鈴島、無人島サバイバルチャレンジ｜リアクション

鈴島、無人島サバイバルチャレンジ

●２日目夜

　二度目の夜が来た。
　ランタンに火を入れ、あいおは「姉さん」代わりの白猫のぬいぐるみを抱き締める。

「今日も充実した一日でしたわ。いよいよ明日は最終日。……おやすみなさい」
　相方を想いながら、あいおは眠りにつく。

◇

　洞窟の中の火床には赤く燃える火。
　夕食を終えた蒼留人と舞華と千恵は、火を囲んでまったりおしゃべりタイムだ。
「明日で最後だけど、お風呂に入れないのはちょっと辛いね。そろそろ身だしなみ整えたいよう」
　千恵が鏡を取り出して前髪を気にする素振りをしていると、舞華がボディペーパーをくれた。
「気になるところを拭くといいですよ。顔も大丈夫なものです」
「ありがとう！」
　小学生とはいえ千恵だって女子。
　舞華の持ち物チョイスの女子力の高さに素直に感激してしまう。
「その代わりと言っては何ですが、鏡を貸してもらえません？　煤で汚れていないか気になっていまして」
「もちろん！」
　話に入っていけなくなった蒼留人は女子たちから離れたところに寝床を作って横になった。
　こうして夜は更けていく。
「……お兄ちゃん、千恵はがんばってるよ」
　ハンモックに身を横たえると、すぐに眠気が襲ってきた。
　体感では次の瞬間、鳥の声と明るい日差しが洞窟の中に届いていた。
　３日目の朝だ。

◇

「おはようっ！　復活のパンダでっす！」
　サバイバルチャレンジ自体はリタイアしたものの、配信者として島に残っていた帆太がツヤツヤした顔で挨拶する。昨晩と違ってよく眠れたようだ。
「また、ドキドキワクワクな結果発表が来てしまったよ！
　今朝は、えーと……『脱落者から発表します』！？」
　スポンサーサイドからのメッセージに目を落とし、帆太は文章の語尾を疑問形にあげる。
　生き残っている参加者たちが緊張ぎみに顔を見合わせる中、帆太は続くメッセージを読み上げた。

「今朝の脱落者は――いません！」

　よかった、と全員が胸を撫でおろす。
　２日目を終えて２０ポイントを下回った人はいなかったということだ。
「大きな失敗をした人がいなかったのと、ほとんどの人がよく休息をとれたのも大きかったって」
　続いて各参加者の点数が発表される。

　３５ポイント：あいお
　２９ポイント：マイカ
　２６ポイント：ウナウナ、タスニム
　２５ポイント：かーさ
　２４ポイント：莉鳥
　２３ポイント：塩むすび
　２２ポイント：千恵

「僕が暫定１位！？　やった！」
　あいおは一瞬配信されていることを忘れて、素で跳び上がる。
「２位以下の人たちも僅差だよ。まだ逆転の余地はあるからね」
　帆太がみんなを煽るように言う。
「脱落者がいなかったから、最終日の今日は純粋にポイント勝負になるよ。みんな、頑張ってー！」

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