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温かい雨に打たれて
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日曜日、寝子島では朝から雨が降っている。穏やかな降り方で過ごし易い気温だった。
旧市街の家の窓から
仙藤 紫
は空を眺める。
「予報通りね」
呟いて、ふと視線を落とした。庭の片隅にあるアジサイが咲いていた。
「いつの間に……」
紫は窓を離れた。薄手のカーディガンを羽織ると机上のスマートフォンを手にした。
そわそわした様子で部屋を出ると玄関へ向かう。サンダルを履いて傘立てから適当に一本を引き抜いた。
外に出ると傘を差して庭の方に回る。スカートが濡れないように葉を避けて通った。
泥撥ねを注意して、ゆっくりと歩いてアジサイの元に向かう。
「良い香り」
大きく息を吸い込んで足を止めた。紫は前屈みとなり、アジサイの花を間近で見た。小さな花弁が密着して盛り上がり、大輪の花を形作る。
持っていたスマートフォンを起動してレンズを向ける。雨に濡れた色鮮やかなアジサイを写真に収めた。横からも撮った。葉を入れた構図も試してみた。
撮った写真を纏めて見ていく。その中の一枚に注目した。ぼやけたところがなく個々の花が綺麗に撮れている。
スマートフォンの壁紙に採用した。
「悪くないわ」
見つめる目が優しくなる。
耳が足音を聞いた。横手に目をやると
仙藤 蒼
が窓を開けた。大きな欠伸を手で押さえることもなく縁側に出て目を擦る。
「……お姉ちゃん、こんな雨の日に、何してるの?」
「アジサイが咲いているわ」
「まさか、って本当に咲いてるんだけど」
蒼は縁側から乗り出すようにして目を細める。
「よく見えないわ」
一言で部屋に引っ込んだ。騒々しい足音が遠ざかる。
紫は自身が来た方向に目をやると蒼が傘を差して現れた。水溜まりを跳び越えて隣に並んだ。
蒼はアジサイに顔を寄せた。
「まだ五月なのに、珍しいよね……良い香り」
「そうね」
紫は蒼の様子を見て微笑む。
「蒼も女の子なのね」
「どう見てもそうだよ。なんで急に?」
「アジサイにうっとりする蒼が可愛らしくて」
蒼は照れ笑いを浮かべた。泳ぐ目は縁側に向かった。
「お姉ちゃん、縁側に座って話をしようよ」
「そうね」
二人は傘を閉じると縁側に並んで座った。
蒼は空を眺めた。
「雨が降っているのに今日は暖かいね」
「それが原因でアジサイが咲いたのかしら」
「どうなんだろう。お姉ちゃん、スマホで調べてみてよ」
蒼に話を振られて、そうね、と手にしていたスマートフォンで『寝子島、アジサイ』の単語で検索した。
関連した情報がずらりと表示された。添付されたアジサイは一色ではなかった。場所も民家の庭にとどまらない。
横から覗き込んでいた蒼は一つの情報を指差した。
「九夜山でも咲いてるって。お姉ちゃん、雨降りだけど散歩に行こうよ」
「それもいいわね。でも、山は危ないから近場でいいかしら」
「それなら参道商店街で。着替えてくるね」
蒼は立ち上がると笑顔で駆け出した。紫は振り返って、危ないわ、と声を掛けたが聞こえていないようだった。
しとしと降る雨音を聞きながら紫は庭のアジサイを眺める。
「蒼らしいわね」
微笑みを浮かべて言った。
二人は傘を差して参道商店街を歩いた。
「お姉ちゃん、あれを見てよ」
蒼が店舗の前を指差す。プランターには黄色いアジサイが咲いていた。
「珍しい色ね」
「そうだよね」
蒼はスマートフォンを手にした。身を屈めてレンズを近づける。陰影を活かす為、少し角度を付けて撮った。
「どうかな」
画面に表示させると個々の花の輪郭がはっきりと写り、画面いっぱいに綺麗に収まっていた。隣にきた紫の表情が緩む。
「よく撮れているわ」
「お姉ちゃんみたいに壁紙に使えるね」
弾むような声で次の被写体を求めて歩き出す。紫は共に歩いて辺りに目を配る。
「あんなのもあるよ」
蒼は横手の和菓子屋に目を向ける。店舗の目立つところに『アジサイ饅頭』の貼り紙があった。ガラス越しに中を覗くと売り場の横には飲食スペースが設けられていた。
紫は少し濡れた肩口を払いながら言った。
「少し身体が冷えてきたし、寄ってみる?」
「うん、季節限定っぽいからね」
二人は傘を畳んだ。入ってすぐの傘立てに入れるとショーケースに目を向ける。
