【修学旅行】アッツイ、タイに行きたいッ！｜リアクション

【修学旅行】アッツイ、タイに行きたいッ！

●プーケット島

　エメラルドグリーンの海と白い砂浜をバックに、鮮やかなビキニでポーズを決める。
　アユタヤでの撮影を終えるとすぐにプーケット島へ移動した初瀬川理緒と佐和崎紗月は、朝から夕方まで組まれた撮影スケジュールをこなしていた。朝早くから来て、私服で街中を歩いたり、波打ち際を散歩したりしているところを撮影した後、水着に着替えての撮影となった。移動の時間、着替えの時間、メイクの時間、カメラなどをセッティングする時間……雑誌の数ページのグラビアのために、こんなに沢山の人がこんなに時間をかけているなんて知らなかった、というのが紗月の正直な感想だ。
　水着での撮影中に休憩を告げられる。
　紗月と理緒は、波打ち際に横たわって身体が波に洗われながら、プーケットの澄んだ空を見上げていた。
「まさかこんなことになるとは思わなかった」
「そうだね。でも、あたしは……こうなるといいなって思っていたかな」
　紗月は理緒にしがみついた。肌と肌とが離れたら死んでしまうと言わんばかりに、休憩時間が終わるまで、ずっと。
　
　その後、それぞれを単体で撮ったり、あるいは二人で絡んだりの撮影があって、最後は夕暮れの海を背景に二人で見つめ合うところを撮影して終了した。
　はじめての撮影旅行でくたくたに疲れた様子の紗月の頬に唇を寄せて、理緒は囁く。
「今度は仕事抜きでタイに来たいね」
　紗月は紅潮した頬で理緒を見返した。
　それから小さく頷いたのだった。