うちの子ね。魚が嫌いで食べないの。｜リアクション

うちの子ね。魚が嫌いで食べないの。

味見役の控える場――。修と刀。
「そうそう、今日遅れた理由なんだが」
そう言って修は抱えていたバスケットの蓋を開けた。中から子猫が顔を出す。修の飼い猫・マープルだ。そのほかにノートパソコンなども持ってきている。荷物が多いが、以前より体力がついているようで修に疲れた様子はあまり見えない。
「かわいいな」
刀が褒めると修は少し笑った。
「ありがとう……マープルも他の人にも慣らしたほうがいいだろうし、あの子たちに少し遊んでもらってくるよ」
「そうか、俺はここで待ってよう」
「ああ」
修は小学生女子集団の元に向かう。その修を刀が目で追う。どう接するのか勉強しているらしい。
「こんにちは。今、いいかな？」
修が微笑みながら話しかけると、着子たち3人が振り向いた。
「俺はヤガミ。今日、味見役をやるんだ。試食が始まるまで時間があるから、それまでよかったらこの子と遊んでくれないかな」
「わーっ。かわいいネコさんなのですっ！」
「かわいい……。ボク、抱っこしてもいいですか？」
「ああ、いいよ。マープルって言うんだ。仲良くしてあげてくれ」
修がロミーに子猫を手渡す。ロミーが子猫の両脇に手を入れると、じんわりと温かさが伝わってきた。
「ふわふわ……！」
ロミーが眼鏡の奥の瞳を嬉しそうに細める。
うん、仲良くしてくれそうだな。
修はロミーと着子の様子を見て安心したあと、参加者の女の子はもうひとりいたことを思い出す。いた。少し離れて犬のぬいぐるみを抱いた金髪の女の子が。なぜか、修をじっと見ているようだ。目が合うと、とことこと金髪少女が修に近づいてくる。
「ヤガミって、どういう字を書くでございます？」
「数字の八に、神様の神だよ」
「……『八神』」

八神＝神×8
神々ノ黄昏＝神々だから複数形だけど8人以上いるかは分からない

「戦闘力は五分五分でございます……」
「んん？」
なぞの言葉と意味深なため息をを残して、神々ノ黄昏は修に背を向けた。
修が刀のいる場所に戻る。
「何かあったのか」
複雑な顔をしている修を不思議に思い、刀が尋ねた。
小学生の女の子に、自分と同じくらいの戦闘力に見られたらしい……とは流石に言えず、修は珍しく言葉を詰まらせた。もう少し、体鍛えようかな……。