鴉天狗の宿屋｜リアクション

鴉天狗の宿屋

　大旦那が女天狗に『お手伝いさん』を紹介する。

「1人目は受付で接客を担当してもらう」
　大旦那はアイオ・キャンドライトに視線を送る。

「アイオ・キャンドライトと申します。接客業の経験がありますので、それを活かしてお手伝いできればと思いますわ」
　アイオはそう挨拶をして軽くお辞儀をした。

「2人目にはお客様の接客と雑用を担当してもらう」
　大旦那は次に佐藤瀬莉に視線を移す。

「佐藤瀬莉です。今日1日一生懸命がんばります。よろしくお願いします」
　瀬莉は深々と頭を下げる。

「そして3人目には掃除を任せる」
　大旦那は白石龍樹の頭にポンと手を置いた。

「なんで俺だけ頭触られんの！？」
　龍樹は大旦那を見上げ、叫んだ。

「唯一の男子(おのこ)だ。力仕事だが、がんばるんだぞ」
　大旦那は表情を変えず、龍樹を見下ろした。

　その迫力に圧されそうになりながらも、龍樹は自己紹介をした。
「白石龍樹です！　俺はお客になってここに泊まるほうがいいって思うし、料理も作れないし、掃除くらいしかできないけど、が…がんばります！」

　3人の自己紹介を静かに聞いていた女天狗はクスッと笑った。
「あらあら、素敵なお手伝いさん方ですね。私はナツメと申します。よろしくお願いしますね。まずはそれぞれの持ち場に案内しますので、担当天狗にお仕事を教えてもらってください」
　ナツメはニコッと微笑んで、3人を担当の場所に案内した。

　受付に案内されたアイオに、担当天狗が挨拶をする。

「やぁ、君がお手伝いさんだね。僕の名前はイト。受付は僕1人でやっているから、お手伝いさんがいてくれるのは助かるよ。よろしくね」

　優しい雰囲気のイトにアイオは少しホッとした。
「アイオと申しますわ。よろしくお願いいたします」

「早速なんだけど、ここでやる仕事を教えるね」
　イトはそう言うとアイオを自分のほうへ呼んだ。

　それを見てナツメが瀬莉に話しかける。
「次は瀬莉さんの持ち場に案内しますね」

　ナツメは従業員室へ案内すると、瀬莉に作務衣を着せ、髪を一つにまとめてくれた。
「お似合いですよ」
　ナツメの一言に瀬莉は頬を赤らめる。

「ナツメさん、その子が今日お手伝いしてくださる方？」
　声がした方を見ると、綺麗な顔立ちの女天狗がいた。

「瀬莉と言います！　よろしくお願いします！」
　瀬莉は勢いよく頭を下げる。

「ふふ、可愛らしい子ね。私はツムギと申します。よろしくお願いしますね、瀬莉さん」
　ツムギはそう言い、まずは宿を案内するとのことで瀬莉を連れて行った。

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