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四月の蒼青(あお)い空の半分欠けた月を見て彼女は笑ってる。
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不夜城という言葉から、あなたはどんなものを想像するだろうか。
夜であれど昼間のように明るく華やかで、鞭のようにしなやかな生命力を秘めた場所、どことなく猥雑で色っぽいイメージ――そんなところだろうか。
ここにもひとつ、寝子島の不夜城と呼ぶにふさわしい店がある。
ナイトクラブ『プロムナード』、大人の社交場というのが表向きの名称で、ストレートに書けばキャバクラだ。
ネオン仕込みの桃色の猫の看板。にぎにぎしい内装にコーデュロイ生地のソファ。天井にはミラーボール。アルコールと香水のまじった甘い甘い香り。
けれども不夜城という言葉は結局のところまぼろしでしかない。実際は日付が変わるころには閉店になるし、明るく華やかだといったところで波がある。
今宵はさざ波だろう。
店内にはうっすらと翳(かげ)りがあった。ほとんど透明だがかすかに、暗色をおびたセロファンをかぶせたような。
木野 星太郎
は正面から店に入ってたちまち、見えないセロファンの存在を感じた。ぱりぱりとした手ざわりすら錯覚するほどだ。
まだ開店前だというのに、外は明るいというのに。このところずっとこうなのだろうか。
「星太さん、おはようございますですよ」
オーナーの
アーナンド・ハイイド
が満面のスマイルとともに星太郎を迎えた。
けれども星太郎にはわかる。
アーナンドの笑顔が、薄い。
画素数が不足しているような気がした。さもなくば栄養が。
「うん……おはよう」
一日中『おはよう』はこういう業界の常である。
「今日から、だったわよね?」
「はい。……あーでも、保証はできないです」
わかってるわよと返事して、星太郎は表情を曇らせた。
「アーナンドちゃん、今回は災難だったわね……」
「ええどうも。大変なことでした」
最初の笑顔が精一杯だったのだろう。アーナンドの顔がたちまち、くしゃくしゃに丸めた紙みたいになった。
事件から数日が経過していた。
客として店に探りを入れていた男が、キャバ嬢二名を誘拐し売り飛ばすという凶行に及んだのである。幸い事件は未遂に終わったものの、危ういところだったのはまちがいない。逮捕された男は人身売買のブローカーで、全国でこのような行為を繰り返していた疑いが濃厚だという。
事件は報道され店にはメディアが押し寄せたが、夜の店に注目する新聞やテレビは多くない。もっぱら週刊誌の記者ばかりだったしそれも間もなく絶えた。ネットには〈こういう商売している女がこういう目に遭うのは当たり前だろ〉〈店もキャバ嬢も危機意識が足りなかったというだけの話〉〈自己責任です。はい論破〉といった書き込みがいくつも出現したものの、炎上と呼ぶほど注目はされることはなくすぐ消えている。同時期といっても二日後だが、人気女子アナの不倫スキャンダルが世間の話題をさらったせいもあるだろうか。
けれど事件の影はまだ、『プロムナード』には尾をひいているようだ。
「あの悪者の正体……見抜けなかったのはワタシのミスです……そればかりかお得意さんとして喜んですらいたくらいです。みんなに申し訳なくて……」
よほどこたえたのだろう。アーナンドは下を向いて目をしばたいていた。前に過労で倒れたとき以来のやつれぶりだ。ぴったりしていたスーツが、いささか余っているように見える。
アーナンドちゃんのせいじゃないわ、と星太郎は言う。
「いわゆる『社会の煮こごり』が紛れこむのはどこの店でも一緒よ……ウチだって予約制にしてるのはそれを防ぐようなもんだし」
「そう言ってもらえるのはありがたいです。でも……」
「それに店、事件後もずっと開けたんでしょう? 立派だわ」
今日まで、『プロムナード』は定休日以外の臨時休業を一日も入れず営業を継続したのだった。
「ワタシはともかく、みんなには生活もあるし。それと……ええと……」
アーナンドは口ごもった。うまく表現する言葉が出てこないらしい。でも星太郎は彼の意思をくみとっている。
「わかってる。犯罪や暴力といった不条理な力には屈しない、と意思表示したわけよね? えらいと思う」
「そんな立派な感じじゃないかもですが、だいたいそんな感じです」
ようやくアーナンドの表情に色彩が戻った。気恥ずかしげに口ごもるアーナンドに、「堂々としてなさいよぉ!」と星太郎は発破をかける。息苦しさがいくらかやわらいだ。
かといって星太郎はつづけないわけにはいかなかった。
「で、紗央莉ちゃんはアレからまったく?」
アーナンドは無言をもって回答にかえた。
「……そぉ。何かしてあげたいけど、アタシにはこの店のお手伝いくらいしかできそうなことはないし……」
紗央莉
