鈴島、無人島サバイバルチャレンジ｜リアクション

鈴島、無人島サバイバルチャレンジ

●２日目～物資調達

「せっかく１日目を生き残ったのですから、この調子で頑張りますよぉ！」
　本日も島は快晴。
　真っ白い雲と真っ青な海をバックに張り切るあいおを、茂が撮影している。
　帆太が寝てしまったので配信者一時交代だ。
　コメント欄には『あいおちゃん今日も可愛い』『今日はどうするの？』などの声が寄せられている。
「今日はですねぇ、昨日拾ったこの長い枝を使って釣り竿を作ってみようと思いますぅ！　取り出したるはジャーン、支給物資のツルです！　これを同じく支給物資のナイフで切って、枝に結べば……」
　配信慣れしているあいおは、画面の向こうの視聴者に向けて説明しながらぎゅっとツタを結んでいく。
　それからツタの反対側に、これまた海岸で見つけた古びた釣り針を括りつける。
「できましたぁ、釣り竿の完成！　先端に捕まえた虫を結び付ければ立派にエサとなるはずです」
　問題は、とあいおはそこで顔を曇らせた。
「……本当は虫なんて素手で触るのも嫌。なんですが。今はそんなこと言ってられないのです！」
　キリリ、決意の眼差しで、草むらの中に四つん這いになるあいお。
「ギャー！　青虫さんってなんでこんなにくにゃってしちゃうんですかああぁぁ！！」
　あいおの悲鳴は、長いこと続いていたという。

（何かしら……誰かが叫んでるわね……）

　海に潜っていた莉鳥は、適当な太さの木の枝にナイフを結び付けて銛を作り、それで魚を突き刺すという方法での魚獲りに挑戦していた。服の下に競泳水着を着こんで来たのは名案だった。
　しばらく叫び声がした方に意識を向けていたが、茂の姿が見えたのでたぶん大丈夫だろう。
　海中に視線を戻す。
　深い藍の中、ひらりと光る背びれ。すかさず息を止め、海中に沈みこむ。魚は岩場に逃げ込もうとしている。もう何度も失敗しているこの状況。
（いい加減、逃がさないから）
　莉鳥は素早く銛を突き出した。魚の横っ腹をナイフが貫く。
（……獲った！）
　莉鳥は海中から顔を出し、銛を高く掲げてみた。
　まだらな模様があっておちょぼ口な魚だ。
　あまり魚には詳しくないが、小ぶりなカワハギのような気がする。
「１匹でもありがたいけれど、もう２、３匹獲っておきたいわね」

　海で食料を探していた参加者の中で、この日、最大の漁獲高だったのは蒼留人であった。
　彼はゴザを網代わりに追い込み漁のような形で魚を岩場に追い込んで言ったのだ。
　最後は捕り放題である。
「ま、こんなもんかな。魚ばかりでもなんだし、そろそろ上がって木の実や草の実も探しに行くか」
　ゴザに獲った魚をくるみこんで小脇に抱えると、彼はナイフをベルトに挟み込む。
　一度、洞窟の拠点に戻って魚を置いたら森の中に入ってみよう。木登りをしてみたっていい。
「これだけ海の恵みがあれば、狩りはしなくて済むかな？」