ったくらいなのに、
さっき私、この島にきて良かった……って一瞬思ったかも。
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担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年09月04日
参加申し込みの期限
2021年09月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年09月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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