【中間テスト】猫パニック！　お手紙も書いてね！？｜リアクション

【中間テスト】猫パニック！　お手紙も書いてね！？

〇テスト結果

　４日間、ずっと猫が教室で鳴いたり寝たり喧嘩したり甘えてきたり大変だった。
　１年の篠原翠響は、集中が乱されそうになりながら、それでもどうにか全科目やりきった。
（新体操の演技本番のアクシデントだと思えば、これくらい何でもないわ）

　テスト自体の出来は全科目良い成績で、体育科のクラス順位はもちろん、学年でも上位組に入っていた。
「篠原さんすごいわね、どうやってこんな成績が取れるの？」
　驚いたクラスメイトが声をかけてきたが。
「惜しいな、あの時猫が教室中で騒いでなかったら全科目100点を獲得できたかも」
　などとさらりと言ってのける翠響に、周囲のクラスメイトたちは唖然とするのだった。

　テスト勉強期間中休みだった新体操部は今日から再開だ。
　本当は翠響は木天蓼女学院高校（通称マタ女）へ推薦入学するはずだった。
　去年の新体操の全国大会で優勝した翠響には全国から注目が集まり、新体操に熱心な各校で争奪戦となった。
　その争奪戦の勝者になったのが、ノーマークだった寝子高だった。
　前理事長の桜栄あずさが強引に誘いをかけてきたのだ。
「え？　寝子高って新体操部ないですよね？」
　なのになぜ？　と思った翠響に、あずさは微笑んで言ったのである。
「大丈夫よ、4月から新体操部が発足するの。コーチはトレーニングセンターから来てもらうわ。スタートしたばかりの部で、先輩に気を遣わず自由にやるって魅力的だと思わない？」
（それってもしかして、私のためにわざわざ部を作ったってこと？）
　そう思うと、さすがに断りれなかった。

　急ごしらえの新体操部だったが、体育科の生徒には経験者も多かった。
　部の雑事は部長がやってくれるので翠響は練習に専念できる。
　男子部員も数人いて、中には格闘新体操とやらをやりたがっている女子部員もいるが……。
　外部から指導者が来てくれているので、練習で困ることもなかった。

　まずは８月のインターハイへ向けての県予選がある。
　それに向けての練習が今日から再開となる。　
（ブランクをどう埋めるかを考えると頭が痛いけど……やるしかないか）
　そんなことを考えつつ身支度を済ませ、体育館へ向かう。
　だが、準備運動の後演技を始めると、周囲からは歓声が湧きおこる。
「まったくブランクを感じさせませんね。飛ばしすぎずに行きましょう」
　先生は目を輝かせて言うのだった。
　

このページにイラストを設定する