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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
【修学旅行】アッツイ、タイに行きたいッ！
●ホテルにて・その１
修学旅行の醍醐味の一つに、夜のホテルで友人たちと過ごす夜を数える人も多いだろう。
「涼しい……幸せ……！」
自由行動を終えてホテルの自室に戻ってきた恵御納 夏朝と恵御納 夏夜は、クーラーの効いた部屋に入って極楽を知った。
「うん、涼しい……はわわ～」
クーラーの風のあたるところでおでこを冷やす。
本当ならこのあとシャワーを浴びて、ベットでごろごろしたいところではあるが。
「まだやる事がある」
夏夜はきりっと眼鏡の蔦を押し上げた。
そう。
まだお土産を買っていないのだ！
ホテルで買えるかと思ったのだが、宿泊したバンコクのホテルでは日本の温泉街のホテルみたいにお土産ショップを併設してはいなかった。もしかしたらあれは日本独自の文化なのだろうか？
となれば、である。
「お忍びで」
「脱出しちゃおう」
「トラブルに巻き込まれないよう気を付けて」
「先生達に怒られない位の時間で戻ってこよう」
ちょっとだけ悪戯気分も手伝って、夏朝と夏夜は人目を忍んでホテルを抜け出す。
行き先は、露店が所狭しと軒を並べる繁華街。いかにもアジアという雑多さな雰囲気は魅力的だが、情報量が多すぎて目がちかちかする。派手なワンピースに身を包んだお兄……お姉さん？が手招きしている。純な日本の女子高生は出来るだけ早急にお土産を選んで立ち去った方が賢明かもしれない。
「何にしよう」
「何かお揃いの……猫っぽいものはどうだろう？」
そう言いながら歩いていくと、ある露店で、白象の体に猫の顔が合体したようなエキゾチックな陶器の置き物を発見した。アジアンな顔立ちの流し目が不思議な魅力を放っている。
夏夜は自分たちへの土産をそれに決めた。
夏朝は無難な焼き菓子を買った。
「あ、猫さん」
夏朝はここでも猫に出会いご満悦。なにやらゴキブリを咥えているようだが……しかも日本のよりかなり大きめの……猫さんも夕食だろうか。さすが南国である。
◇
シャワーの熱さが心地いい。椎井 莉鳥はシャワーヘッドから押し出される霧雨みたいな温水を頭から浴びて、汗が流れゆく幸せを満喫した。
ワット・ポーで見た寝仏像。
夕方のワット・アルンでは民族衣装を着て、皆と一緒に写真に納まったこと。
アユタヤの崩れた遺跡群。
旅の思い出が浮かんでは消える。
「ふぅ……」
下着だけの姿で髪を拭き、ミネラルウォーターを喉に流し込んだ。
部屋の中はクーラーがよく効いていた。外との気温差ですこし肌寒いくらいだ。
今日もよく歩いた。ようやく人心地つける、とドライヤーを手にベッドサイドに腰を下ろし、熱風を髪に当てていると同室の子たちが勢いよく部屋に入ってきた。
「椎井さんも行くよねっ？」
「行くってどこに？」
「もちろん、ア・ソ・コ」
まだ髪が乾ききっていなかったのに。部屋着のようなライムグリーンのＴシャツとショートパンツにサンダルという恰好のまま、疑問符だらけのまま彼女たちに引っ張られるかたちで、先生の目を盗んでホテルを抜け出す。
彼女たちと来たら、ホテルの前に停車していたトゥクトゥク（三輪タクシー）に悪びれもなく莉鳥ごと乗り込むと、タイでも大人の遊び場と言われる繁華街の名を口にした。
ついた場所は、どぎついピンク色のネオンサイン輝く歓楽街。パブやクラブが立ち並び、路上に出されたテーブルで客たちが酒を飲んでいる。
「どこに行くの？」
莉鳥が尋ねると、同室の子たちが真顔で声を揃えた。
「「「タイに来たら、ニューハーフショーを見ずには帰れないでしょ！」」」
若さゆえの無謀な冒険というなら、そう呼んでくれたまえ。
ショーのなんと煌びやかなこと。全員男性だということを忘れてしまうような、美しさと華やかさ。
最後にはチップを渡し、一番の美人さんと写真まで一緒に撮らせてもらって、鼻血が出そうなくらいテンションが上がりまくる女子高生たち。無理やり連れてこられた莉鳥はそこまでではないが、それでもショーが素晴らしかったという感想は素直に持った。
ショーからの帰り、怪しい感じの男たちに絡まれて追いかけられたりもしたが、一番冷静だった莉鳥が機転を利かしてどうにか全員脱出成功するという一幕もあった。
「もしかしたらあたしたち貞操の危機だったんじゃない？」
「ええーっ、タイでロストバージンするところだった！？」
「下手をすると外国に売られてたかもしれないわよ」
きゃっきゃと囀りながらホテルまで戻ってくると仁王立ちした吉田 熊吉先生がホテルの前に陣取っていて、全員こってりと絞られた。――というところまでが修学旅行のお約束である。
修学旅行の醍醐味の一つに、夜のホテルで友人たちと過ごす夜を数える人も多いだろう。