(さおり)は店のナンバーワン嬢である。プライドが高く女王のごとくふるまっているが、それは自信のなさの裏返しだと星太郎は薄々感づいていた。もとは首都圏の店で活躍していたが、人間関係のトラブルを繰り返したすえ居場所をなくし、寝子島に流れてきたらしいとも聞いたことがある。
紗央莉は被害者のひとりだ。心の弱さ、それに係累らしい係累がないことを犯人に見抜かれ標的にされたのだった。
事件以来出勤しないのはもちろん、紗央莉は店からの連絡にすら出なくなった。アーナンドに限らず、
あんな
や
夕顔
が部屋を直接訪ねてもドアを開けない。人間関係にドライな(他の嬢とはプライベートのつきあいをしない)
まみ子
すら訪れたというのに結果は同じだった。ただ、生存していることだけはわかったらしい。
「戻ってくれたら嬉しいです。けど、もしかしたら紗央莉さん、そろそろ辞めどきなのかもしれないです」
将来のこと気にしてたみたいですしとアーナンドは言った。
「そうね……でもいずれ、紗央莉ちゃんが自分で決めると思いたいわ」
「ですね。明日あたりまたワタシ、会いに行ってみるつもりですよ」
裏口のドアが音を立てて開いた。
「あー……入るぞ」
極力平静をよそおうつもりだったのだろうが、声がうわずっているのは隠しようがない。それもそのはず事件後、彼女が『プロムナード』に出勤するのはこれが初だからだ。
とたん豹変! インパラを見たチーターのごとく星太郎は
九鬼姫
に猛ダッシュしたのである。
「九鬼姫ちゃぁあああああん!」
星太郎の長い髪がきらきらとたなびく。
「無事!? 無事だったノォオオオオオオ!!」
これには九鬼姫も仰天だ。おわあと声を上げ飛びすさった。
「お……驚かすでない! 誰ぞと思えば星太郎か!?」
「そうよアタシよおおお!」
ミュージカルの舞台のように両腕を広げ抱きつかんばかりの勢いだったので、「やめい!」とまた九鬼姫は逃げる。けれど星太郎はめげることなく、目をうるうるさせて彼女の両肩に手を乗せたのだった。
「良かった、良かったわぁ、九鬼姫ちゃんが無事で……」
「よさんか大げさな」
星太郎が猫を抱き抱えてスリスリするような勢いだったので、九鬼姫は身をよじって彼の腕をふりほどいた。
「幸い大きな怪我もせなんだわえ」
戦国時代からタイムスリップしてきた姫君、と九鬼姫は自称している。しかし今日の格好を見て、そうだと納得する人がどれほどいるだろう。インディゴカラーの太いジーンズに薄紫しただぼだぼのパーカーをひっかけた姿で、パーカーのフードは頭からかぶっている。目深にしているため、かろうじて前髪が姫カットだとわかる程度だ。まったくもって華がない。いいかえれば野暮ったい。徹夜でゲームしたあげく夕方に起き出し、コンビニに出かけた大学生のようだ。
「事情は聞いたわよ、危ないところだったわねホント!」
「まあな、恩人のおかげでな」
「とにかく無事で生還おかえりなさいって気持ちよオオ!」
「わかった。わかったから大きな声を出すでない!」
コホン、と遠慮がちに咳払いする声が聞こえた。
「そろそろ私、入っていいか?」
フレンチスリーブの夜会服、赤い生地に金の刺繍がまぶしい。頭をサイドに結った
恋々
(レンレン)である。紅色のアイラインもばっちり引いている。網タイツ、真っ赤なヒールのすらりとした足で歩み入った。
「って、恋々ちゃんいつの間に!」
「九鬼姫と一緒に来てたネ。木野さんが気づかなかっただけよ」
一緒に、と言っているものの実情は、恋々のほうが九鬼姫を連れてきたというのが近いだろう。星太郎の視界が九鬼姫で百%というか、九鬼姫以外見ていないことにいち早く気がついた恋々は、しばらく黙ってやりとりを見物していたらしい。
まあ気持ちはわからんでもないけど、と恋々は肩をすくめた。
「木野さん、今日も手伝いありがとね。私、自分で整えてきたからさわる必要ないよ。かわりに九鬼姫のセット、頼むね」
これを聞いて星太郎は、バケツ入りの氷水を頭から浴びたような顔になった。
「はっ! 脳みそブッ飛ばしてる場合じゃなかったわ! マイ・ジョブ! お仕事の時間よね! ヘアメイク、いつもの十倍頑張るから! 期待しててね」
お願いネと告げて恋々は出て行く。開店準備を手伝うという。
「さあさあ」
星太郎は九鬼姫の肩を押すようにしてメイクルームに向かった。このとき小声で、
「あと、今日は送っていくわよ、安全のためにね」
と、ささやくことも忘れなかった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2021年05月15日
参加申し込みの期限
2021年05月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2021年05月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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