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寝子島高校
四月の蒼青(あお)い空の半分欠けた月を見て彼女は笑ってる。
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「ねえ、紗月」
軽く咳払いして、ごめんねと理緒は言った。
「この前の花見の時、変なこと言っちゃってさ」
はがれかけた瘡蓋(かさぶた)を親指でこするような言いかただということは自分でもわかっていた。でも、うすい痒みをごまかすことはできないとも思っていた。
「ほら、紗月は綺麗であたしは汚れててとか。自分でもわけわからないことを口走ったと思ってる」
小さく息継ぎした。酸素が必要だと思ったから。
「……だからってわけじゃないけど、ありのままに話そうと思うんだ」
言っておきたい。言わなきゃならない。他の人じゃない。相手が紗月なのだから。
「前にも話したと思うけどあたしん家、親が厳しくてね。中学受験に失敗したあたしは反動でそれまで抑えていたものにのめり込むようになった」
「うん……」
瘡蓋をこするどころの話はなくなっている。手首の疵(きず)にアイスピックを突き立てるようなものだ。
でも話しだした以上は止められないし、止める気もなかった。
「おしゃれに目覚めた中学時代、友達と競うように着飾ったりして、そのうちに何人かの男の子とお遊びのような恋をして……」
思い出が頭をよぎる。走馬灯なんていきれいなものじゃない。画質の悪い動画を1.2倍速で再生しているようなノイズだらけの世界だ。下手な紙芝居よりずっとひどい。白いシルエットにおおわれた世界。何度告白しても痛みを伴う。口にするとともに下腹部に、破瓜の傷みを上回る痛みを感じた。
それでも理緒は話をそらしたくない。
餃子の皮みたいなヴェールで隠したくない、そう思った。
「十四歳でもう女になっていた。そのとき『こんなものか』と思った」
夏休みのラジオ体操、参加証明のスタンプカードみたいなものだ。終えました、やりました――その証明にポンと印鑑を押してもらう。カードが埋まったらお菓子をもらえる。お菓子以上のものはもらえないし、そもそもさしたる価値があるわけじゃない。でもカードはカードだ。体験の証明書である。安っぽくても薄くても、印刷がかすれかかっていても、なかったことにはできない。
理緒は小さく息を吸い込んだ。それが必要だった。
「自分がバカだと気づいたのは、寝子高に入って紗月と出会ってから」
あとは繰り言になるかもしれない。
目を伏せ、花見のときと同じことを話した。
たとえ繰り言だとしても、すり切れた再放送だとしても、必要な発言というものはあるはずだし、必要な瞬間というものはあるのではないか。
事実、このときの理緒には必要だった。
必要なことを口にしたのだ。後悔はない。
「あー……ごめん。話しすぎた、かな?」
首の後ろに、うっすらと汗をかいていることに理緒は気がついていた。
生臭い香りはしない。潮の匂いもたぶん、していないと思う。
でも自分の内側が、じったりと湿っていることは自覚していた。
ギュッと絞ったらたぶん、臭くて重苦しいしい汁がバケツいっぱいしたたり落ちるんだろうな――。
理緒は息を吸い込んだ。
「あの日――」
頭蓋の内側まで茹だるくらい、暑かった夏の日を思い出す。
危うく紗月の初めてを奪いそうになったあの日のことを。
あれは決して暑さだけのせいじゃなかった。
むしろ強いて自分が、どさくさとか気温のせいにしていた。つかりの悪い漬物を、硬いけどおいしいとごまかすようなペテンだ。
でも半分は、本気だった。
「紗月が『よかったよ』って言ったとき……紗月を汚してしまったっていう後悔と、あたしと同じように汚れたという……それでホッとする自分がいた」
駄目だなあ、あたし。
ペラペラと何言ってるんだろ。
もう泣きそうになってる。
理緒は天井を見上げた。
木目調の天井だ。
模様が人の顔に見えたり、象徴的な図形に見えたりするという話を聞いたことがある。もやもやのなかから明日を生きるヒントが浮かび上がる、とか――。
でもそんなの嘘だ。
模様は模様、プリントされただけの偽の木目だった。天井は理緒に何ひとつ語りかけないし示さない。人間の顔に見えたりロールシャッハ的な象徴に変貌したりはしないのだった。ただのぼわっとした模様だ。面白くもなんともない。
つづけるべき言葉が出てこない。
だから理緒は天井を見上げるほかなかった。
文鎮のような、温度のない無言がもう一度流れた。
けれども唐突に、理緒の手にひやりとしたものが触れた。
紗月の手だった。
「ありがとう」
紗月は理緒の指に自分の指を絡める。人差し指と人差し指、中指と中指、薬指と薬指、小指同士も。
まるで最初から一対のパーツだったかのように、結び合わせてきゅっと握った。
「ありがとう……理緒ちゃん、そんなにも私のこと、考えてくれて」
「でも……」
「理緒ちゃんが悩んでいたのは私のことだよね。私のことまるで、自分のことみたいに考えてくれたんだよね。ずっとずっと……」
「ちがうよ、あたしはもっと利己的。紗月に……嫌われることが恐かっただけ」
「だけど理緒ちゃんが考えていた『自分』は……私の目に映る自分……だよね……?」
だったら、と紗月は言った。にじり寄り膝を理緒の、膝と膝のあいだに挟む。
「それって、私のこと考えてたってことにならない?」
「そう……だよ……」
紗月から拒絶されることが恐かった。嫌われることが恐かった。
独(ひと)りになることが恐かった。
紗月なしではもう、生きていけないとわかっていたから。
「……ありがとう、理緒ちゃん。私のこと大事に思ってくれて、本当にありがとう……」
「紗月……あたしの悩みは、そんなに純粋なものじゃないよ。紗月を傷つけたくないって気持ちも、弱い自分を守りたいから……かもしれないんだから」
「そんなこと……ないと思うよ」
紗月は理緒の脇から手を差し入れ、彼女の背に手を回した。
「理緒ちゃんは優しいからいつも……そうやって自分を下げようとしているだけ。私には、わかるよ……」
「でも……」
「……もう否定しないで」
もうふたりの距離は、吐息がかかるほどに近い。
「私、理緒ちゃんが好き。愛してる。理緒ちゃんも、同じ気持ちだって信じてる……それだけでじゅうぶんじゃない?」
理緒は目を丸くする。
紗月にこんな力があるなんて、今の今まで理緒は知らなかった。
紗月は理緒を押し倒すと、自分から理緒に唇を重ねたのだった。
甘い。甘い口づけ。
甘くて湿っていて、とろけるような。
舌が歯のあいだから入ってくる。唾液が溶け合う。
我が身が、五感が、内側から外側にめくれるのではないかと理緒は思った。唇をはなし、荒い息の合間から紗月は告げた。
「……理緒ちゃん。今夜は私をあなただけのものにして……だから、理緒ちゃんも私だけのものになって」
むさぼるように互いの躰をまさぐりあった。
夢中で唇を吸い合う。
服も下着も、ちぎり捨てるようにして剥がし合う。
もう言葉なんかいらない。もつれあいながらバスルームへ向かう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年05月15日
参加申し込みの期限
2021年05月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年05月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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