蒼は紫の耳元に口を寄せた。
「色が毒っぽいんだけど」
「……蒼はどれを試す?」
聞かれて青と赤を指で示す。紫は蒼が選ばなかった青紫と黒を購入した。
二人は紙袋を手に隣の飲食スペースに入った。店員に窓際の席を勧められた。向かい合わせに座ると共に温かい緑茶を注文した。
各々が置かれた専用の皿に饅頭を載せた。テーブルの木箱から楊枝を取り出して切り分ける。
最初に蒼が赤い饅頭を口に入れた。よく噛んで食べていると少し驚いた表情となった。
「意外に美味しい。辛さはなくて程々の甘さが良いね」
「私の黒い饅頭も美味しいわ。でも、アジサイの色に黒はあるのかしら」
紫の疑問の声を受けて蒼がスマートフォンで調べる。
「お姉ちゃん、あるよ。真っ黒だよ」
表示されたアジサイを紫に突き付ける。
「あるのね」
運ばれてきた緑茶を飲みつつ、饅頭の味を堪能した。
「少し歩こうよ」
「いいわね」
二人は和菓子屋を出ると九夜山の方向に歩き出す。プランターのアジサイを目で楽しむ。正面に石段が見えてきた。
「寝子島神社に行ってみようよ」
蒼の提案に乗る形で揃って石段を上がる。
赤い鳥居を潜って境内に入ると満開のアジサイが出迎えてくれた。
「すごいよ、お姉ちゃん」
色とりどりのアジサイに目移りして蒼は一歩が踏み出せない。紫は肩にぽんと手を置いて微笑む。
「順番に見ていけばいいわ」
「それと写真も撮らないとね。お姉ちゃんは私に任せて」
「蒼は私が撮るわね」
二人は赤紫のアジサイに向かう。蒼は顔を寄せてにっこり笑う。紫は位置を指示してスマートフォンに収めた。
二人で見て幸せそうな笑みを浮かべた。
「次はお姉ちゃんね。アジサイにそっと片手を添える感じで。そうそう、いいね。自然な笑顔を維持してね」
蒼はアングルを気にする写真家のように細かく注文した。写した一枚は満足のいく出来栄えであった。
その後、紫や水色のアジサイを渡り歩く。
奥まったところで二人は同時に足を止めた。様々な色が溢れ、圧倒的な数のアジサイが咲き誇る。
「凄いよ! この数、この色! お姉ちゃんと並んで写したら……」
蒼は気付いた。周囲に人の姿がなかった。困ったような笑みを紫に向ける。
「誰かいればいいのだけれど」
二人は境内を隈なく見て溜息を吐いた。
「誰もいないね」
「いないわね」
「いるの」
その声に同時に視線を下げる。赤い傘を差した女の子が正面に立っていた。
二人は顔を見合わせる。首を傾げながら蒼がしゃがんだ。
女の子は艶やかな黒髪のおかっぱで愛らしい顔をしていた。赤い着物は白い肌を際立たせる。
「わかるかな。このスマホで、お姉ちゃん達を撮って貰いたいんだけど」
「
メリーさん
に任せるの」
スマートフォンを受け取ると瞬時に離れた。
二人は驚いた顔で視線を合わせる。
「お姉ちゃん、今の見た?」
「見たというよりも、見えなかったわ」
「そこの二人、ちゃんと並ぶの」
メリーさんは無表情で指示を出す。手を横に振って誘導する。
「傘はもう少し上に向けるの。顔とアジサイのバランスが大事なの」
やはり無表情。躍動感は増して倍の速度で手を動かした。
「写すの。はい、チーズタルト、なの」
撮り終わると瞬時に二人に近づき、スマートフォンを蒼に返した。
「お腹が減ったの」
メリーさんは小さく手を振る姿で忽然と消えた。
残された二人は微妙な笑みで画像を確かめる。
見る者に微笑みを与える、そのような姉妹が写っていた。
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ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
動物・自然
定員
5人
参加キャラクター数
4人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年06月05日
参加申し込みの期限
2021年06月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年06月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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