【中間テスト】猫パニック！　お手紙も書いてね！？｜リアクション

【中間テスト】猫パニック！　お手紙も書いてね！？

　３年の羽生碧南は、テスト期間もいつも通りだった。
「社会ね。年表や歴史人物の人名や用語とかバッチリ！　この前、世界史の各時代をタイムリープする乙女ゲーをコンプリートしたばかりだったから記憶は鮮明なのよ！」
「相変わらずだね……」
　周囲の生徒はため息をつくが、碧南はすっかり自分の世界に入っている。
　（世界史に関して言えば100点満点取れててもおかしくないわ。もうこれは「私のターン！」ね）
　碧南は乙女ゲームが大好きだ。
　好きなだけでなく、暇さえあれば妄想に浸っている。

　今回は勝手に脳内で全教科の擬人化をやっている。
（既にクールな数学先輩を攻略したから、世界史が済んだら翌日に待ち構える和のイケメン（国語）と熱血スポーツイケメン（体育）の攻略ね）
　……まだ世界史の試験は終わっていないのだが。
（っと、今は浮気なんかしている場合じゃない、このちょっとキケンな歴男イケメンをいかにこちらに振り向かせるか、そのことに集中しないと！）
　こんな調子なので。
「ニャー」
（え、猫ちゃん？）
　テスト中に突然猫ちゃんが絡んできても。
（キケンな歴男イケメンが子猫に絡まれて、困った顔で私を見てる……！　ギャップ萌えだわ。鳴かないホトトギスには対処できても、可愛く甘える子猫にはお手上げなのね！）
　こんな調子で、全教科擬人化イケメンとの甘い時間のなかのエピソードとして処理してしまう。
　しかもこんなんで結構いい成績を取ってしまうのである。

　テストの時間が終わってからもニマニマしている碧南を、周囲の生徒は、
「いつものアレね……」
　と、生温かい目をして眺めていた。

　ちなみに、後日、返却されたテストは平均80点台だった。
（まだやり残しがあった？　次こそは、見ていない彼の表情を全部ゲットするわ！）
　あくまで向上心を持ち続ける碧南であった。

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