「涼しい……幸せ……！」
自由行動を終えてホテルの自室に戻ってきた恵御納 夏朝と恵御納 夏夜は、クーラーの効いた部屋に入って極楽を知った。
「うん、涼しい……はわわ～」
クーラーの風のあたるところでおでこを冷やす。
本当ならこのあとシャワーを浴びて、ベットでごろごろしたいところではあるが。
夏夜はきりっと眼鏡の蔦を押し上げた。
そう。
まだお土産を買っていないのだ！
ホテルで買えるかと思ったのだが、宿泊したバンコクのホテルでは日本の温泉街のホテルみたいにお土産ショップを併設してはいなかった。もしかしたらあれは日本独自の文化なのだろうか？
となれば、である。
「お忍びで」
「脱出しちゃおう」
「トラブルに巻き込まれないよう気を付けて」
「先生達に怒られない位の時間で戻ってこよう」
ちょっとだけ悪戯気分も手伝って、夏朝と夏夜は人目を忍んでホテルを抜け出す。
行き先は、露店が所狭しと軒を並べる繁華街。いかにもアジアという雑多さな雰囲気は魅力的だが、情報量が多すぎて目がちかちかする。派手なワンピースに身を包んだお兄……お姉さん？が手招きしている。純な日本の女子高生は出来るだけ早急にお土産を選んで立ち去った方が賢明かもしれない。
「何にしよう」
「何かお揃いの……猫っぽいものはどうだろう？」
そう言いながら歩いていくと、ある露店で、白象の体に猫の顔が合体したようなエキゾチックな陶器の置き物を発見した。アジアンな顔立ちの流し目が不思議な魅力を放っている。
夏夜は自分たちへの土産をそれに決めた。
夏朝は無難な焼き菓子を買った。
「あ、猫さん」
夏朝はここでも猫に出会いご満悦。なにやらゴキブリを咥えているようだが……しかも日本のよりかなり大きめの……猫さんも夕食だろうか。さすが南国である。
◇
シャワーの熱さが心地いい。椎井 莉鳥はシャワーヘッドから押し出される霧雨みたいな温水を頭から浴びて、汗が流れゆく幸せを満喫した。
ワット・ポーで見た寝仏像。
夕方のワット・アルンでは民族衣装を着て、皆と一緒に写真に納まったこと。
アユタヤの崩れた遺跡群。
旅の思い出が浮かんでは消える。
「ふぅ……」
下着だけの姿で髪を拭き、ミネラルウォーターを喉に流し込んだ。
部屋の中はクーラーがよく効いていた。外との気温差ですこし肌寒いくらいだ。
今日もよく歩いた。ようやく人心地つける、とドライヤーを手にベッドサイドに腰を下ろし、熱風を髪に当てていると同室の子たちが勢いよく部屋に入ってきた。
「椎井さんも行くよねっ？」
「行くってどこに？」
「もちろん、ア・ソ・コ」
まだ髪が乾ききっていなかったのに。部屋着のようなライムグリーンのＴシャツとショートパンツにサンダルという恰好のまま、疑問符だらけのまま彼女たちに引っ張られるかたちで、先生の目を盗んでホテルを抜け出す。
彼女たちと来たら、ホテルの前に停車していたトゥクトゥク（三輪タクシー）に悪びれもなく莉鳥ごと乗り込むと、タイでも大人の遊び場と言われる繁華街の名を口にした。
ついた場所は、どぎついピンク色のネオンサイン輝く歓楽街。パブやクラブが立ち並び、路上に出されたテーブルで客たちが酒を飲んでいる。
「どこに行くの？」
莉鳥が尋ねると、同室の子たちが真顔で声を揃えた。
「「「タイに来たら、ニューハーフショーを見ずには帰れないでしょ！」」」
若さゆえの無謀な冒険というなら、そう呼んでくれたまえ。
ショーのなんと煌びやかなこと。全員男性だということを忘れてしまうような、美しさと華やかさ。
最後にはチップを渡し、一番の美人さんと写真まで一緒に撮らせてもらって、鼻血が出そうなくらいテンションが上がりまくる女子高生たち。無理やり連れてこられた莉鳥はそこまでではないが、それでもショーが素晴らしかったという感想は素直に持った。
ショーからの帰り、怪しい感じの男たちに絡まれて追いかけられたりもしたが、一番冷静だった莉鳥が機転を利かしてどうにか全員脱出成功するという一幕もあった。
「もしかしたらあたしたち貞操の危機だったんじゃない？」
「ええーっ、タイでロストバージンするところだった！？」
「下手をすると外国に売られてたかもしれないわよ」
きゃっきゃと囀りながらホテルまで戻ってくると仁王立ちした吉田 熊吉先生がホテルの前に陣取っていて、全員こってりと絞られた。――というところまでが修学旅行のお約束である。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2021年07月24日
- 参加申し込みの期限
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- 2021年07月31日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2021年07月31日 11時00分
